街での攻防、抜け出した者達
「はい!ここに寝て!今から検査するよ!」
「うー……。」
ミーはフォージャーに連れられて、現在は病院の中。検査用の台に乗りじっとしている。
「はい、目を閉じてね。」
「えー。」
フォージャーが機械を操作すると、頭上にある機械からライトがパッと光り、ミーの体に当たる。
そしてしばらく光が当たり続け、フォージャーの目の前の機械に結果が表示された。
「ふむふむ。先生、どうですか?」
「ええ。全く問題ありませんね。傷はほぼ治ってますから、後は痛み止めと塗り薬を使えば大丈夫でしょう。」
「よかったー。ミーは何ともないって事だよね!」
「ああ!どうかな?痛くなかったでしょ!」
「うん!」
ミーは喜び、ぴょんぴょんと跳ねている。それを眺めているフォージャーも嬉しそうに笑っていた。
「じゃあ、これでミーにもわたあめを買ってあげよう!頑張ったからね、はい!」
「やったー!」
フォージャーはお金を取り出し、ミーに手渡そうとするが……。
「キャァァァァ!誰か、誰かー!」
「な、何だコイツ等、武器を振り回してるぞ!役場まで逃げろー!」
「わぁぁぁぁ!?」
病院の入リ口に立つと、人々の悲鳴が聞こえてくる。それを聞いたフォージャーは、血相を変えて外を見る。
「外が騒がしいな。ちょっと見てくる!ミーはここで待っててくれ!」
「えっ!?ミーも出るよ!何か大変な事になってるんでしょ!」
「検査が終わったばかりだろう!君は戦っちゃ駄目だ!いいね?」
そう言うとフォージャーは、腰にかけた剣を持ち、外に飛び出して行った。
一人になったミー。病院の入り口から外を覗くと、逃げ惑う街の人々と、襲い掛かる男達の姿が見えている。それを確認して、ミーは病院のソファーに腰掛けた。
「何か凄い事になってる。でも、行っちゃいけないんだよね……。」
頭を下に向け、落ち込む様子のミー。しかし……
「ううん!今のミーに出来る事をやらなきゃ!」
ミーは病院の検査室へ。そこにはさっきの診察を行った医師が、資料を整理していた。
「あれ?もう大丈夫ですよ。今は安静に……」
「それどころじゃないんだよ!外で誰かが暴れてるの!みんなを避難させなきゃ、どこか安全な場所無い?」
「何ですと!それなら……一階の一番奥に行きましょう!あそこは薬品の保管庫です、相当頑丈に出来てます!」
「わかった!」
ミーは病院を走り、中に居る人達に声を掛けて回るのだった。
「みんなー!一階に集合してー!早く早くー!」
◇◇◇
「いやー!買った買った!俺新しい剣を買っちゃったよ!」
「僕も短剣をたくさん買いました!これで戦闘になっても安心です!」
「先生、今は観光中だぞ?もっとのんびりしようぜ!」
「はい!」
僕達は街を散策中!ラルフさんは工場で剣を買い、僕は雑貨屋で短剣を揃えたんだ。今は手におやつを持ちながら、のんびり景色を見て歩いてるよ!
「このアイスクリーム、美味しいよなー。」
「なめらかでトロトロ、何個でも食べられそうですね。」
「わふ!」
「かめー。」
レルとタルトは口にキャンディーを咥えている。二人とも舐めるのに集中してるみたい、たまに動きが止まっちゃうんだよね。
「わん!……わふ?」
「どうしたのレル?キャンディー無くなっちゃった?」
「わふ……ガゥゥゥ!」
「レル?」
パキッとキャンディーを噛む音がした後、レルは周りを見渡す。この反応、もしかして!
「レル、力を貸して!」
「わん!」
僕はアイスクリームを急いで口に入れ、レルの背中に手を置く。……何か嫌な予感がしてきた。
「先生?どうしたんだ?」
「おそらく敵です!ラルフさん、準備をお願いします!」
「敵!?ここにか?ここなら平気ってロットンも言ってただろ?」
「とにかく急ぎましょう!タルト、ラルフさんの事はお願い!」
「かめー!」
僕はレルの背中からブレードを取り、周りを見渡す。パッと見た感じは大丈夫そうだけど……。
「キャァァァァ!誰か、誰かー!」
「な、何だコイツ等、武器を振り回してるぞ!役場まで逃げろー!」
「わぁぁぁぁ!?」
……聞こえた!あっちだ!
「な、何だ!?何が起こってるんだ!?」
「行きましょうラルフさん!さあ、行くよレル!」
「わん!」
「せ、先生!?待ってくれよ!」
「どんどん捕まえろ!抵抗する奴は殺しても構わない!」
「へへっ、暴れまくってやるぜ!」
僕達の前、街の人達を襲っているのは……人さらい達!?何で!?ちゃんとフェイクさんが牢屋に入れてたのに!
「ハハハ……おい、アイツは!」
「来たな!おい、奴らを始末するぞ!」
「へい!」
こちらに気づいた男達が、一斉に向かって来る。周りには壊れた建物に、倒れている人達……こんな酷い事をするなんて、許せない!
「ヒャァァ!これで終わゲフぅ!?」
僕は迷わずブレードを男に叩きつける。男は地面にめり込むけど、そんなの今は気にしていられない!
「死ねっ!」
「うるさい!」
「うぐっ!?」
振るわれた斧を避け、お腹に全力のパンチをぶつける。すると男はその場でうずくまった。
「レル!お願い!」
「ガゥゥゥ!」
「な、何だお前達は!?」
レルは奥に走って、街の人達を襲っている男達に突っ込む!まずは一人の腕に噛みついて引っ張り、他の奴らに投げつけた!
「ガゥゥゥ!」
次に背中のブレードを咥えて一閃!飛んだ斬撃が男達を斬り、その場に倒れ込む。
「うぉぉぉぉ!」
あっ、声に振り向くと、僕の後ろには男が一人!でも……
「食らえぇぇぇ!」
「ギャッ!?」
ラルフさんの攻撃で男は吹き飛ぶ!
「先生!しゃがんで!」
「はい!」
「かめーーーー!」
僕とラルフさんが同時に体を低くすると、その上をタルトのブレスが通る!やった、男達をまとめて薙ぎ倒した!
「この調子です!さあ、全員やっつけてやるぞ!」
「わん!」
「俺もやってやる!行こうタルト!」
「かめ!」
僕達は街を駆け回る。あの人さらい達は何で外に……ううん、考えるのは後だ!まずは全員倒さないと!
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