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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第四章

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少年テイマー、一歩前へ

「見つけたっす!急に居なくなったと思ったら、こんな所に居るとは……。」


「お?落ち着いたかの?サリアとやら。お主の怪我はきちんと治しておいたからな!」



 サリアがライアを追いかけて、彼女の側に。そこではティムと勇者パーティーが、何やら言い争いをしているようだった。




「ええ……随分落ち着いたっすよ。って、勇者パーティー!?何なんすかこの状況!?」


「あやつらは今回の件で、自分達の事を反省したみたいじゃ。謝ってるようじゃの?」


「な、何で今さらそんな事を……アイツらがティムを追放したのに……!」


「怒るのは分かるが、あの二人なりのケジメなのじゃろう。ティム先生はどう思うか、そこについてはノーコメントじゃが……。お主はあの子の友達じゃ、支えてあげて欲しいのじゃ。」


「……言われなくても分かってるっすよ!ティム、今行くっす!」







 ◇◇◇





 僕はそれから、色んな言葉を喚いていた。自分でもよく分かっていない。きっと酷い言葉もいっぱい使ったと思う。二人も頭を下げたまま、ずっと黙っていた。






「ティム、大丈夫っすか!?」


 そこに現れたのは、サリアだった。よ……よかった、無事だったんだぁ……。


「サリア……サリアぁ……!」


「よしよし、思いっ切り泣いていいっすよ。ティムにはあーし達がついてますからね。」


「うう……うわぁぁぁぁ……!」


 僕は安心して、サリアの側に。サリアは僕をぎゅっと抱きしめてくれた。











「そこのアンタ達、よく聞くっす。」


「な、何?」


「こんな状態で謝って済まそうって魂胆っすか?本当に酷い奴らっすね。」


「そ、そういうわけじゃ……。」


「……もし本当に悪かったって思ってるなら、やる事やって、ティムが落ち着いたら謝って欲しいっす。こんがらがったこの状況で謝った気になったのなら、あーしがアンタ達を許さないっす。」



「で、でも私達は」


「分かった。」


「ケビン!?」



 ケビンの声が聞こえて、僕はサリアに抱かれたまま二人の話を聞いていた。


「俺達には他にも迷惑をかけた人が居る。その人達への謝罪も済ませなければ……ティムに謝る資格は無いだろう。」


「そ……そうね……私達、自分の事しか見えてなかったわね……。」



 二人は僕達の方を向いて、もう一度頭を下げた。



「ティム。今の私達では駄目よね。だから、私達ちゃんと他の人にも謝って、弁償とかもして……全部清算して、しっかりやり直せたら……その時に謝りに行くわ。……本当にごめんなさい。」


「本当にすまない、今言えるのはこれだけだ。これでは何の意味もないよな……。やり直して、今度はちゃんと謝れるようにする。悪かった。本当にすまない……。」


 僕は二人の言葉を、ただ聞いていただけだった。そんな事言われても、気持ちの整理が追いつかないよ……。













「ふむ。結果はどうあれ、ひとまずオッケーかの?なら儂らはここで帰るとしよう!ゆくぞルー!」


「お、お嬢様、耳を引っ張らないで下さい!もう、反省してますから!」


「そうじゃ、これを忘れておったわ!後始末はしっかりとやらねばのう!」


 ライアは指をパチンと鳴らす。すると空中からキラキラとした光が降ってきて、壊れた地面や建物を修復していた。


「壊れた物が直ってる……アンタ、本当に凄いっすね。あーし達はこんなのに勝とうとしてたっすか……。」


「そうなのじゃよ。しかし誰かさんが暴れまくったから、後始末もきっちりせねばな。儂の方がよっぽど配慮してたぞ?」


「ほ、本当にごめんなさい……。」


「分かればよろしい。それとサリア、お主に渡す物があるのじゃ。」


「何なんすか一体……。あーしはアンタ達の事、完全に信用した訳じゃ無いんですよ?」


 僕を抱きながら、サリアはライア達二人をじっと睨んでいた。








「そんな怖い顔をするでない!渡したいのはこれじゃ!お主達はクエストの報酬と換金目当てでここに来たのじゃろう。儂らのせいで滅茶苦茶になってしまったから、これはお詫びじゃ。」


「こ、これは!?」


 ライアが出したのは、大量のゴールドが入った袋だった。それを見たサリアは驚いている。


「儂が依頼報酬とブラッドゴーレムの魔石代を出してやろう。勝負してくれたお礼じゃ。」


「はあ!?いや、そんなの受け取れないっす!」


「そう言わずほら!お主達はこれを使いたい用事があるのじゃろう?」


「そりゃそうっすけど、何か抵抗があるっす……。」












 サリアは首を捻って唸っていた。するとそこに、ギルも合流する。


「では我が貰ってやろう!それをこっちに寄こせ!」


「おお!お主も大丈夫じゃったか。よかったよかった!」


「ギル!?相手は魔王っすよ!?信用出来ないっす!ここは優しいと思わせておいて、後で何か無茶な要求をしてくるに違いないっす!」


「ええ!?儂はそんな魔王じゃ無いのじゃ!」




 サリアが言い争っていると、ギルがライアの手から袋を受け取っていた。


「な、何で受け取っちゃうっすか!?」


「何でも何も、これが我らの目標だからだ。別にくれると言うのなら、貰っておいて損はないだろう?」


「でも……。」


 口ごもるサリアに、ギルはゴールドの袋をスッと渡す。


「今我らが優先すべきは、ストーレの街の復興だ。利用できる物は利用しておけ。」


「利用って……いや、まあ儂らが悪いのじゃが、ストレート過ぎぬか?」


「我の計画を潰されたからな。本来ならここで換金出来ていた筈なのだが……。」


「ほ、本当に悪かったのじゃ……。」











「すー。はー。」


「ティム、落ち着いたっすか?」


「うん。ありがとうサリア。」


 僕は大きく深呼吸し、少し落ち着きを取り戻した。それと同時に、街の修復を終えたライアとルーは二人、空に浮いていた。




「では、儂らはここで帰るとしよう!……それとティム先生、サリア!」


「な、何?」


「これからも頑張るのじゃ!テイマーは大変じゃろうけど、きっといい事が起こるのじゃ!」


「何なんですかそれ……。応援のつもりっすか?」


「そのつもりじゃ!……それとマーチ、ケビン。お主達も頑張るのじゃ!」



「え、ええ……。」


「ああ。」






「では帰るぞルー!お前にはたっくさんお説教してやるのじゃ!」


「ま、待って下さいお嬢様!速すぎますよー!」



 二人はそれぞれ転移の魔法を起動させ、この場を離脱した。何か不思議な人達だったなあ。



「じゃあ……あーし達も帰りましょうか。」


「ああ。今回は大変だったな。二人とも、無事でよかった。」


「ええ。レルも無事っすから、あーし達には被害無しですかね。」


「わん!わん!」


「皆、ちょっと待って!僕、あの二人に言いたい事があるんだ!」


 僕は三人をここで止める。今回の件で、シャーユが酷い人だって事はよく分かった。だから、これだけは言っておかないと!










「待って二人とも!」


 僕はマーチとケビンを見つけ、二人を引き止めた。


「ティム……。」


「俺達は一度シャーユの所へ行くんだ。お前は……。」


「……うん。二人に言いたい事があるんだ。」


「……いいわよ。お願い。」




 僕は深呼吸をして、二人に宣言した。





「僕はやっぱり、皆の所へは戻らないよ。僕には今やりたい事があるんだ。だから、勇者パーティーには戻らない。シャーユに伝えて欲しいんだ。僕は今、大切な仲間と一緒に冒険してるんだから、って。」


 僕の言葉を聞いて、二人は少し顔を伏せ、それからこっちを見た。




「……分かったわ。しっかりと伝えるわね。」


「それじゃあ、僕は行くね。……マーチ、ケビン、元気でね。」


「お前も気をつけろよ。……元気でな。」





 うん。言いたい事はちゃんと言えた。本当はシャーユに言うつもりだったけど、この場に居ないからしょうがないや。でも……これで僕は、一歩先に踏み出せる。

 これからは自分の為にも、色々頑張るんだ!








 そして僕は先に外に出た三人と合流し、グランド王国を後にする事にした。





「来たなティム!さあ、我らも帰るとしよう!」


「ええ!ティム、手を取って!一緒に帰るっすよ!」


「わふー!わん!」


「うん!」



今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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