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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第六章

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少年テイマー、再び街へ

「よっと。あそこがトロールの、そしてロストガルーダの居る森だな。」


 ロットンは小屋から森の近くへ移動し、高い木の上から望遠鏡で周りを覗いている。そこに見える景色は、たくさんの木の実が実っている森の姿だった。魔物達の姿もあちこちに見えている。


「これだけの食い物がありゃ、わざわざこっちに来る必要も無いだろうに。何があるんだ?」


 ロットンは更に観察を続けると、森の奥からドタバタと音が聞こえてくる。すると辺り一帯、何やら騒がしくなってきた。







「ウゴォォ!ウゴォォ!」


「きゅー!」


「モー!」


 音に怯えたのか、魔物達が一斉に逃げ出す。するとそこに現れたのは……ロストガルーダであった。





「ウギャァァァ。ウギャァァァ。」


「アイツか、ティム君が言ってたのは!」


 気配を殺してじっとしているロットン。見つかれば戦闘は避けられない。木の陰に隠れてやり過ごそうとしていた。




「ウギャァァァ。」


「行っちまった。どうするかな……よし、後を追ってみるか。」


 やがてロストガルーダは森の奥に入ってしまった。ロットンは距離を詰め過ぎないよう警戒しながら、後に着いていく。















「ウギャァァァ!ウギャァァァ!」


「うぴゃああ!」


「ぴい!ぴい!」


 ……ロストガルーダの向かった先は、ゴツゴツとした岩場。周りを見渡しながら岩場の陰に行くロストガルーダを追跡すると、大きな巣を発見する。ここまで来てしまったロットンは、冷や汗を流していた。



「ここで子育てしてるのか……。だが、ロストガルーダは滅多に人前に出て来ない筈だ。生態調査なんて依頼が入る位だしな。それが何故?」


 ロットンは注意深く巣を観察する。すると子ども達用の小さな巣が、三つ置いてあった。そのうち二つから、小さい雛が出てきて、親の側へと歩いている。


「子どもの声は二匹分だぞ……まさか!」



 ロストガルーダは来た子どもに果物や肉を与えている。そして後一個ある巣を見て、寂しそうな顔をしていた。


「ウギャァァァ……。」







「子どもが居なくなったから、人里に来たって事か!」


「ウギャァァァ?」


「や、やべぇ!」


 思わず大声を出してしまったロットン。それに気づきかけたロストガルーダ。巣の近くを確認している隙に、ロットンは素早くこの場を離脱した。


















 ◇◇◇


「先生、何も入り口で待ち構えて無くても……。」


「一応です!ロットンさんが来るまで、ちゃんと見ておきますから!」


 あれから数時間。定期的に外を見てるけど、特に魔物が襲って来る気配は無い。外もすっかり暗くなっちゃったけど、きっともう少しだ。ロットンさんが戻って来るまで、見張りを続けないとね!


「よっ諸君!帰ったぜ!」


「あっ!お帰りなさい!」


 僕が外を見ると、そこにはロットンさん!どうやら見回りが終わったみたいだ!



「どうでしたか?何かありました?」


「まあな。取りあえず中に入らせてくれ。」


 僕はロットンさんを小屋の中に入れ、ラルフさんと机の側に座る。ロットンさんは、何か難しい顔をしていた。



「さっき森を見てきたが、今は問題は無さそうだ。食料もあるし、魔物ものんびりと過ごしてたよ。ただ……。」


「ただ?ロットン、何かあったのか?」


「なになに?何かあったの?」


 ベッドの上からミーさんも話しかける。



「あのロストガルーダ、子育て中みたいでな。それで森の中で色々と食料を探してたんだ。だからそれに怯えて、他の魔物が外に逃げちまったみたいなんだよ。」


「なるほど。確かにロストガルーダなら、大半の魔物は逃げてしまいます。ご飯が足りなくなったから、それで近くのこの村に……。」


「だから、この事をフェイクさんに伝えなきゃならんな。こんな事態滅多に無いだろうが、やはり対策は考えた方がいい。」



 するとロットンさんは寝床をすぐに整え、そこに潜り込んだ。



「だから、俺達は街に戻った後、それを報告しなきゃならん。明日は早いから、お前達も早めに寝とけよ?」


「はーい!」


「了解だ!」


「かめ!」


「分かりました!レル、僕と一緒に寝ようー!」


「わん!」



 僕達は早めに寝て、次の日にカーノンの街へ帰る事にした。何だか大変な事になってきたけど、今は体を休めておこう。僕もレルと一緒に寝て、明日へ備える事にしたんだ。









 そして朝!僕達は起きた後、ロットンさんの手作りサンドイッチを食べて、外に出る。そしたら、村の人達が僕達の所にやって来た!


「皆様!トロールを倒してくれて、ありがとうございます!これでまた野菜を育てられます!」


「いえ!これが私達の仕事ですからね!それで、報告の為に一度街に帰らんといかんのですよ。」


「そうですか……。お礼もまだしてないのですが……。」


「お気になさらず!」



 ロットンさんはおじいさん達に囲まれて嬉しそう!一方僕とラルフさん、ミーさんは、やっつけたトロール達の所へ行く。彼らは村から離れた場所でじっとしていた。




「う、ウゴォォ!」


「待って待って!攻撃するつもりは無いよ!レル、お願い!」


「わん!」





「わん!わん!」


「ウゴォォ……?」


「わん!わふ!」


「ウゴォォ!ォォォ!」


「わん!」 



 ラルフさんとミーさんは不思議そうにレルを見ていた。


「先生、何て言ってるんだ?」


「あれは……説得してるんです。ロストガルーダの件はロットンさん達と相談して決めましょう。でも。」


「わん!」


「あっ、終わった!」



 トロール達は一列に並び、村の人達の所へ。すると両手を合わせ、何か伝えようとしていた。


「ウゴォォ。ウゴォォ。」


「こ、これは……?」


「トロールは皆さんに謝りたいんです。迷惑をかけていたのは分かってるんですね。」


「き、君は魔物の言葉が分かるのかい?」


「はい。全部ではありませんが、だいたいなら!」


「しかし……信用できますか?」


「トロールはロストガルーダに森を追われてここに来たんです。悪気があった訳では無いと思います。被害の事はフェイクさんに相談してみますから、今は一度、様子を見てみませんか?」


 僕は村の人達に説明する。すると皆で話し合い、しばらくしてさっきのおじいさんが前に出て来た。


「分かりました。でも、できるだけ早くお願いします……。私達も生活していかないといけないので……。」


「はい!ではロットンさん!」


「おう!早めに行くとしようか!……では、皆さん!私達は報告に行ってきます!」


「冒険者さん、お願いします!」













「さて、急ぐぞお前達!早く帰って報告だ!」


「レルー!全速力だよー!」


「わ、わん!」


ミーさんはレルの背中に乗って大はしゃぎ。僕はラルフさんと並んで走っていた。


「ラルフさん、急ぎましょう!」


「待ってくれよ皆!早すぎるって!」


「かめー。」


 村の人達に挨拶をした後、僕達はカーノンの街へ急いで走る。この事を、早くフェイクさんに報告しないと!

今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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