クエスト達成、微妙な違和感
「ほら、急げ急げ!」
「がんばれー、レルー!」
「わふ!?」
僕達は村から全力で走り、カーノンの街へ向かっている。ロットンさんとミーさんは余裕たっぷり、一方ラルフさんはもうへとへとみたい。スピードが落ちてきていた。
「あんな事があったのに、皆元気だよな。俺まだ疲れが取れてないんだよ。」
「ラルフさん、タルトは僕が連れていきますから、先に行って下さい!」
「ごめん、頼むよ……。」
僕はラルフさんの背中に居るタルトを背負って、再びスピードを上げる!
「行くよタルト!しっかり掴まっててね!」
「かめ!」
そして走り続けて、僕達はカーノンの街の側まで帰ってきたんだ!
「着いたぞ。早速報告だ!」
「ま、待てよ……少し休ませてくれ!」
「ミーもミーも!ご飯食べたいよー!」
「朝食っただろうが!終わってからにしろ!」
僕達は門の前に行くと、そこには門番さんが立っていた。僕達に気づくと、敬礼をした後に走ってやって来てくれた。
「お疲れ様です!依頼は達成出来ましたか?」
「ええ!バッチリですよ!それで、報告をしたいのですが、フェイクさんを呼んでもらえませんか?」
「分かりました!こちらでお待ち下さい!」
門番さんは他の人に交代。僕達は門の中に入り、役場の応接室で待機。すると門番さんが、フェイクさんを連れて戻って来た。……僕もお腹すいてきたなぁ。早く報告して何か食べたいよー。
「皆の者、敬礼!」
「「「ハッ!」」」
統率のとれた動きで礼をするフェイクさん達。フェイクさんはソファーに腰掛け、ロットンさんも報告を開始する。……やっぱりフェイクさんってかっこいいなあ。
「まずは諸君、礼を言わせてくれ。ありがとう。依頼通り、トロールを倒してくれたのだろう?」
「ええ、この子達が大活躍!私も鼻が高い!」
「この子達……?あちらの方の試験では無かったのか?」
「えっ!?」
フェイクさんはラルフさんを見て、彼に話す。ラルフさんは突然話を振られてびっくりしていた。
「お、俺もそのつもりだったんだよ。でも、予想以上に数が多くて……。」
「それでミーも手伝ったんだよ!」
「はい、僕達も応援に入りました。」
「ふむ……それ程の数が村に……。」
フェイクさんは真剣な顔でこちらを見ていた。するとロットンさんが、束になった書類を彼に手渡す。
「こちらが今回受けた被害になります。まとめましたので、一度ご確認下さい。村の人達への支援、お願いしますね。」
「ありがとう。しかしここまでしてくれるとは……本当に素晴らしいな。恐れ入った。」
「はは!そう言ってもらえるとこちらも嬉しいです!」
そしてフェイクさんは、もう一度ラルフさんの方を見る。ラルフさんはまたびっくりしていた。
「な、何か……?」
「いや、君のおかげで村が救われたんだ。本当にありがとう!」
「ま、まあ俺も頑張ったんだけど、さっきも言った通り、この二人の力があってこそだから。な、二人とも!」
「うん!」
「はい!」
そして足元の二人も見る。
「後はタルトと、レルも頑張ったよな!」
「かめー!」
「わん!わん!」
机の下から声でアピールする二人。それを聞いて、フェイクさんはどこか安心した様子だった。
「ではラルフ、君の報酬に砲台も追加しておこう。約束したからな。」
「やったぜ!俺、こういうの格好良くて好きなんだよなー!」
ラルフさんも大はしゃぎ!これでひとまず一件落着かな?
僕達はそう思っていた。でも、ロットンさんのある言葉で、風向きが変わったんだ。
「では、私達はここで引き上げます!依頼も完了しましたし、食事と宿も面倒見てもらってます。これ以上迷惑かける訳には行きませんからな。」
「なっ!?」
フェイクさんが急に慌てだした。何でだろう?
「では、貴方達が捕まえたあの人さらい達、奴らも連れて行くと言う事か?」
「ええ。」
「そ、それは待ってくれ!」
「どうしたんですか!?そんなに慌てて。」
ロットンさんも驚きを隠せない。冷静に見えたフェイクさんが急に慌てたのが予想外だったんだ。
「頼む、待ってくれ。奴らにはまだこちらで尋問したい事がたくさんあるのだ。もう少し時間をくれ。」
「しかし、さっきも言いましたが迷惑をかけてしまうので……。」
「心配無い!それなら引き続き、こちらで面倒を見よう!君達はここで少し、観光でもしていくと良い。依頼で疲れただろう?」
フェイクさんはこちらを見る。するとラルフさんは喜びの声を上げた!
「観光!?俺観光したい!せっかく来たんだから、のんびりとしてこうぜ!」
「ミーもミーも!おいしいご飯食べるー!」
「僕も、ここで色々と見てみたいです。ロットンさん、どうですか?」
「うーん。そうだな……。」
ロットンさんはしばらく考え込み、そして結論を出した。
「分かりました。貴方の街の側での人さらい……腹も立つでしょう。尋問が終わったらこちらに伝えて下さい。それまではこちらに滞在させて頂きましょう。」
「そうか!感謝する!」
「では、彼らは一度宿に戻らせますね。……お前達!一度解散するぞ、宿に行って観光の準備だ!しっかり遊んで来い!」
「「「はーい!」」」
やった!しばらくはここで観光だ!何を見ようかな?僕達は色々と考えながら、一度宿屋に戻る事にしたんだ。
あれ?ロストガルーダの事、報告してない?……でも、ロットンさんが居るから、大丈夫だよね!
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