少年テイマー、新しい冒険へ
いよいよ出発だ!僕達は家の外に出て、村の入り口に向かう。……その前に挨拶しておかないと!
「リースさん!今からクエストに行ってきますね!」
「分かりました。ロットンさんから話は聞いてますから!ラルフさん、頑張って下さい!これはお弁当です!」
「ありがとなリースちゃん!行ってくるよ!」
「ティムさんもレルちゃんも気をつけて下さいね!ラルフさんを見守ってあげて下さい!」
「任せて下さい!ね、レル!」
「わん!」
すると僕達の様子を見て、皆も来てくれた。皆にも心配かけないようにしなきゃ!
「ビー君、マイラさん、モブロウさん、モブスケさん!行ってきます!」
「びー!」
「行ってらっしゃいませ、ティム兄貴!」
「そこの兄ちゃんが試験なんだって?頑張れよ!」
「お気をつけて。怪我をしないよう、気を引き締めて。いいですね?」
「はい!」
「わん!わん!」
「ありがとなマイラさん!それと村の皆!」
そして僕達は村を抜け、目的地に向かって進む事にしたんだ。ラルフさんの為にも、しっかりサポートしないとね。
「そうだティム先生。俺は何となく危険と思ったんだけど、クエストにあったロストガルーダってどんな奴なんだ?ガルーダって絵で見た事あるけど、まだ会った事無いんだよね。」
「そうですね……ガルーダは二足歩行で歩く鳥型の魔物です。大きな翼から羽根を飛ばしたり、口から得意な属性のビームを出したりする魔物ですよ。」
「び、ビーム……。」
「ロストガルーダは……翼が退化しているけど、その代わりに地上での戦いが得意なガルーダです。ラルフさんではまともに戦えないと思います。」
「そうなんだ……選ばなくて正解だったな。」
僕達は山通を歩きながら、まずは目的の街に向かって歩く。
「なあロットン。ちょっといいか?」
「どうした?聞きたい事でもあんのか?」
「折角の試験なんだし、配信って大丈夫かな?」
「そうだな……映像があれば評価の参考にもなるし、別に構わないぞ。でも気をつけろよ。配信に気を取られて死なないようにな。」
「わ、分かってるさ!」
「それと。」
ロットンさんは咳払いをして、ラルフさんに忠告を始めた。
「万が一、俺がクエスト続行不可能と判断したら、即座に試験は終了だ。その時点で撤収し、合否を判断する。たとえお前が無傷だとしてもな。」
「ん?何で?」
「想定外の事態ってのはどこでも起きる可能性がある。受験者を守るのも試験官の役目だからな。」
「お前って本当そういうのはしっかりしてるよな。」
「まあ、一応な。ほら、無駄話は終わり終わり!さっさとここを抜けて、目的地へ行かねえとな!」
「おう!」
「はい!」
「わん!」
「かーめー、かーめー……。」
僕達は山の奥へ。こんな状態だけど、ラルフさんの背中に乗っているタルトはのんびり夢の中みたい。リラックスできていいなー。
「わん!わん!」
「レル!この感じは……。」
「……かめ!」
「ど、どうしたタルト?」
道を進むと、並ぶ木の間から殺気が飛んできた。誰か居る。
「……皆、敵だ。気をつけろよ。」
「ロットン、お前はどうするんだ?」
「一応様子見だ。何かあったら手を貸すからな。ティム君はラルフと一緒に頼むぜ!君の力も見てみたいからな!」
ロットンさんはそう言って姿を消した。敵次第だけと、僕達ならきっと大丈夫だ!
「…………。」
「ティム先生?」
「そこだっ!」
僕は草むらに短剣を投げつける。するとカチンと弾く音と共に、周りの草むらから人が飛び出して来た。
「ほお。私達の事を見つけるとは大したものだな。」
「だ、誰だお前ら!」
「さあな。しかしお前達、珍しいな。魔物と一緒に旅をしてるのか、高く売れそうだな。……特にそこのお前!」
「ぼ、僕!?」
リーダー格と思われる男が、僕を指差す。
「中々の逸品だ。艶のある髪、整った顔立ち。お前みたいな女は高く取り引きされるんだよ。」
「……ラルフさん、この人達は!」
「ああ!ここで全員やっつけてやる!」
「やるぞお前達!二人とも生け捕りにしろ!」
「「「「おおー!」」」」
僕達の周りを囲んだ男達は、一斉にこちらに向かって来る。僕はレルの背中に手を置き、力を借りる。
「さっさと捕まりな!」
「えいっ!」
僕は一人の攻撃を躱し、振り下ろされた剣をブレードで受け止める!その後は……。
「うりゃぁぁぁ!」
ブレードを男の腹部に当て、木の根元に叩きつける!
「ゲフッ!?」
「テメェ、やりやがったな!」
「ガゥゥゥ!」
「ギャァァァ!?」
僕の後ろに居た男はレルに任せるよ!レルはブレードを腰に差して、それを振り回す。すると風の斬撃が男に飛び、吹き飛ばした!
「ぐっ!?何だこの強さは!?俺達が押されているだと!?ならば……。」
男達はラルフさんの方へ向き、一斉に襲いかかった。まずい!早く援護に行かなきゃ!
「そいつの足止めは任せたぞ!」
「「「へい!」」」
だ、駄目だ、前は男達に塞がれてる!早く倒さないと……。
「ラルフさん!待ってて下さい、すぐに行きますから!」
「分かった!できるだけ早く頼むよ!」
僕は男達を相手に、ラルフさんはリーダー格の男を含めた敵に向かい、走り出した。
「行くぞタルト!俺達の力、見せつけてやろう!」
「かめ!」
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