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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第四章

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少年テイマー、魔王に遭遇する

「どこじゃどこじゃ?早く見つけねばならないのにー!」


「お嬢様、落ち着いて下さい。まずは魔力の探知からです。強い相手を探していけば、先生を見つけるのは難しくはないでしょう。」


「おお!早速やってみるのじゃ!」


 指をピンと立てアドバイスするのは銀髪の、メイド服を着た女性。それを受けて、金髪の少女は体に魔力を集め始める。彼女は黒と赤のドレスを身に纏い、どこか高貴な印象を受ける容姿をしていた。




「ゆくぞ!探知開始じゃ!」


 少女の手から網のような魔力が広がり、そっと地面に落ちてゆく。すると真下の方向に、何かを見つける事が出来た。


「これは……誰じゃ?何か力が集まっておるのう!」


「どこですか?早く行きましょう!」


「真下じゃ。」


「へぇ、真下ですか。」





 銀髪の女性は感想を述べるが、すぐに少女の顔を見て、驚愕の顔を浮かべていた。


「真下!?」


「そうじゃ。今も二つの魔力がこちらに来ておる。何じゃろーなー。」




 二人が下を見ると、そこには鎌とブレードを持った冒険者が飛び掛かってくるその瞬間が映っていた。














 ◇◇◇


「行くっすよ!ティム!」


「うん!」


 僕とサリアはそれぞれ得物を持って、空中にジャンプする。敵はまだこちらに気づいていない、今なら一気に攻撃できる!






「真下!?」


「そうじゃ。今も二つの魔力がこちらに来ておる。何じゃろーなー。」





 気づかれた!?いや、まだ下は見てない、このまま突っ込むしかない!



「「いっけぇぇぇぇ!」」


 僕達が下から攻撃しようとして、上に居る二つの点が近づいてくる……そこに居たのは、二人の女性だった。




「そりゃぁぁぁぁぁぁ!」


「そこだぁぁぁぁ!」


 まずはサリアが鎌を、銀色の髪の人に叩きつける。でも彼女は足で鎌を押さえると、そのまま鎌の上に立つような姿勢をとっていたんだ。


「はあ!?」


「な、何なのこの子達!?急に危ないじゃない!?」





 僕は金髪の女の子にブレードをぶつける。でも、その攻撃も足であっさりと受け止められてしまった。


「な、何じゃお主達は!?下から来るなんて、予想外なのじゃ!?」


 慌てた口調とは逆に、きっちりと攻撃を防がれ、逆に蹴り飛ばされる!


「うわぁぁぁぁ!?」


「ティム!」


 サリアはすぐに下に高速移動、僕を抱えて地面に着陸した。


「あーし達の攻撃……全く届かなかったっすね。」


「どうしよう、先制攻撃は失敗だよ!?ここで大暴れされたら……!」


「まだ平気っす。奴らは、[今は]こっちに興味があるみたいっすから。」



「喰らえ、ギガフレイム!」


 僕達が上を見ると、二人の女性はこっちにゆっくりと降りてくる。ふわふわと下に来る途中、マーチの生み出した火球が二人を直撃するけど……まるで効いていない。魔法がダメージを与える事はなく、そのまま二人は地面に着陸した。









「ほう、この者達は?」


「ちょっと待ってて下さい。今資料を出しますから。」


 銀髪の女性が紙を取り出し、それを読んでいる。すると急に、僕の顔を見て目を輝かせた。


「お、お嬢様……あの方です!あの方が冒険者様の言っていた先生です!」


「何と!やはりここで会えたか!儂らは運がいいのう!」


 金髪の女の子は僕に近づいて来て手を握り、ぶんぶんと振り回していた。


「な、なに!?どうしたの!?」


「あえたあえたー!お主があの冒険者さんが言ってたティム先生じゃな!会いたかったぞー!」


「だ、誰それ!?僕そんなの知らないよ!?」



 知らない子に手を振り回されて、僕はわけが分からなくなってしまった。でも……僕を先生って呼ぶのは……。







「あ、あの!?もしかしてラルフさんの知り合いですか!?」


「うむ!儂らあの人の配信を見て、お主の事を知ったのじゃ!男の子だと思っていたが……可愛いのう!お肌つやつや髪もなめらかなのじゃー!」


 髪をわしゃわしゃと揉みながら、彼女は僕にくっついている。お、落ち着かなきゃ……この子はすごく強いはず、レルが怯える様な相手なんだ!僕はブレードを手に取って、もう一度攻撃を……。










「おい!そこの魔族!」


「……なんじゃお主達は?儂は今先生と話したくて忙しいのじゃ。」


「何を訳の分からん事を!貴様のような魔族は、この勇者、シャーユ様が成敗してくれる!」


「……ほう。お主が当代の勇者、か。」



 女の子は僕の側を離れて、勇者パーティーとジャンヌの方へ向き直る。僕はブレードを掴んだ手を動かそうとしたけど……動かない。 


「さ、サリア。」


「分かってるっす。あの子はとんでもない奴っす。」


 サリアも鎌を拾おうとしたけど、動きが止まっている。あの子は一体……。











「儂は一応これが目的で来たのじゃ。よかろう、見てやるぞ?お主達の力を!」


「先手必勝!消し飛ばしてやる!」


 シャーユは魔力を纏い、女の子に突撃する。速い、それに体全体が輝いている!魔力が鎧代わりになってるんだ、これならカウンターも狙える!


「もらった、ブレイブアタック!」


 シャーユは剣を抜き、女の子を斬りつける。でも女の子はそれを右手で受け止め、左手で剣を殴った。


「ふんっ!」


「な、何だと!?だが!」


 剣を飛ばされたシャーユはすかさず纏った魔力を手に集め、渾身のパンチを繰り出す!でも女の子は顔を少しずらして、それを避けてしまった。


「その程度か?当代の勇者の力、大した事は無いんじゃのう?」


「な、なんぷきゃる!?」


 シャーユの胴体に、女の子の拳が突き刺さる。……嘘でしょ……体が、貫通している……?


「ぎょぉぉぉ!?」


「勇者様!」


 吹き飛ばされたシャーユをジャンヌが受け止め、手を当てる。すると体の傷が塞がり、元通りになっていた。今のは……幻覚?



「お、俺は今……何があった!?」


「衝撃波で吹き飛ばされたのです。しかしあの魔力……一瞬死を連想させられた。正気を保って下さい、でなければやられます!」


「あ、ああ!おい、貴様は一体何者だ!名を名乗れ!」


「名を名乗れ、か……。そういうのは、そちらから最初にする物じゃろう。自分は言わずに人に言わせるとは、ちょっとずるいぞ?」


「黙れ!魔族に名乗る必要は無い!」





 あの子、今は大人しいけど、何が起こるか分からない!何とかこっちに引き付けて、街から遠ざけないと。






「あ、あの!」


「うん?」


「もう知ってるみたいですけど、初めまして!僕はティム、テイマーをやっています!今は配信者として色々やってます!貴方は……誰なんですか?」


「……そうかそうか!やっぱりお主は先に名乗ってくれるのじゃな!ならば儂も答えねばなるまい!」


「ええ!私もお答えします!」


 女の子はニコリと笑った後、ドレスの端を両手でつまみ、お辞儀をするような格好で僕の前に向き直る。それに倣って、銀髪の女性も同じ動きをしていた。









「……ではお答えしよう!儂の名はライア。魔王を務めておる、ただの小娘じゃよ。」


「……同じくお答え致しましょう。私の名はルー。ライアお嬢様の側近を務めさせて頂いている、ただのメイドです。」







 聞こえてきたのは魔王という言葉。勇者パーティーの倒すべき目標。それが目の前にいる子だと分かり、僕達は驚きで動けなくなってしまったんだ。

今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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