少年テイマー、襲われている人を助ける
「行こうレル!まずはお家探しからだよ!」
「わん!」
僕達は道を進み、まずは他の街や村を探している。そしたら家を借りて、配信をやってみるんだ!楽しみだなー!
「わふ?…………わん!わん!」
「どうしたのレル?」
「グルルル……ガウッ、ガウッ!」
「……そうなの!?分かった、行こう!場所は……こっちか!」
レルが何か気配を感じ取ったのか、毛を逆立てて牙を剥く。僕達はその気配を追って、道を走って行った。
僕達が道を走ってると、目の前に馬車が倒れていた。そこには一人の女の子と、男性が立っている。そしてその周りには……たくさんのウルフが周りを囲んでいた。
「あ、あわわわ……。」
「お、おい!大丈夫か?立てるか!?」
「ご、ごめんなさい……。足が動かなくて……。」
「馬車を背にしろ!前からなら俺が何とかする!」
男性は女の子を倒れた馬車の前に移動させ、自分は女の子の前に陣取る。……そうか!後ろを壁にしたんだ!そうすればウルフは前からしか攻撃出来ない!
「グルルル……ガァァァ!」
「オラァ!ぶっ飛べ!」
ウルフが迫り、それを剣で追い払う男性。でも、他のウルフもだんだん迫ってる!このままじゃ駄目だ!
「レル!行くよ!準備はいい?」
「わん、わふー!」
「行くよ!」
レルは自分の背中を振ると、そこから落ちたブレードを口に咥える。これがブレードウルフの能力。自分の武器を持った特別なウルフなんだ!
「力を借りるよ!」
「わん!」
僕がレルの背を撫でると、そこからもう一本ブレードが現れる。僕達はそれを持って、馬車まで一気に駆け出した。
「数が多い!ここまでか……!」
「誰か!誰か助けて下さい!せめてこの方だけでも!」
二人が声を上げ、そこへウルフが牙を向ける。その瞬間……。
「そりゃァァァ!」
「!?」
僕は横からウルフを斬りつけた。するとウルフは真っ二つになり、その場に倒れ込んだ。
「グルルル、ガァァ!」
「が、ガヴヴ!?」
続いてレルも負けじと一閃。相手のウルフは胴体を斬りつけられ、他のウルフを巻き込みながら吹き飛ばされた。
「あ、貴方達は……?」
「ごめんなさい、話は後で!……さあ、どうする!お前達の相手は僕達だ!」
「ガウッ、ガウッ!」
「……キャァァン、キャァァン!」
僕とレルはブレードを持って、他のウルフを睨みつける。するとウルフは散り散りになって、馬車から逃げ出した。良かった!これで大丈夫だ!
「あ、あんた一体……。」
「それより怪我を!……包帯はまだ余ってる、これを使います!」
男性はウルフの攻撃で怪我をしていた。僕はカバンから薬草を取り出し、男性の傷に貼り付け包帯を巻く。……よし、とりあえず手当ては出来た!
「もう大丈夫です!敵は追い払いました!」
「あ、ありがとうございます!貴方は……。」
「僕はティム。テイマーをやってます!」
女の子に名前を言うと、男性が声をかけてきた。
「て、テイマー?それってハズレスキルの……?」
「は、はい……。」
男性の言葉にちょっとショックを受けたけど、そんなの今はどうでもいい。まずは避難が必要だ!僕は二人に質問しながら、周りを警戒していた。
「この辺りに街とか村はありますか?ひとまず逃げ込みましょう!」
「それならすぐそこです!私達の村がありますから、そちらまでお願いします!」
「分かりました!レル。その子を乗せて村までお願い!」
「わん!」
「貴方は僕が背負います!さあ!」
「あ、ああ……。」
レルは女の子を、僕は男性を背負いながら歩く。しばらくすると、小さな建物が並んでいる場所が見えてきた。
「あそこだ!着いたぞー!」
そして僕達は、何とか村にたどり着くことが出来た。
村に入ると、レルに乗った女の子は頭を下げ、僕達に話しかけた。
「本当にありがとうございます!おかげで助かりました!」
「いえ、間に合ってよかったです!ね、レル!」
「わふーん!」
「このまま、村に入りませんか?どうしてもお礼をしたいのですが……。」
「えっ!?えっと……。」
僕が返事に困っていると、男性が声をかけてくれた。
「俺にもお礼をさせてくれ!な?」
「そ、それでは……お言葉に甘えて。」
そして僕達は、二人に促され、村の中に入っていった。
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