少年テイマー、ロストガルーダの巣へ
「貴方達は!戻って来てくれたんですね!」
「はい!」
僕達はトロールを倒した村に立ち寄る。そうしたら、最初に会ったおじいさんがこっちに来てくれたよ!
「どうでしたか?街の職員さんには、ちゃんと伝えてもらえましたか……?」
「はい!ロットンさんがしっかりフェイクさんに伝えました!しばらくすれば、こちらに職員さんが来てくれると思います。」
「よ、良かった!助かりました!」
「ありがとうございます。それで、あれからトロールはどうでしょうか?」
僕はトロール達の事を聞いた。もし暴れているなら、また倒す必要が出てくるかもしれない。でも、トロールも被害者なんだよね……。早くロストガルーダの所へ行かなきゃ!
「そ、それが……。」
「それが?」
「ウゴォォ!」
「おい、この声は!」
「トロールだよ!?ミー達様子を見てくるね!」
「あっ、待って下さい!」
聞こえて来たトロールの声。僕達三人はその方向へ向かって走っていった。
「わーい!わーい!」
「ぼくもー!」
「ウゴォォ!ウゴォォ!」
「ありがたいねぇ……。そこの土も掘ってくれないかい?」
「ウゴォォ?ゴォォ!」
…………トロール達は、村の子ども達と一緒に遊んだり、一緒に作物の世話をしていた。村の人達も、トロールも、何だが楽しそうだ!
「こ、これは……!」
「ええ。貴方達が帰った後、トロール達が村の手伝いをしてくれるようになったんです。魔物は怖いものと思ってましたが、付き合ってみたら意外と通じるものなんですな。」
「そう!そうなんですよ!人と同じで、魔物にも悪い魔物だけじゃなくて、いい魔物もいっぱい居るんですよ!つまり……」
「先生!今はもっと急ぐ事があるだろ!夜までに街に戻らないといけないんだから!」
「あっ……ごめんなさい……。」
つい興奮しちゃった。でも、人と魔物が仲良くしてるのを見ると……凄く嬉しいなあ!
それから僕達は、前にロットンさんが借りた小屋に入る。ラルフさんはここで待機、僕達は……。
「じゃあ、俺はここで待ってるから!早く行って来いよ!」
「はい!行ってきます!」
「寂しくなったら泣いていいんだよ?よしよし。」
「あのなぁ……俺にはタルトが居るから大丈夫だよ。ほら、早く早く!」
「じゃあ、行きますよミーさん!」
「う、うん!頑張るよ!」
僕達は山に向けて出発!目的地はもちろん、ロストガルーダの巣だ!
「レル?結構きついから、ちゃんとついてきてね!」
「わん!わん!」
「こっちこっち!早くしないと!」
僕は今、ミーさんと一緒に山を探索中。木々を抜け、坂を登り、ゴツゴツとした岩場を走り……ミーさんこんな所で配信してたんだね。
「あそこがミーの配信してた川だよ!お魚がいっぱい採れるんだよ!今度採ってあげるね!」
「お願いします。レルー、ちょっとお水飲んでこー?」
「わふー!」
レルと二人で川の水を飲む。うーん……新鮮でおいしい!水筒にも淹れておこう!
「はい、ミーさんの分ですよ!」
「ありがとー!ミーも飲むよ!」
「それで、ロストガルーダの巣はどの辺りに?」
「もう少しだよ!ここを超えて、急な坂を登ると岩場があるの。そこに隠れてるんだ!早く行こうよ!」
「はい!」
そして僕達はまた山を登り……遂に、ロストガルーダの住む岩場に辿り着いた!
「よし。レル、お願い!」
「わん!」
まずはレルを先頭にして、周りを探る。ロストガルーダが居てくれれば、そこで話し合いを……。すると小さい穴から、よちよちと鳥の魔物が歩いて来た。この子はロストガルーダの赤ちゃんだ!
「うぴゃ?」
「わふ?わん!わん!」
「うぴゃぁぁ。」
「ぴぃ?」
あっ増えた。もう一人居たんだね。
「わん!わん!」
「ぴぃ!」
「うぴゃぁぁぁ?」
「わふ!?わん!わん!」
「ぴぃぃぃぃぃ!ぴぃぃぃぃぃ!」
「うぴゃぁぁぁ!うぴゃぁぁぁ!」
「……なんかこれ、まずくない?」
「大丈夫……交渉は上手くいってます。もう少し、もう少しです……。」
「わん!わん!わふー!」
「ぴぃ!?ぴぃ、ぴぃ!」
「うぴゃぁぁぁ!」
そして二人は大きな洞窟の中へ。しばらくすると、ドシンドシンと、地面を踏む音が響いてきた。く、来る……!
「ウギャァァァ?」
「ぴぃ!」
「うぴゃぁぁ!」
来た……ロストガルーダ!すかさず僕はロストガルーダの前に飛び出す。交渉開始だ!
「あの!すみません!」
「ウギャ……ウギャァァァ!?」
やっぱり覚えてるよね……僕達と戦った事も……。
「ウギャァァァ!」
「ま、待って!僕は話をしたくて来たの!戦う気は無いよ!」
ロストガルーダは立ち上がり、僕達を見下ろしている。今にも襲って来そうな威圧感。でも、ここで退くわけにはいかない!
「君の探していた子が見つかったんだ!だから、ここまで返しに来たんだよ!」
「わん!わん!」
「ウギャァァァ!ウギャァァァ!!」
話が通じてないのかも!それはそうだよね。僕達は一度戦った。まして隣に居るのは……。
「て、ティム……。これは怒ってるよね……。」
「それは……言い方は悪いですけど、ミーさんが卵を取ったのは事実ですし……。」
「ウギャァァァ!」
「わん!わん!」
「ウギャァァァ?」
「本当だよ!この人は悪い人から卵を守ろうとしたんだよ!」
「ウギャァァァァァァ!」
「そ、それは急に来たから敵だと思って……。だから、今返しに来たんだ!お願い、話を聞いて!」
「ウギャ……。」
落ち着いた……かな?なら今のうちに!
「ミーさん!早く卵を!」
「う、うん!」
ミーさんは卵を持ち、それをそっとロストガルーダの側へ運ぶ。そのまま置いて、両手を挙げながら僕達の所まで戻って来た!
「あの時はああしないと、ま、また悪い人が来ると思ってたの。でも、あ、あなたが来た時には返せなかったの……。それどころか、村に来たからって、な、投げ飛ばしちゃったの……。」
「ウギャァァァ……。」
「それで……ううん、こんなのただの言い訳。ミーは……あなたに卵を返せなかった!ごめんなさい!」
ミーさんは地面に座って、頭を下げた。僕も一緒に座って、ロストガルーダの反応を見る。
「わん!わん!」
「ウギャァァァ?」
「ぴぃ!ぴぃぃ!」
「うぴゃぁぁぁ!うぴゃぁぁぁ!」
「ウギャァァァ…………。」
ロストガルーダは卵に目を向ける。そこには、自分の子ども達が卵の周りを、くるくる回っている姿があった。
その目は……子どもを心配する親の目……優しい目だった。
「ウギャァァァ。」
「えっ?」
「ウギャァァァ!ウギャァァァ!」
「そ、それでは……。でも……。」
「な、何て言ってるの?」
固まるミーさん。僕は、ロストガルーダが何を言っているかを伝える事にした。
「事情は分かった。なら自分も悪い奴の所に連れて行けって。」
「え、ええ?」
「……この手で殴ってやるって。」
「ええ!?」
これは……どうしよう……。僕達はしばらくこの場に固まっていた。
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