少年テイマー、勉強会を終える
ラルフさんと別れてからしばらくして、僕とリースさんは一緒に森で休憩していた。
「ティムさん、テイマーってすごいんですね。私もラルフさんと同じで、世間からの評判を真に受けてました……。」
「アハハ……。」
「でも、どうしてテイマーは役に立たないスキルって見られてるんですか?私が見た限り、全然弱く見えないのですが。」
「そう!そうなんだよ!テイマーって凄いんだよ!魔物と力を合わせれば、その子の力を使えたり連携して戦えたり、色んな事が出来るんだ!……多分使えないって言われるのは、他のスキルと比べて一人で出来る事が少ないからだと思います……。」
「な、なるほど。一人ではうまく動けないんですね。」
「あっ、はい……それは事実なんです……。」
説明に熱が入って、ちょっと興奮しちゃった。変な人って思われてないといいけど……。それより、もうすぐ日が暮れそう。ラルフさん、魔物は見つけられたかな?
「おーい!二人共ー!今帰ったぞー!」
「ティムさん、ラルフさんが帰ってきましたよ!」
「分かりました!一緒に行きましょう!」
僕達が切り株で話をしていると、ラルフさんの声が聞こえた。僕達はその声の方へと向かうと、彼は一人でその場に立っていた。
「お疲れ様です。どうでした?気の合いそうな魔物は居ましたか?」
「ああ!これを見てくれ!」
ラルフさんが後ろを向くと、背中に一匹の魔物がしがみついていた。この子はサンドタートルかな。丈夫な甲羅を持っていて、それを攻撃に使える子なんだ。
「先生!仲良くなれそうな魔物は見つかったけど、次はどうすればいい?」
「はい!見つかったなら今はそれで終わりです!」
「おお!終わりか……終わり!?」
驚いた顔をしているラルフさん。でも、今出来る事は本当にこれくらいなんだ。
「はい。後は魔物と仲良くなる事ですね。ご飯を食べたり、遊んだり、時には戦ったり!一緒に過ごして仲良くなる事で、その魔物の力を引き出したり、逆に力を借りれるようになります。」
「?。そんな簡単な事なのか?」
「はい。でも他の人は、魔物は従わせる物って考えているので、無理矢理言う事を聞かせるだけで、仲良くなんてしないんです……。それでは、ちょっと実例を見せますね!レルー、こっち来てー!」
「わん!」
遠くからレルが走って来て、僕の顔をペロペロと舐める。そして少しじゃれ合った後、僕はレルの頭を撫でて、指示を出す。
「レル、力を貸して!」
「わん!」
僕はレルの背中に手を当てた。するとそこからブレードが現れる。そう、これはブレードウルフの持つ剣。テイマーなら魔物の持つ力を引き出し、使えるようになるんだ!
「でかっ!それってウルフをやっつけた時の武器だろ?レルちゃんの物だったのか?」
「はい。こんな感じで力を借りれるので、テイマーは魔物と一緒なら強いスキルなんです!……って僕は思ってます。」
一通り説明すると、ラルフさんはウンウンと唸っていた。どうかな、うまく伝えられたかな?
「はい!先生、もう一つ質問です!」
「お願いします。」
「最初に聞いとくべきだったかな?俺は戦士のスキル持ちなんだけど、テイマーって後からなれる物かな?ほら、スキルって本人の才能の事だろ?」
「確かにそうだけど……大丈夫だと思います。だって後ろのサンドタートル、凄く嬉しそうですよ!」
「この子が?どれどれ……。」
「かめ。」
ラルフさんがサンドタートルを降ろすと、この子はラルフさんの足元で頭を擦りつけていた。やっぱり、この子はラルフさんと相性がいいんだ!
「魔物と仲良くなりたい気持ちがあれば、きっと大丈夫です!」
「そうか……なら俺も頑張ってみたいな!先生みたいな強いテイマーになってみせるぜ!」
「かめー!」
二人共やる気満々、これなら大丈夫だ!そう思って空を見ると、もう日が落ちかけていた。
「ラルフさん、ティムさん!そろそろ戻りましょう!ご飯の時間ですよ!」
「「はーい!」」
リースさんの号令で、僕達は村に戻る事にした。でも、今日は良い日だ。テイマーの理解者が二人も出来たんだ!僕はもっと強くなって、テイマーは凄いって事を皆に見せたい、そう思いながら村へと足を動かしていった。
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