王国に向け、一歩ずつ前へ!
僕達が家から一歩踏み出し外に出ると、そこにはカインさんと街の人達が待っていた。
「四人とも、やっぱり今日行くんだね?」
「ああ。前から決めていたからな。」
「そうか……なら、皆に伝えておかなきゃいけない事があるんだ。」
カインさんは、僕達の前で姿勢を正して頭を下げた。それに合わせて……街の人達も!?
「か、カインさん!?どうしたんですか!?」
「君達には色々助けてもらったからね。街の皆で決めたんだよ。足りないなら、俺の頭で良ければ幾らでも下げられるよ?」
にこっと笑うカインさん。そんな、頭なんて下げないで欲しいよ……だって……。
「ご、ごめんなさい!こ、これは皆で頑張ってる事だから、僕達に頭を下げる必要なんて無いと思うんです!本当にごめんなさい!」
「あー!ティムを困らせたっす!」
「えっ!?いやいや、何も困らせたくてやった訳じゃないよ!?今の俺達じゃ何もしてあげられないから、せめてこれで感謝の気持ちをと思って。」
「もう!真面目すぎるっすよ!いつも通りの方が助かるっす!」
「そうかな?それなら……本当にありがとう!復興が終わったらまた来て欲しいな!おいしい食べ物を用意して待ってるからさ!」
カインさんはそう言って、もう一度僕達に笑いかけた。
「はい!よろしくお願いします!」
「わん!わん!」
「ははっ、二人とも元気だな!サリア達も気をつけるんだよ?俺達はいつでも味方だから、ね!」
「……いつも通りが良いって言ったっすけど、これはこれで馴れ馴れしいというか……。」
「サリア!?そっちが言った事だろう!?」
「じゃあ、行ってくるっす!」
「僕達も行ってきます!」
「わふー!」
「街の事は任せたぞ、カイン!」
「ああ!いってらっしゃい!」
僕達は補修中の門をくぐって、街の外へ。みんな手を振ってくれているから、僕達も一緒に手を振って返事をしたんだ!
「ねえ、サリア。」
「はい!何っすかティム?」
「今回はありがとう!この街に来れてよかったよ!」
「いやー、照れるっすね!でも、喜んでもらえて良かったっす!」
サリアにはたくさんの理解者が居る。だからどんどん強くなれるんだ。僕には……
(ティムさん!お料理できましたよ!)
(先生!俺達ももっと頑張るから、先生も頑張ってくれよな!)
(かめー!)
(びー!)
(ティム、頑張るのですよ。)
…………そうだ。僕にも居るんだ!一緒に居たいと思える、大切な人達が!
「……どうしたっすかティム?ぼーっとしちゃってますよ?」
「あっ……うん。この街に来て、カインさん達に会って、僕の大切なものを再確認出来たんだ!皆の為にも、これからもっと頑張って強くなるぞー!」
「もう、真面目っすねー。別に勉強の為に連れて来た訳じゃないんすよ?……でも、あーし達の事を応援してくれる人達がいるのは、もう分かってるっすよね?」
「うん!」
「それがあーし達の力になるっす。テイマーの基本と同じ、その信頼が強さをくれるんですよ。」
サリアはやっぱり強いなぁ。でも、僕だって負けられないぞ!
「犬っころ、奴らは重要な話をしている。邪魔をするなよ?折角の二人の時間だからな。」
「わふー……。わん……。」
……後ろでギルとレルが内緒話をしているみたい。それが聞こえたら……何だか恥ずかしくなってきたよ!?
「そこっ!うるさいっす!聞こえてないと思ってるっすか!?」
「気づかれたか……行くぞ犬っころ!王国まで競争だ!」
「わん!」
二人は僕達の前に出て走って行く。それをサリアと僕が追いかけて、一緒に走る。
「あっ。」
「……何ですかね?」
「手紙書かなきゃ。」
「はい!?」
「リースさんにお手紙書かなきゃ!ずっとここに居たから忘れてたよ!」
「もう!何なんすかアンタ達は!?あーしが綺麗にまとめたってのに!?それなら道中の街で送るっす!今は我慢するっすよ!」
サリアに怒られちゃった。次はきちんとしておかないと。でも……こんな話が出来る友達が側に居てくれる。今の僕なら、王国でもきっと大丈夫……かな?
とにかく今は前に進まないと!僕はサリアと一緒に前にいるレルとギルを追いかけ、王国へ向かって行った。
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