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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第三章

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閑話?  見習いテイマー、配信が少し注目される

今回は冒険者兼、見習いテイマーのラルフのお話になります。よろしくお願いします。

「よっしゃあ!やったぞ!やったぞー!」


「かーめー!」


 俺はラルフ、冒険者兼配信者だ。今は俺の背中に背負った相棒、サンドタートルのタルトと一緒にダンジョンを攻略し、役場に帰って来た所だ!


「ただいま!今回も無事に達成出来たぞ!」


「お、おう。お疲れ様だな。」




 俺は馴染みの受付に立ち寄り、ダンジョン攻略の報告を済ませる。自慢も兼ねて魔導カメラを取り出し、その映像を見てもらうんだ。











 ◇◇◇


「えーっと、お待たせいたしました!俺達コンビは、遂に、遂にEランクダンジョン、[魔法の洞窟]の最深部に乗り込みます!行けるよな、タルト?」


「かめ!」


「オッケー!行くぞ!」


「かーめ!」


 映された場面はダンジョンの最深部。ここには遠距離の魔法攻撃を使う魔物が生息しているから、本来戦士の俺とは相性が良くない。しかし……今の俺は違うぞ!



「お……お邪魔します……。」


「かーめー……。」


 そう、今までの俺なら勢いに任せて突進し、結局勝てずに怪我をして帰って来る。いや、それ以前にまず奥まで来れないだろうな。



 しかし!今の俺は冷静さを持っている。それに頼もしい仲間もいる!ティム先生に教わり、タルトと会ってからはや数週間。最低ランクではあるけど、別のダンジョンを一つ踏破し、そこで特訓出来るようになった!ここで更に弾みをつけて、目指せ有名配信者だ!





「フォー……。」


「奴がここのボスだな。あれは……マッドウィザードか。」


 マッドウィザード、黒いローブを纏い、空中を浮遊しながら魔法を放つ魔物だ。コイツの纏う布は魔力を少し高める効果があるらしい。見習い魔法使いのローブの素材になるんだよな。


「タルト、俺が行ってくる!お前はここで準備していてくれよな!」


「かめー!」


 俺はタルトを背中から床にそっと降ろし、剣を抜いて一気に駆け出した!






「フォ……フォー!?」


 俺は一人でマッドウィザードの下へ走る!奴は俺に気づくと、すぐに空中に浮遊した。


「フォーー!!」


「あつ、熱い!」


 奴が放ったのはファイアーボール。火の玉をこちらに向けて飛ばして来たのか!




「そ、それーっ!」


 俺は剣を使ってファイアーボールを弾く。何度も飛ばして来るが、これ位平気さ!特訓したんだからな!


「こっちだこっち!全部弾いてやる!」


「フォーー!!」


 いいぞ、完全にこちらに集中している。俺はダンジョンの奥まで走り、壁を背にしながら火の玉を弾き続ける。


「フォーー!!」


「今だタルト!お前の力を見せてやれー!」


「かめー!!」


 そう、このタイミングだ!俺を追って来たマッドウィザード、その後ろにはブレスの準備をしたタルトが構えていた。


「かめー!」


「フォーー!?」


 タルトの放つ砂のブレスは、マッドウィザードの胴体に直撃する。その勢いのまま壁に打ちつけられ、しばらくすると布を残し、その場から消えていた。


「どうだ!勝ったのか?間違い無いか!?」


「かめ?……かめー!」


「……よっしゃぁぁぁ!やったぞタルト!今回もお前のおかげだ!」


「かめ。かめー!」


 俺達はこの勝利に大喜びだ!ダンジョンの踏破なんて、前の俺じゃ考えつかなかったもんな。でも、今の俺にはタルトが居る。二人でなら、もっと強くなれる気がするんだ!



「よーし、後はこの布と、宝箱を回収してから帰ろうか!」


「かめー!」


 ダンジョンの最深部には、たまにお宝が眠っている。クエストや配信以外でも、修行も兼ねて宝を探しに来る人は多くいるんだ。


「宝箱……宝箱……あった!あそこだ!」


 部屋の角にきらきら輝く宝箱発見!タルトを背中に背負ってから、俺はカメラの前で挨拶をする。


「皆さん、俺達は今回、無事にダンジョン踏破出来ました!これからも頑張るから、また見てもらえると嬉しいです。それじゃあ、またの機会でお会いしましょう!それと俺の先生、ティム先生の配信もよろしくお願いします!」


「かーめー!」


 カメラに向けて手を振る俺とタルト。そして宝箱を両腕に持ち、タルトを背中に背負ってから俺達は帰路に着くのだった。









 ◇◇◇


「凄えなお前。いきなり強くなったよな。」


「頑張ってるからな!でも、最近特訓ばかりで配信の確認出来てないんだよな。……ちなみに宝箱は空だったよ。」


「そんな時もあるだろ。しかし、そうか……俺も最近確認出来てないから、良ければ一緒にやるか?」


「おう!助かるよ!」


「んじゃ、まずは事務手続きだ。」


 映像を確認した受付は、まず書類に何やら書き込んだ後に報酬を取り出し、俺の前にすっと出す。そこには前よりも多いゴールドの入った袋が!


「こちらが今回の報酬になります。魔法の布の納品、お疲れ様でした。」


「ありがとうございます。」


 淡々と手続きを進める俺達。この位の距離感だと変に気を遣わなくていいんだよなー。





「よし、じゃあ見るか。魔導パソコン持ってくるわ。」


「ああ!頼むよ。」


 受付は役場の奥からパソコンを手に、俺の所へ戻って来た。そして文字を入力している。


「どれどれ……ラルフ、配信っと……。」


 そしてパソコンを眺める受付。始めはただ見ているだけだったが……指を動かす度に顔色が変わっていく。更に動かし続けると……何か凄い興奮してないか!?



「おいラルフ!お前これ見てみろ!」


「な、何だよ急に……見せてくれ……って何だこれ!?」







 お、俺達はあまりの光景に目を疑い、顔を洗ってからもう一度見てみた。そこには……!











 [万年Dランク、遂に開花か!?]


 [遅咲き冒険者、ラルフ現る!]







 俺に関するコメントが並んでいた!本当か?夢じゃないよな!?



「お前、結構話題になってるみたいだぞ!?」


「ほ、本当か!?今はまだ、タルトと一緒にダンジョンで特訓してるだけだぞ!」




 俺は興奮しながらコメントを見てみる。でも……それを見ていると段々と興奮が落ち着いて来てしまった。









「魔物に頼り切りの無能……一人じゃ使えないゴミクズ……かぁ……。」


 確かに俺はタルトより弱いよなぁ。でも、実際に文字で目にすると、何かキツイな……。


「どうした?急に静かになったな。」


「ああ。書いてあるのは事実なんだけど、直接見るとどうもね……。」


「確かに。そもそも魔物と一緒に戦うなんて誰も思わないさ。始めは俺も正気か疑ったが……実際に見てみるとお前も頑張ってるのは分かる、そうだろ?」


「かめ。」



「それに、こんなコメントも来てるぞ!」


「えっ?」








 [かめさんかわいいです。おうえんしてます。]


 [魔物と力を合わせて戦うのね……格好いいわ!良い配信だったわよ!]


そこに映ったのは、俺とタルトへの応援コメントだった。







「俺もお前を応援してる。二人で配信者の頂点まで突っ走ってやれ!……もちろん、馬鹿にされないように強くなれ。それとランクも上げなきゃいけないぞ?」


「お、お前……!」


「そしたら、お前の言う先生の力になってやれ。強くなれば出来るだろ?」


「あ……ああ!やってやる、やってやるぞー!」


「かめー!かめーー!!」


 そうだ!俺達が有名になって、テイマーの風評を吹き飛ばしてやるんだ!そうしたら、ティム先生もきっと喜んでくれる!



「タルト、明日からまた特訓だ!よろしくな!」


「かめ!」


 さあ、俺達はもっと強くなるぞ!自分達の為にも、ティム先生の為にも!その為にも頑張らなくちゃな!



今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。


































「ほう……面白い配信じゃのう。人と魔物の繋がり……中々いい物を見せてもらったわ。」


「しかし、テイマーですか……世間ではあまりいい印象では無いですよね。」


「確かにのう。じゃが、その印象は信用出来んからな。……それに、儂は興味が出てきたぞ!この者の先生とやら、少し調べてみてはくれぬか?」


「はあ……かしこまりました。一日頂きますね。」


「あっ無理はせんで良いぞ?簡単にまとめてくれればよいからの?」


「承知しました。では、行ってきますね。」

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