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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第六章

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深まる疑念、リーダーへの不信

「いやー!モテるって辛いねぇ!どうせならかわいい子にモテたいんだけどな!」


 ここはカーノンの街中。ロットンは周りを多くの人さらい達に囲まれていた。


「へっ!おっさん一人で何が出来るってんだ!」


「そうだ!俺達の姿を見た奴は、生かしてはおけないんだ。すぐに始末してやるよ。その後は……あのガキ共だ!」


 人さらい達は武器を取り、ロットンへと向かう。まずはその内の一人が斬りかかった。



「死ねっ!」


「うーん?効かんなぁ。」


 振るわれた剣を片手でガード。そして腕を掴み、ギュッと握った。


「ギャァァァ!?」


「悪いがそれはこっちのセリフだ。……一人残らずとっちめてやるよ。」


 腕をダランと下げてその場にうずくまる人さらい。それを見てから、ロットンは一歩踏み出した。







「さーて。誰から相手になってくれる?俺は忙しいんだ、早く終わらせようぜ!」


「な、何だこの男は……。ひ、怯むな!行くぞ!」


 今度は三人、人さらい達が三方向から攻めてくる。


「終わりだ!」


「よっと。」


 ロットンは避けながらゆっくりとしゃがみ、両手を合わせる。すると地面に手を着け、魔力を送り込んだ。





「グランドウォール。」


「はっ?なにグボォ!?」


 人さらい達の腹部に向けて土で出来た壁が突き出し、強く打ちつける。それは奴らを弾き飛ばし、体が地面を転がっていった。



「い、一瞬で三人を……。」


「よっと、グランドバインド!」


「な、しまっ!?」


 続けて地面に手を当て魔力を送り込むと、人さらい達の足元から、土で出来た手が現れる。それは足を掴み、人さらい達を地面に引きずり込んだ。奴らは下半身が埋まってしまい、腕を振り回しながらもがいている。


「一丁あがり!全員捕まえてやったぜ!」


「ギャァァァ!?た、助けてくれ!」


「駄目だな。こんな酷い事をしたんだ。タダで済むと思うなよ。」


「た、頼む!助けてくれよ!」



 ロットンは手を地面に当てると、人さらい達は地面に埋まったまま彼の側まで近づいてくる。どうやら地面の手を動かし、無理やり運んでいるようだ。











「なら、いくつか質問させてもらおうか。ちゃんと答えてくれれば、牢にはぶち込むが命までは取らない。」


「あ、ああ……。」


「まず、お前達数が多すぎじゃねぇか?どこにこんな仲間が居たんだ?」


「そ、それは言えない!」


「ほほう。」


 ロットンが手を地面に当てると、人さらいが地面に少しずつ埋まっていく。


「ちゃんと答えてくれないと、地面に全部埋まっちまうかもな。」


「わ、分かった、分かった!俺達は命令があってこの街に集まったんだ。ここで作戦開始を待っていたんだ!」


「なるほど。じゃあ次だ。お前達……ロストガルーダについて知らないか?」


 ロットンの質問に、人さらいは青い顔をする。



「ど、どうしてそれを!?」


「ロストガルーダが暴れまわってるせいで、他の魔物や村が困ってるんだ。何か心当たりは……あるよな?」


「ああ……俺達の狙いはロストガルーダの卵なんだ。貴重な魔物の卵、貴族なんかに高く売れるんだよ。あるお方からの依頼で、俺達は奴の巣を調べ、襲撃したんだ。」


「おう……とんでもない事してくれてるな……。だが、俺にも勝てないのにロストガルーダに勝てる訳ねぇだろ。」


 ロットンは話していると、ある一つの事に思い当たる。ティムとラルフを抑えつけ、自分と拳を交えた男の事である。



「一緒に居た奴か……!それで、その卵はどこにある!?」


「そ、それは分からないんだ!襲撃した後、獣人の女が卵を持って行っちまったんだ!本当だ!」


「獣人の女?それは誰だ?」


「し、知らないんだ!分からないんだよ!」


 ロットンは周りを見るが、他の誰も頷いている。そこで彼は、もう一つの質問をする事にした。





「分かった。じゃあ、これで最後だ。これに答えてくれればいい。お前達へ依頼したのは誰だ?」


「そ、それは……。」


「もっと簡単に言おうか。お前達を牢から出したのは誰だ?」


「わ……分かったよ!言うよ!お、俺達を外に出したのは……この街の」















「総員、構え!……撃て!」


「「「ハッ!」」」


 ロットンが待っていた返事。それは銃声となって帰ってきた。


「ギャァァァ!?」


「ゴフッ!?」


「ホゲッ!?」


「な、何!?」



 ロットンが呆気にとられているうちに、人さらい達はどんどん弾丸に撃ち抜かれていく。


「た、頼む!助けてくれよ!たのギャッ!」


「お……おい!冗談じゃねえぞ!」


 倒れていく人さらい達。やがて全員が沈黙してしまった……。
















「ロットン!大丈夫だったか!?」


 ロットンが声の方を向くと、そこに立っていたのはフェイクと街役場の職員達だった。


「アン……貴方は。」


「よく一人で勝てたな。見事な物だ。」


「……来るのが遅かったようですな。街の人達、皆酷い目にあっていますよ。」


「それについては反省している。武器の用意に時間がかかってしまってな。」


 職員達は周りの様子を調べる為、この場を離れる。そしてロットンとフェイク、二人きりになった。





「しかし、危ない所だったな。危うく殺される所だったぞ?」


「……奴らは拘束してあります。殺す必要は無かったでしょう?」


「いや、奴らは皆に危害を加えていた。仕方ないんだよ。」



 その言葉を聞き、ロットンはフェイクにグッと近づく。



「……口封じのつもりですか?」


「……何の事だ?」


「奴らの尋問が終わればこちらが引き取る……その約束を破るつもりだったのですか!」


「この非常事態だ、仕方あるまい。」


 フェイクはロットンの肩をポンと叩き、その場を後にした。






「これで貴方達の役目は終わった。連れて来た三人に何か起こる前に、早く帰るといい。」


「…………っ!」




 ロットンの手は強く握り締められ、背中を向けるフェイクに視線を向ける事しか出来なかった。

今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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