少年テイマー、料理配信と今後の予定
「では頂くか。」
「「いただきまーす!」」
「わん!」
ブラッドゴーレムをやっつけてから数日後。僕達はサリアの行きつけのお店でご飯を食べている。ここは被害が無かったみたいで、街の人達がたくさんご飯を食べに来てるんだ!
「ほい。今日は野菜の炒め物と、巨大ソーセージをまるっと一本、果物の盛り合わせだよ。」
「ありがとうございます!皆見て下さい!ここのお店のご飯、とってもおいしいんですよー!」
「おお、来たっすね!自家製の野菜とお肉!さっぱりとジューシーさが同居して堪らないんすよー!」
僕とサリアはそれぞれ、少し離れた場所で配信をしてるよ!店主さんが宣伝になるからどんどん撮って、って言ってたから、早速挑戦!本当においしいから、皆にも知って欲しいなー!
「お……おいしい!シャキシャキ、ぷにぷに、キャベツもトマトもコーンもみんなおいしいです!このお野菜はどうやって用意してるんですか?」
「この街の自家製だよ。街中で栽培したのを倉庫に保管して、使えるようにしてあるんだ。だからこういう緊急時にも、皆に出せるんだよ。」
「なるほど!おいしいお料理が食べられるこちらのお店……(名前ってまだ聞いてないや……。)」
僕は名前を知らない事に気づいてフリーズする。事前に聞いておけばよかった、すっかり忘れてたよ!
「いやー!やっぱり美味しいっすね!あーしのオススメはこのソーセージ!お肉が詰まってハーブもいい香りっす!店主さん、これも自家製っすか?」
「そうだよ。美味しいからどんどん食べてね。」
「ありがとうございますっす。という訳で、あーしは食べるのに集中するっす!皆もこの街の名前がついた[ストーレ料理店]、良ければ来て欲しいっす!」
サリアが僕の方を見て、ウインクしてくれた。名前を教えてくれたんだ!ありがとう!
「はい!えーと、こんな風に喋るのを忘れるくらいおいしいお料理の[ストーレ料理店]、是非来てみて下さい!」
な、何とかちゃんと言えた!頭が真っ白になっちゃったよ……。
配信が終わって。店主さんがにこにこしながら料理を作っている。今回の配信で、お客さんが増えるといいなぁ。
「二人とも、ありがとうね。助かったよ。」
「こちらこそ、毎日タダでご飯を頂けるとは驚きっす。何かあったっすか?」
「うん。カインさんに美味しいご飯を作ってって言われたんだよ。君達は今回大活躍だったそうだね。」
「はい!サリアがブラッドゴーレムを倒したんです。でも、僕も頑張ったんです!」
「よかったよかった。皆無事だったし、一件落着だね。」
店主さんは料理を他のお客さんにも持っていく。僕達はそれを見ながら、料理を口に運ぶ。
「がう、かう、わふー!」
「やはり旨い!もっと我に持って来い!」
「わん!?わー!わー!」
「心配ないぞ犬っころ!我らは当分食べ放題だからな!」
レルもギルも競うように食べてる。僕も負けられないぞ!空のお皿を持って、店主さんの所に持って行くんだ!
「おかわり下さい!」
「あいよ。」
「で、こうなったと?馬鹿なんすかアンタ達は!?」
「ごめんなさい。」
「すまぬ。」
ここはサリアのお家。壁が少し崩れたから、木材で補強してあるんだ。後でカインさんが直してくれるらしいけど、今は……。
「食べ過ぎで倒れるなんて、あーしは恥ずかしいっすよ!」
「わん!わん!」
「うん、本当ごめんね……。」
あれから僕とギルはたくさん食べて、動けなくなっちゃったんだ。僕はレルに、ギルはサリアに引きずられて、ここまで来たんだよ……。
「それで、サリア達はこれからどうするの?街はひとまず大丈夫だよね?」
「ウム。サリアと我は今回の首謀者を連れてグランド王国に行こうと思う。奴らと勇者を何とかしなければならないのでな。」
「お、王国……。」
「あー。ティムは嫌な思いをしたっすからね。もし嫌ならついて来なくても平気っすよ?」
「ああ。我ら二人で充分だろう。」
サリアもギルも、僕を気づかってくれてるんだ。それは分かるけど……。
「ううん!僕も一緒に行く!」
「……良いんすか?辛い思いをするかも知れないっすよ?」
「そうだけど、やっぱり行きたい!何でシャーユがここに居たのか知りたいよ!」
僕は自分の思いをサリアに伝えると、彼女は僕の頭をそっと撫でてくれた。ちょっとくすぐったい。
「そうっすか。なら、一緒に行くっすよ!勇者の奴をとっ捕まえてやるっす!」
「うん!ありがとうサリア!」
「何かあれば我に言え!いつでも守ってやるぞ!」
「わん!わん!」
「犬っころ、貴様も一緒だろう?」
「わふー!」
サリア、ギル、それにパートナーのレル!三人が居れば、きっと大丈夫だよね!僕も皆に負けないよう、しっかり覚悟を決めるんだ!
「では飯の続きは明日にしよう。ここに居る間に堪能しようではないか!」
「うん!」
「アンタ達、やっぱり懲りてないじゃ無いっすか!そこに座るっす!当分ご飯抜きっす!」
サリアの怒号が響くけど、そのサリアも含めて僕達は笑っていた。皆と一緒だと楽しいな、僕はそう思いながら、サリアの前に座った。
「ティム、何か嬉しそうっすね?」
「うん!」
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