少年テイマー、勉強会を開く
ラルフさんとリースさんとの食事を終えた後、僕は二階の部屋を借りて休む事にした。そして翌日。
「よし!早速準備だ!」
備え付けの鏡の前に立ち、ここで身だしなみを整える。うん。大丈夫だ、特に問題無し!でも……
「やっぱり女の子に見えるかな……?」
鏡の前に映る僕は、とても小さい。風が吹くと銀色の長い髪がゆらゆらと揺れる。ラルフさんは昨日、僕の事を女の子だと勘違いしていた。
「よーし!もっと強くなって、かっこいい大人になるぞー!」
僕はリュックを背負い、二人の待つ一階に降りていった。
「おはようございます!ティムさん!」
「リースさん!おはようございます!」
同時にペコリとお辞儀をする僕達。レルは机の下でサラダをもぐもぐ食べていた。
「おはよう、レル!」
「わん!」
「起きたか二人共!もう待ちきれないよ!」
「ラルフさん!おはようございます!」
外から入ってきたラルフさんは、丸太を背負っていた。これで体を鍛えていたみたい。
「それでは、早速始めましょう!二人共、魔物がいる場所って分かりますか?」
「はい。この村の裏に、ちょっとした森があります。そこには野生の魔物が潜んでいて、たまにラルフさんにパトロールしてもらってるんです。」
「よし、そこにしよう!案内をお願いします!」
「ああ!こっちだ!」
僕達はまず、裏の森に向かう。誰かに教えるなんて、緊張するな……。でも、大丈夫。僕はテイマーとして頑張ってきたんだ!ちゃんと出来る!
そして森に着いた僕達。まずは二人に、簡単に説明しないと!そこで僕はリュックから、数枚の紙を取り出した。
「それでは、今からテイマーの勉強を始めます!それと、説明しやすくしたいから、図を使いますね。」
「「お願いします!」」
僕はすうっと一息吸って、図を指差しながら二人に説明を始めた。
「まず、テイマーは魔物と力を合わせて戦うスキルの事。パートナーになる魔物がいないと力を発揮できないんだ。」
「ふむふむ。」
「だから、パートナーを探そうと思います。森の中で、魔物を探しましょう!」
「はい先生!質問です!」
ラルフさんが手を上げて質問をくれる。しっかりと答えないと!
「パートナーってどうやってなるんだ?野生の魔物って、言う事聞いてくれなそうだけど。」
「そうですね。一つは魔法の首輪を使う事。基本的に自分の強さが魔物より上なら、言う事を聞かせる事ができます。」
「首輪……?レルちゃんにはついてませんよ?」
続いてリースさんも質問する。そう、僕が伝えたいのは他のやり方なんだ!
「はい!僕が推すのはもう一つの方法、その魔物と仲良くなることです!」
僕は昨日作った、予想される質問の図を出し、説明した。
「魔物と仲良く、ですか?」
「そう!ラルフさんが昨日言ったみたいに、魔物だって悪い魔物ばかりじゃない。自分にあった子と時間をかけて仲良くなれば、本来以上の力を引き出せるようになる!それがテイマーの力です!」
「つまり……無理やり従わせるんじゃなくて、共に歩むのが大切ってことだな。」
よかった!一番重要な事が伝えられたよ!
「はい!それでは早速実践しましょう。まずは……あっ!」
僕が二人の後ろを見ると、遠くから猛スピードで接近してくる魔物が見えた。あれは……ポイズンビー!高速で飛行し、毒を撃ち込むハチの魔物だ!
「二人共、伏せて!」
「「は、はい!」」
「そこだっ!」
二人が伏せると同時に、ポイズンビーは頭のあった場所を通り抜ける。僕は足元から木の棒を取り、突撃してきたポイズンビーを思いっ切り叩いた。
「び、びー……。」
目を回しているポイズンビーを、僕は切り株に乗せてからそっと隠れる。するとこの子は、すぐに元気になって空を飛んでいってしまった。
「危なかった……。二人共、もう大丈夫ですよ!」
「あ、ありがとうございます……。」
「びっくりしたよ。急だったからな。」
「それでは今から、気の合いそうな魔物を探しましょう!リースさんは僕と一緒に待ちましょうか。」
「は、はい!」
「分かった。何かあったら呼ぶから、その時教えてくれ!」
「分かりました。それではしばらく自由行動で、またここに集まりましょう!」
説明が終わって、ここからは実践になる。僕はリースさんとここで待ち、ラルフさんは一人で森の中に進んでいった。
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