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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第四章

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少年テイマー、勇者と再会する

「急ぐぞお前達!今ティムが街役場に来てるらしいじゃないか!」


「本当!?それなら早く私達のパーティーに誘わないと!」


「ああ。そして前と同じように、皆でクエストを達成するんだ!」


 シャーユ、マーチ、ケビン。勇者パーティーの面々は騎士団長ジャンヌからの連絡を受け、大至急街役場に向かっていた。


「しっかし楽しみだな!またあいつと一緒に冒険出来るんだから!」


「そうよ!ティムにも感謝して貰わないとね!」


「しかし、あいつがあそこまで強い奴だとは思わなかったな。知っていれば追い出す事も無かったのだが。」


「ま、いいじゃないか!とにかく行こうぜ、俺達の栄光の為に!」


 三人は意気揚々と進み、元パーティーメンバーを取り戻すべく行動していた。


















 ◇◇◇



「サリア遅いなー。どこまで行っちゃったんだろう?」


 僕は一人で街役場に居た。レルは外でお留守番、サリアとギルは魔石の換金に外に出てるんだ。


「やっぱり一人だと緊張する。でも、大丈夫大丈夫!僕なら平気だ!」


 僕は自分を励ますように言葉を口にしたけど……緊張は止まらない。



「そうだ!気分転換に一度外に出てみよう!そうすれば少しは落ち着けるはず!」


 僕は一度役場を出て、外の空気を吸うことにした。早速席を立ち、役場の入り口に向かう。



「よーし、早速やるぞー!」


 僕は大きく手を広げて深呼吸をする。何だか気持ちいいなー。もっと繰り返して緊張をほぐそう!






「見つけたぞ、ティム!やっぱりここに居たのか!?」


「えっ……その声は!?」


 深呼吸の途中、僕は知っている声を聞き、そこに顔を向ける。すると見えたのは……かつての仲間、勇者パーティーのメンバーだった。











「ティム、探したぞ!ようやく会う事が出来た!」


「シャーユ……。」


 馴れ馴れしく話しかけてくるシャーユ。うん……確かに同じパーティーで行動してたから、これは分かる。でも……。



「聞いてくれティム!俺達はずっとお前を探してたんだ!」


「えっ!?ど、どうして?」


「それはね……あんな酷い追い出し方をしてしまったけど、貴方が居なくなって分かったのよ。貴方の重要さが。」


「マーチ……。」


 シャーユの横から出てきたのは、マーチとケビン。二人とも元パーティーメンバーだ。


「どうだティム、俺達の所に戻って来ないか?またやり直そう。俺達ならきっと出来るさ。」


「ケビン……。でも皆、僕を追い出す時に言ってたよ……?魔物と一緒にいる奴なんて必要無いって……。」


「あれは俺達がお前の事を見てなかったんだ。お前が居なくなって良く分かったよ。お前は頑張ってたんだなって。」


「シャーユ……。」


 正直予想外だった。僕が問い詰める前に、色々酷い事を言われると思ってたんだ。でも……僕の思い過ごしだったのかな?







「それでは、改めて聞こう。どうだ?ティム、戻って来ないか?」


「それは……。」


 頭の中がもやもやしてる。とりあえず一度ここを離れて、落ち着こう。そうしたら僕の方から質問しないと!



「ご、ごめん。ちょっと……水飲んできていい?」


「ああ。急な話で悪かったな。混乱してるだろ、ゆっくり休んでこいよ。」


「うん。」



 僕は一度この場を離れる事にした。何だか情けないなぁ。ストーレの街の事を問いただすつもりだったのに、空気にのまれちゃったよ……。







 それから数分。僕は水を飲んで、喉の乾きと頭のもやもやを落ち着かせた。よし、早速ストーレの街での出来事を聞こう。そうしたら……。



 僕はゆっくりと外に向かって歩く。すると外から何か、話し声が聞こえてきた。


「この声はシャーユ達?何を話してるんだろう。」


 僕は壁に耳をつけ、話を聞く事にしたんだ。













「いやー!見たか?アイツの顔を!何だか嬉しそうだったよな!」


「ほんっと単純よね!ちょっとおだてた位であんな顔をするんだから!」


「しかし、あれなら俺達のパーティーに戻って来るんじゃないか?」



「そうだな。そうしたらまたこき使ってやろう!きっと喜ぶぞ!」


「いいサンドバッグになるわ!今から楽しみ!」


「あまり物騒な事を言うなよ。奴にはここに居てもらうために、上手く持ち上げないとならないんだからな。」








「な……何それ……。」


 僕は壁の内側からシャーユ達の話を聞いていた。すると……聞こえてきたのは僕に関する話題だった。


「そういえば、シャーユ達はレルの事について一言も触れて無かった。やっぱり、本当は僕達の事をただの駒として見てるって事なんだ……。」


 さっきまでのもやもやは一気に吹き飛び、僕は再びシャーユ達の所へ。すると三人は取り繕ったような笑顔を浮かべて、僕に話しかけて来た。






「ティム、お帰り!それでどうだ?もう一度一緒に」


「シャーユ。その前に聞きたい事があるんだ。」


「な、何だ?」


 僕はシャーユの顔を見て強い口調で言った。他の二人も僕の変化に気づいて、急に静かになる。


「シャーユ……僕の友達から聞いたんだけど、ブラッドゴーレムの襲撃してきたストーレの街。あそこにシャーユは居たよね?」


「な、何を突然!?」


「あそこまでブラッドゴーレムを連れて来て、街を壊そうとしてたって聞いたよ!?どうしてそんな事をしたの!?」


「……それはお前が、俺達の仲間に戻る際に必要な質問か?」


 シャーユの口調が冷たくなる。間違い無い、やっぱりブラッドゴーレムはシャーユが……。





「なら教えてやろう。確かに俺はあそこに行ったさ!あそこは王国に居られないならず者達の根城だ!だからブラッドゴーレムを利用して壊滅させてやろうと思ったんだ。その後でゴーレムを倒し、クエスト報酬も頂きって事さ!」


「そんな……あそこにはたくさんの人が居るんだ!今回はよかったけど、一歩間違えたら皆死んじゃったかもしれないんだ!どうして……。」


「いいか?俺は勇者だ!あそこは邪魔だったから潰そうとしただけさ!俺のやる事はみな正しいんだ!」


 シャーユは悪びれもせず僕に語る。そうか……シャーユはそういう人だったんだ……。これでシャーユの気持ちがはっきりしたよ。





「それでどうだ!?ティム、もちろん戻って来るだろう?」


「……うん。僕は……。」








 僕が口を開いた瞬間、空からものすごい魔力の衝撃が僕達に襲い掛かった。


「なっ!?何だこりゃ!?」


「上よシャーユ!あそこに何かいるわ!」


 マーチが頭上を指差すと、そこにはふわふわと浮かぶ何かが二つ見えていた。それは少しづつに下に降りてきて、空中の一点で止まったんだ。



「な、何あれ……?」


 僕達は今の会話も忘れ、上空にある二つの何かをじっと見ていた。あれは……何だろう?とにかく注意深く観察しないと!シャーユの事は一旦後回しだ!


今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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