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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第四章

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少年テイマー、メイドとの決着!

「う、うーん……。」


「お、起きたかマーチ。」


「ケビン?私達は……?」


 地面で気絶していたマーチとケビンは大きな音で目を覚ます。そこでは、もふもふの鎧を着たティムと、魔王のメイド・ルーがお互いに武器をぶつけ合っていた。


「や、やっぱり……ティムは私達よりも、ずっと強かったのね……。」


「そうだな……。」


「ね、ねえケビン?」


「どうした、こんな時に?」


「その……。」


 二人は動けない中、目の前の光景を見ながら、少しだけ言葉を交わしていた。













 ◇◇◇



「レル、こんな作戦はどう?」


「わふ?」


 僕達は顔を近づけ、作戦会議を始めた。ルーは欠伸をしながらこちらを待っている。


「ふぁー。どうします?ここは慎重になって下さいね!次が最期になるかもしれませんよ?」


「わん……ガゥゥゥ!」


「レル!挑発に乗っちゃ駄目だよ!」


「わふー。」


 僕はレルの体を押さえながら、耳元で話しかける。レルも少し落ち着き、僕の方へ耳を傾けた。






「わふ?わーん!」


「うん、それなら行けそう!ありがとうレル、早速試してみよう!」



「その様子……作戦が決まったみたいですね!」



 ルーは片手をシュッと伸ばすと、その手から骨の剣が突き出す。それをこちらに向けて、ニコニコと笑っていた。



「では、始めましょう!ここでラストです、これ以上時間をかけると、お互いに疲れちゃいますからね!」


「なら、一気に決めるよ!レル!」


「わん!」


 僕達は同時に加速、同時にルーの背後に回り、同時に鉤爪とブレードを向けて突進する!



「おお、でもまだまだ!確かに速いですが、見切れないわけじゃありませんよ!」


 僕達の同時攻撃を剣で受け止めたルー。それが僕達の狙いだ!


「レル!合わせて!」


「わん!」


 僕達は同時に空中を一回転、そして同時に飛び退き、同時に着陸した!


「行くよ!」


「わん!」


 そして再び同じ動きで、ルーへ攻撃する!




「さっきと同じ動きですね……。何か意味があるのですか?」


「それは内緒だよ!こっちには考えがあるんだ!」




 しばらくはこれの繰り返し。同じ動きで同じタイミングに攻撃を仕掛ける僕達に、彼女は少し苛立ってきたようだった。


「うわっ!?」


「わふー!?」


「くどい!どうしちゃったんですか!?動きが単調過ぎます!そんなので私に……あっ!?」





 ルーは僕達を弾くと頭に指を付け、何やら考え事を始めたみたい。今のうちに僕達は魔力を体に集める事にした。





(全く同じ動き……そうか!私が変身した時に動きが乱れるからですね。あの二人なら動きを合わせられるけど、私では合わせられないからすぐに見破れる。これがあの二人なりの対抗策ですか……!)






「ならば、私の作戦はこうです!」


 ルーは背中に自分の手を突き立てる。そして何かを探しているのかな……?


「よし、これならどうです?」


 背中から引き抜いたのは……な、ちょっと待って!?あれは……!




「これならどうでしょう?」


 出したのは骨の剣だけど、何あれ!?数が多すぎる!?



「その動き!お互いのコンビネーション!確かに素晴らしい物です!でも……これならどうですか?」


 ルーはまず僕に剣を投げつける。それを僕が弾くと同時に、次はレルに向けて剣を投げる。それを繰り返し、僕達の距離はどんどん開いてしまっている。


「う、うわっ!?重い、それに動けない!レル!」


「わ、わん!?」


 しまった!僕とレルの動きがバラバラになって、コンビネーションも取れなくなっちゃった!? 


「今です!」


「うわっ!?伏せてレル!」


 その瞬間、白い剣は一斉に爆発し、破片が僕達を襲う。それと同時に彼女は姿を消し、僕達は完全に見失ってしまった。




「また消えた!?レル、作戦通りに!」


「わん!」


 僕達は地面に伏せ、攻撃を避ける。レルの声はちょっと遠い……さっきの攻撃で思ったよりも距離が空いたんだ。


「落ち着いて……構えるんだ。どこから来ても良いように。」








 やがて破片が止み、恐る恐る目を開ける。すると僕の目の前には、ルーの姿があった。


「フフッ!」


「うわっ!?」


 彼女は剣を口に咥え、僕を攻撃する。僕も鉤爪で応戦するけど、体格差もあって一気に追い詰められる!


「えいっ!」


「しまっ」


 僕は体を掴まれ、地面にぶつけられる。何てパワーだ!?



「このっ![魔技]ハウンドクロウ!」


 僕は鉤爪に魔力を送る。すると鉤爪が巨大化し、茶色の光を放つようになった。


「な、わっ!?」


 光に気を取られて目を閉じるルー。僕は地面に鉤爪を刺し、一気に抉り取る!


「うりゃぁぁぁ!」


「なっ!?」


 僕の巨大な鉤爪は、ルーを切り裂いた!すかさず四つん這いになり跳躍、両腕に鉤爪をぶつけると彼女は剣を落とした。



「これでトドメだ!レル!行くよー!」


「わん!」


 レルがブレードを持ち、高速でこちらに突っ込んでくる。彼女は完全にバランスを崩した!





「いっけぇぇぇ!」


「わふー!」


 僕達は同時にルーに斬りかかる。そして……。
















「今だよ!魔装解除!」


 僕は魔装を脱ぎ、いつもの服装に。手の鉤爪はブレードに元通り!でも……レルの姿はプレートの鎧に守られた、変わらない姿だ!


「そこだ!」


「わふ!?」




 僕は全力でブレードを振り、レルを斬った。レルはくるくると転がりながら地面を滑り、その場にぺたんと倒れた。




「わ……わふ!?」


「な……何してるんですか!?自分の仲間を!?」


「ううん、これでいいんだ!……だよね、レル?」







 すると吹き飛ばしたレルから煙が巻き起こる。その煙が晴れると……そこにはルーが居た。僕は立っているルーを見ると、それはレルへと変化している。喋っていたルーは幻覚で、本物はレルに化けてたんだ!






「な、何で分かったんです?私が変身してたって。レルちゃんにもきっちり幻覚を見せて、同士討ちをしてたはずなのに……。」


「魔装は二人の魔力を合わせて変身するんだ。だから解ける時は二人同時に解けるんだ!」


「そ、そんな……。」


「でも、幻覚を見せて来たら確認出来ないから、レルにはブレードを常に口に咥えてるようお願いしてたんだ!すごく疲れるけど、これで見破れた!後は念入りに魔装を解いて、予想を確定させたんだよ!」


「……。」



 ルーは観念したかのように下を向いている。やった……やったぞ!僕達の勝ちだ!



「やったよレル!」


「わん!わん!」


 後は捕まえるだけだ!僕達はルーに近づき、拘束しようと手を出した。








「……フフッ。」


「えっ!?」


「アハハハハハハハハハ!」


「な、何!?」


 彼女は立ち上がり、こちらを見る。その目はまるで獲物を見つけた時の、凶暴な魔物の目だった。


「凄い、凄いです!こんなに楽しめるなんて思わなかった!もっと、もっと勝負しましょうよ!」


「えっ?」




 彼女は尚も骨の剣を取り出して突きを繰り出す。僕は慌ててそれをブレードでガードした。


「……ぐっ!?ガッ!」


 ……骨の剣はブレードを貫通して、僕の肩を直撃する。い、痛い!パワーもスピードも全然違う!?



「わん!ガゥゥゥ!」


「それーっ!」


「キャン!?」


 彼女は次にレルを蹴っ飛ばす。するとレルは、直線の建物を何個も貫通し、飛んでいってしまった。



「れ、レル!」


「さあ、もっとです!かかってきて下さい!」


「も、もう動けないよ!」


「駄目です!まだ楽しみたいんだから!」



 彼女は背中から何本も剣を取り出し、一斉にこちらに向かって来た。


「ぶ、ブレードを取らなきゃ!」


「えいっ!」













「そこまでじゃ、このたわけが!儂を注意していた癖に暴れ過ぎじゃ!」


「お、お嬢様!」


 骨の剣を両手で押さえ込むのは、魔王ライア!?


「いえ、どいて下さい!こんなに楽しいのは久しぶりなんです!」


「話を聞け!もう勝負は終わった!儂らはここで帰るのじゃ!」


「えっ!そ、そんなー……。」


 ルーはその場にちょこんと座り、がっかりした様子。そしてライアはこっちを向いて、手をそっと出す。



「ひゃっ!」


「お主達、本当に強いのう!儂らびっくりじゃ!」


「な、なに!?」


「傷を治してるのじゃ、随分酷くやられたからの。後できつーく言っておくから、許してくれると助かるのじゃ!」



 ライアはその場で、しばらく僕の体に手をかざしていた。

今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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