久しぶりの再会、現れる来訪者!
「お、おいラルフ!こっち来てみろ!」
「何だよ急に……俺は今ダンジョン帰りで疲れてるんだって!」
ここは冒険者兼配信者、ラルフの拠点の街役場。受付の男は魔導パソコンを見て、驚きの顔をしてラルフを呼んでいる。
「いいから来い!とんでもない配信が出回ってるぞ!」
「だから、俺は疲れてるんだよ!早く家に帰って休ませてくれよ!」
「ここに映ってる子は、テイマーじゃないのか?お前の師匠も居るかもしれないぞ!」
「は?……テイマーだって!?」
ラルフは男のパソコンを見る。そこに映っていたのは、ティムとサリアが敵と戦っている場面だった。
「あっ、先生!そうそう、この銀髪の子が俺の先生なんだ!ティム先生、彼は一流のテイマーなんだよ。」
「す、凄えぞこれ!お前こんな人に教わってたのか!?」
「ああ。でも、ティム先生はやっぱり凄いな!あんな強敵と戦ってるなんて。俺も先生みたいに強くならなきゃな!」
ラルフは自分の事のように喜んでいる。その隣で受付の男は、何か思いついたようだった。
「…………なあラルフ、この人って勇者パーティーなんだっけ?」
「違うと思う。元勇者パーティーだな。追放されて、今は知り合いの村に住んでるんだ。」
「…………じゃあ、この人って今フリーって事だよな?」
「そうじゃないか?」
するとすぐに男は立ち上がり、荷物をまとめ出した。
「な、何してんだお前?」
「この人、俺達の役場に呼べないか!?これだけの腕前の持ち主、是非ともスカウトしたい!」
「いや、無理じゃないか?今はのんびり配信者をやっているから。」
「ま、マジか……。」
ラルフの一言で呆然とする男。しかし、すぐに首を振りながらラルフの方を見る。
「そ、そうか。でも、お前は行って来た方がいいんじゃないか?」
「な、何だよ急に。」
「今は彼はその村で休んでるはず。お前が元気にやってる事を伝えるチャンスじゃないか?」
「おお!そうだ、俺も伝えたい事が出来たんだもんな!休んでる場合じゃない!」
ラルフも荷物をまとめだす。彼の様子は、どこか楽しげだった。
そして次の日、ラルフは再び役場へ。
「よし、色々買ったし準備も出来た!じゃ、行ってくるわ!」
「かーめー!」
「まあ待て、俺もついて行こう!」
「何で!?」
手早く準備を済ませ、ラルフは背中にパートナーの魔物、タルトを乗せて役場の門を出る。本当はここで受付に別れを言うはずだったのだが、彼は同じように荷物をまとめ、ラルフの横に並んでいた。
「俺もお前の事を伝えないとな。それに……あれだけの凄いお人だ。是非一度会ってみたい。」
「お前……。」
男はラルフの肩をポンと叩く。
「これだけの功績を上げたんだ。他の奴らはトリックだのインチキだの言うかもしれんが、俺は信じるぞ。お前の先生なんだからな。」
「そうか……なら一緒に行こう!」
「かめ!」
「おう!」
こうして男二人、ティムの住む村へと向かって歩いてゆく。
「そういえば、お前受付の仕事はどうすんだ?」
「安心しろ、他の皆に任せてある。」
「それならよかった。無断で抜け出してきたのかと思ったよ。」
「俺だってちゃんとした職員だ!手続きはしっかりしてるわ!」
「かーめー?」
◇◇◇
「疲れたねレル。ご飯は何を食べようかな?」
「わふ?」
「フフッ。早く帰りましょうか。私も楽しみですよ。」
僕達は村へと歩き、入り口に近づく。そこではモブロウさんとモブスケさんが、僕達の帰りを待っていたみたい。
「あ、兄貴!三人が帰って来ましたぜ!」
「おう!良かった、良いタイミングだ!」
「二人とも、何かあったのですか?少し慌ててますよ?」
「マイラ姉貴、それとティム兄貴も!大至急リース姉貴の所へ行ってくれ!何かお客さんが来てるみたいだぞ!」
お客さん?一体誰だろう。サリアはストーレの街に帰ったはずだから、すぐには来ないと思うけど……。
「分かりました。私達が向かいますから、二人は休んでいて下さい。」
「頼むぜ、マイラ姉貴!」
モブロウさんとモブスケさんは自分達の家の中に入っていった。それにしてもお客さん……やっぱり気になるな……。
「急ぎましょう!レルも来るよね?」
「わん!わん!」
「では、早速行きましょうか。」
僕達は帰って来て、そのままの状態でリースさんの家に向かうことにした。
◇◇◇
「リースさん、戻りました!」
「あっ、おかえりなさいティムさん!お客さんが来てますよ!」
「はい!モブロウさん達から聞きました。どんな人なんですか?」
「それは会ってからのお楽しみです!こっちですよ!」
外に出ていたリースさんに促され、家の中へ。そこに居たのは…………。
「久しぶりだな、先生!」
ら、ラルフさん!ラルフさんだ!
「ラルフさん!お久しぶりです!」
「ティム先生!やっと帰って来たのか!もう待ちくたびれちゃったよ!」
ラルフさんは僕を見るなり、頭をわしゃわしゃと撫でる。
「ら、ラルフさん。どうですか、その後の様子は。」
「ああ!俺はタルトと協力して、どんどんダンジョン攻略に向かっているんだ。タルトは俺よりずっと強いから、負けないように特訓してるのさ!」
「かーめー!」
「あっ!タルト、お久しぶり!どう、ラルフさんとは上手くやれてる?」
「かめー!」
タルトは手足をパタパタと動かしてアピールをしてる。二人とも、ちゃんと信頼関係が出来てるんだね。
「ラルフさん、お久しぶりです!」
「リースちゃん!久しぶりに来たぜ!」
お互いにペコリとお辞儀をする二人。リースさんも楽しそうだ!
「ラルフさん、今回はどんなご用ですか?」
「ああ!それなんだけど、ティム先生に会わせたい人が居るんだ!」
「会わせたい人、ですか?」
「ああ!先生の活躍を耳にして、一度会いたいって言う奴が知り合いに居るんだよ!今日連れてきたから、よければ会ってくれないか?」
そう言って、彼が目をその知り合いに向ける。僕も一緒に目を動かすと……
「やあ!君がティムだな!ラルフがいつも世話になってます!」
そこに居たのは、茶色い肌の大きな男性だった。
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