少年テイマー、皆と野宿する
「ほら!走れ走れ!さっさと行かねえといつまでも山の中だぞ!」
「お前さあ、自分が平気だからって人を急かすのやめろよ!」
「ミーはこんなの簡単だよ?もっと鍛えなきゃ!」
「ラルフさん、頑張って下さい!僕が後ろに居ますから!」
「皆良いよなあ。まだまだ余裕そうだもん……。」
僕達は山道を走り、目的の街に急ぐ。さっきまでとは違い、ひたすら魔力を使ってスピードを上げて進んでる。けど……。
僕達が山頂に着いた時には、もう空は暗くなっちゃった。山から辺りを見回すと、下の方に明かりが見えるよ!
「ほら、あそこにたくさん明かりがあるだろう?あそこが今回の目的地だ。」
「まだ距離があるな……。」
「さてラルフ、ここで質問だ。どうする?ここで野宿するか、それともこのまま一気に行っちまうか。好きな方を選んでくれ。」
ロットンさんからの突然の提案!ラルフさんはどう答えるんだろう。
「決まってるだろ!今日は野宿だ!」
「一応理由を聞いておこうか。」
「暗いと危ない!敵の襲撃に気づかない!何より慌てて行って、疲れた時に襲われたらアウトだろ?ここは一箇所に留まった方が安全じゃ無いかな?」
「…………オーケーだ!なら俺が支度してやる。結構時間がかかるから、お前達は適当に休んでろ。」
ロットンさんは背中の荷物からテントを取り出し、組み立てを始めていた。僕はその間、ラルフさんとミーさん、二人と一緒に座って休む事にしたよ。
「わん!わん!」
「かめ!」
「わふ?」
「かめー!」
レルとタルトは二人で話をしてるみたい。それなら、僕も気になった事を聞いてみよう!
あっ、捕まえた人達はロットンさんが一人で運んでたね。腰に縄をくくり付け、引きずりながら運んでたんだ。
魔力を使って、更に複数人を運びながらこの様子……この人はかなりの実力者だ。ちゃんと動きを見ておこう!
「ラルフさん、さっき言ってた配信って何ですか?」
「先生、知らないのか?さっきこの子が言ってた配信……王国で魔王が出たって話なんだ。勇者擁する国の出来事だ、色んな人が見てたと思う。」
「そうなんですか……僕、帰って来てから配信はしたけど、そういうのは見てなかったです。」
「そこで、先生とあのサリアって子が魔王達と戦ってた所が配信されてたんだよ!やっぱり先生は凄いよ!俺もあんな風になりたいなぁ。」
「いえ、あの時魔王達は全く本気を出してなかったんです。あのまま戦ってたらと思うと……。」
あのルーって人と、僕達は全く勝負にならなかった。勝ったと思った時も手加減してた状態。僕達はもっと強くならないと……。
「そうだ!君はあの場に居たんだろう?何か用事があったのか?」
「うん!ミーは買い物の為にあそこに居たんだ!そしたら急に音とか物とか飛んできて、びっくりしちゃった!慌てて見に行ったら、そこでティムが戦ってたんだ!」
「そこで配信してたのか……。普通逃げ出すぞそんな場所、命が幾つあっても足りないからな。」
「平気だよ!ミーは強いもん!飛んで来た瓦礫も全部避けちゃった!」
胸を張るミーさん。……そんなに強いのに、何であの悪い人達に捕まってたんだろう?
「あの、ミーさ……」
「おーい、支度終わったぞ!皆、早く来てくれ!」
ロットンさんが僕達の所に来て、テントを指差す。一人で全部準備出来るなんて、やっぱり凄いや!
「何か全部任せちまったな。悪い。」
「気にすんな!ほら、さっさと入れ!」
「ミーも入る入る!」
「皆さん慌てないで!レル、タルト、一緒に行こう!」
「わん!」
「かめー!」
「一応食材を用意しておいて良かったぜ。魔力での加速込みだが、本当は今日中に着く予定だったんだがな。」
「「「お、おおーーー!」」」
テントの中には……シチューにサラダに、サンドイッチ!?これ、全部ロットンさん一人で作ったの!?
「明日は早めに出るぞ。だから早く食って寝とくといい。」
「おいしい!これおいしいです!」
「うん、おいしいね!ミーもたくさん食べるよ!」
「おい!それは俺の分だぞ!自分のを先に食べろよ!」
僕達は出ている料理をどんどん食べる。だって置かれた料理、みんなおいしいんだもん!手が止まらないよー!
◇◇◇
「ったく、とんでもない事態になって来たな。」
「わん!」
「かめ?」
「ほら、君達のテントだ。悪いな小さくて。」
テントで三人が食事をとっている頃、ロットンはレルとタルトを隣のテントに運び、食事を置いていた。
「魔物の食事ってそれぞれ違うだろ?よく分からんから、あまり手を加えないように作ってみたぞ。」
ロットンの出した食事は、野菜を乗せたサラダと薄味のスープ。簡単に茹でたお肉と魚を添えて二人に出していた。
「わふ……わん!わん!」
「かーめ!かめ!」
「おっ!喜んでくれてるなら良かったよ!……さて、俺は外に出るか。君達も早く寝とけよ!」
「わん!」
「かめ!」
そう言ってロットンは外に出る。彼の後ろには二つのテント。これを朝まで守らなければならないからである。
「疲れたなんて言ってられねぇな!よっと!」
彼は地面に手を置くと、そこから土の壁が現れる。テントの周りを壁で囲み、自分はその上に座っていた。
「危険は無いと思うが、一応な。ったく、デキる職員は辛いぜ!」
軽く愚痴をこぼしながら、ロットンは周りへの警戒を強めるのだった。
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