配信者三人、観光開始!
「やあ諸君、ただいま!支度は終わったかな?むっ!?」
「遅い!もう夜だぞ馬鹿!どこに行ってたんだ?」
「お帰りなさい!お疲れ様です!」
報告を終えた夜。ロットンさんが扉を軽く足で蹴って入って来た。手にはたくさんの紙袋を持っている。そのまま入ろうとしたけど、ラルフさんのチョップがロットンさんの顔に当たっていた。
「痛っ……悪い悪い。ちょっとした情報収集をな。」
「情報収集?」
「お前達は気にしなくていい。で、どうだ?どっか行く場所は決まったのか?」
「それがな、明日は」
「門番さんに案内してもらう事になったよ!ミーはごはんをたくさん食べるんだー!」
ラルフさんに割り込み、ミーさんが嬉しそうに話している。ロットンさんも嬉しそうに微笑んでいた。
「どうした?顔がにやけてるぞ?」
「いや、何か三人見てると楽しくてな。色々案内してもらえ!せっかくの機会だ、存分に遊んで来いよ!」
「うん!」
「おう!」
「はい!」
今日の夜は、ロットンさんが簡単に作った料理を食べて、早く寝る事になった。明日の観光、どこに行くのかな?
そして次の日。僕達が外に出ると、一足早くロットンさんが外に出ている。話しているのは……門番さんだ!
「おはようございます!」
「早く早く!楽しみで寝れなかったよー!」
「嘘つくな!お前ぐーぐー寝てただろ!」
ロットンさんに合流すると、彼の横の門番さんが挨拶をしてくれた。
「おっ、起きたな。……では、改めて紹介をお願いします。」
「ええ!と言う訳で、今回案内をするのはこの私、フォージャーです!皆、今日はよろしくね!」
「フォージャーさん、頼みますよ!ここの観光なんて初めてですから、この子達にもいい経験になるでしょう。」
「はい!じゃあ早速行こうか!皆こっちこっち!」
門番さん……フォージャーさんが誘導してくれてる。僕達はパートナーも合わせた五人で、彼について行くよ!
「ロットン、行ってくるぜ!」
「おう!」
さあ、観光開始だ!わくわくするなー!
「みんなー!ミー達は今、クエストが終わって観光中だよー!ゲストは前の配信に続き、テイマーのティムと、ラルフの二人だー!後は友達のレルとタルトもいっしょだよ!」
「フォージャーさん、この観光、配信って大丈夫でしょうか?」
「いいよいいよ!皆への紹介になるからどんどんやってよ!そうすればきっとリーダーも喜ぶから!」
「やったぜ!俺もカメラを起動するぞ!」
「あっ!僕もやります!」
最初に案内されたのは、カーノンの街にそびえ立つ、巨大なドーム!ここの入り口をくぐりながら、フォージャーさんは説明をしてくれる。
「まずはここ!カーノンの街と言えば、やっぱり武器工場だよね!」
「「「おおーー!」」」
見えるのは鉄を溶かす工場!ここで武器の材料になる鉄を用意してるんだね。
「まずはここで材料を溶かし、あちらで成型します。」
その隣には、たくさん武器の型が置いてある。剣、盾、槍……ハンマーに銃に……クワ?シャベル?
「あの、ここって武器だけ作ってる訳では無いんでしょうか?」
「ああ、ここで日用品も作ってるんだよ。冒険者だって日々の生活があるからね。ほら。」
「あっ。」
僕がフォージャーさんの方を振り向くと、食器や木の家具なんかも置いてある。何でも作れるんだ!憧れるなあー。
「おお!あの剣格好いいな!あの槍も!」
「そうかい?あれらは試作品だよ。作ってはみたけど、どうも耐久性に難があってね。」
「ねー。この剣なんか嵌ってるよー?」
「これは魔石だよ。魔物を倒した時とか、たまに落ちるだろう?その魔石を使って強化してるのさ。」
「へぇー。」
一通り説明が終わると、フォージャーさんはすぐに外に出る。
「じゃあ、次に行ってみよっか!」
「えっ!?もうかよ、まだ見てたいのにー!」
「こういうのはまず全部見るのがコツさ!それから興味のある物をじっくり見ればいい。一つに集中してると、他のいい物が見れなくなっちゃうからね!」
「おおー!何かかっこいいー!」
「さあ、次はこっちだ!おいしいレストランヘ招待しよう!」
「レストラン!?ごはんだごはんだ!」
皆と外に出るフォージャーさん。すると彼の足がタルトにコツンと当たってしまった。
「あっ……大丈夫かい?」
「かめ!か………かー!?かー!?」
「どうしたタルト?」
「ご、ごめんよラルフ……私の足がぶつかってしまって。」
「平気平気!タルト、俺の背中に乗って!」
「か、かめー。」
ラルフさんはタルトを背負って次の名所へ。僕とレルも皆の側へ。レストラン……何があるかな?おいしいもの、たくさん食べたいなー!
それにしても、タルトは凄いびっくりしてたね。周りの景色に見とれてたから、突然の衝撃で驚いちゃったのかな。
◇◇◇
「おいおい……マジかよ……。」
ロットンは街で情報を集めている。集めているのは……この街のリーダー、フェイクの情報である。
「この街の前のリーダー……急死してたのか。それも、つい最近……。」
集めた情報をメモに記し、彼はぶらぶらと街を歩く。
「あのリーダー、何か気になる……もう少し情報を集めるか。……っと!」
すると後ろに気配を感じるロットン。高速移動で姿を消すと、すぐに後ろから二人……軍服を来た男達が現れた。
「いないな……探せ!」
「変な動きをされると厄介だ。余計な事をしないよう止めなければ!」
奇妙な会話を聞き、ロットンはニヤリと笑っていた。
「おーおー……揺さぶりが効いたようだな。まっ、大っぴらに仕掛けては来ないだろ。俺も適当に調べますかね。」
ロットンはそっと屋根を伝い、街の探険を開始するのだった。
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