いざ、昇格試験へ!
「出来た……もうお腹ペコペコだよ……。」
「わふ?」
僕とレルは荷物をまとめて、今は床に寝そべっている。明日はラルフさんの試験、僕もしっかりしなきゃいけないんだけど……。
「もう、無理……。」
「わん!?わん!わん!」
お腹すいた……山での朝ご飯の後、ずっと食べてないから、ぐーっとお腹が鳴り続けてるよ……。
「おーい!皆居るかー!帰って来たぞ!ラルフの部屋に集まってくれ!」
「き、来た!」
僕は体を起こしてラルフさんの部屋に。そしたら部屋の前にはロットンさんが居た!
「ティム君、悪いな。すぐに作るから、部屋に入って待っててくれ!」
「は、はい。」
ロットンさんは急いで部屋に入り、備え付けのキッチンで料理を始める。お湯を沸かし、材料を切り、手早く調味料を……見ないようにしよう。見たら耐えられない!
「ほら、出来たぞ!召し上がれ!」
「「「おおーー!」」」
出てきたのは……大きなチキンと、大量のピザだ!
「本来時間がかかるもんだが、待たせちまったからな。魔法で調理した。火力は問題ねぇだろ。」
ロットンさんは片手で火を起こし、ピザとチキンの表面に焼き目を入れる。
「こういう日常の動作でもトレーニングは出来るもんだ。覚えておくといい。」
「分かったよ!分かったから!」
「ねー食べようよー!もう我慢できないよ!」
「ああ、それでは皆様!」
「「「「いただきます!」」」」
「わふ!」
「かめ!」
「おいしいー!」
「その肉こっちにくれよ!俺明日試験なんだ、力をつけないと!」
「ラルフさん、おかわりはたくさんありますよ!僕達はこっちから食べましょう!」
「先生も食べるの早いって!」
「ラルフ、いよいよだな。」
楽しく食事をしている中、ロットンさんは唐突に口を開けた。
「ああ!」
「分かってると思うが、トロールはパワーのある魔物だ。武器を扱う知能もある、気をつけろよ。」
「分かってるって!俺にはタルトがついてるんだ、な!」
「かめ!」
タルトはお肉を頬張りながら力強い声を出す。自信たっぷり、これなら油断しなければいける筈だよ!
「それとティム君、判断基準は君に任せるから、コイツの戦いを見てからの情報提供、頼むぞ!忖度ナシだからな!」
「分かってます。ラルフさん、厳しくいきますよ!」
「よろしくお願いします、先生!」
「はい!」
「おいしいねー!レル!」
「わん!わん!」
僕達が話をしている中、ミーさんとレルは二人で食事を続けていた。
◇◇◇
そして翌日。僕達は一旦カーノンの街の外へ。ロットンさんが地図を見ながら場所を確認している。
「場所はここから……30分くらいか?思ったよりは遠くなさそうだ。」
「あー……緊張してきた。」
「あまり固くなるなよ。お前がやるのはいつもと一緒だ。魔物を倒して無事に帰って来ればいいんだ。」
「だよな……。うん、俺頑張るよ!だからしっかり観察してくれよな!」
そして、僕達が話していると、後ろから……フェイクさんとお供の人が現れた!お供の人はこちらに向けて、箱を差し出した。
「では諸君、よろしく頼むぞ。これはこちらで用意した食事と、装備の手入れ用具、後は武器を一通り揃えた。好きな物を使ってくれ、壊してしまっても構わない。」
「ああ!ありがたく使わせてもらうよ!ありがとう!」
「礼には及ばないさ。これくらいのバックアップはさせてもらえないと、こちらも辛い。」
申し訳無さそうな顔をするフェイクさん。それを見たロットンさんがフォローを入れる。
「いえ、こちらこそ申し訳無い。試験用のクエストに利用してしまって。」
「私達としてはその方が助かるのだ。安く依頼を頼めるからな。気にしないでくれ。」
「分かりました。では、行ってきます!」
「無事に帰って来てくれ……皆の者、戦士たちに敬礼を!」
「「「「ハッ!」」」」
フェイクさんはお供の人と一緒に門の側で敬礼を行った。これだけの期待を背負ってるんだ。ラルフさん、頑張りましょうね!
「さあ、レッツゴーだ!行くぞー!」
「「おおーー!」」
「元気だな!こりゃ楽しみだ!」
僕達はひたすら栽培地点に向かい、歩いていく。さあ、昇格試験スタートだ!
◇◇◇
「ま、まさかこんな所で捕まるとは……。」
「何、気にするな。すぐに出られるようになるさ。」
ラルフ達が出発してから、しばらく後。捕まえた人さらい達を閉じ込められている牢屋に、一人の男が現れた。
「随分たくさん居るじゃないか。」
「何だ!?誰だテメェは!?」
「これだけの人数でしくじったのか……。」
「何だコイツ……?」
暗がりで顔は見えない。しかし男は牢屋の人さらい達に顔を近づけ、覗き込んでいた。
「……もう一度聞く。」
「あ?」
「こ れ だ け 居 て し く じ っ た の か ?」
「ヒッ!?」
「お、おい……何で……?何で……!?」
一斉に怯えだす人さらい達。牢屋の前に居る男の姿は、やはり暗がりで見えなかった。
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