少年テイマー、戦いが終わって……
「お疲れ様っすティム!よく頑張ったっすね!」
「うん!でも、もう少しだけ早く来て欲しかったな。」
「アハハ、善処するっす……。」
僕達が、正確にはサリア達がブラッドゴーレムを倒し後、僕はサリアの背中に乗っかり、街まで移動していた。
「さあ、さっさと動け犬っころ!我は今疲れているのだ!」
「わふ!?がう!わーー!」
レルの上にはギルが乗っかっている。やっぱり疲れたんだね。二人ともありがとう!
「それにしても、サリアは凄いなー!魔装の強さは僕よりも上だよね!」
「いや、あーしの場合はまだまだ改良の余地ありっす。めちゃくちゃ疲れるし、どうも性格がギルに寄ってしまうんですよね。攻める際は強いけど、もうちょっと落ち着くようにしたいっす。」
「サリアよ、やられる前にやれと言うだろう?現に我らが仕留めたからこそ、街の被害も抑えられたではないか!」
「程々が一番って言ってるんすよ。あーしは。」
魔装。僕とサリアが見つけたテイマーの奥義。パートナーと心と体を合わせる事で、普段よりも遥かに力を引き出し、テイマー本人の能力もさらに大幅に上げる事が出来る。その代わり消耗が増えて、性格も好戦的になる事があるんだ。これは切り札と言うべき技だから、使うタイミングには気をつけないと!
「さっ、着いたっすよ!」
「か、壁がバラバラ……外から見ると結構崩れてたんだね。」
「何、気にするな!我らは目標を達成したのだ!」
「わん!わん!」
僕達は崩れた入り口を通り、まずはカインさんに報告する事にした。
「君達!無事だったか!?」
「はい!皆大丈夫です!」
「もちろん我もだ!」
カインさんは崩れた壁の掘り起こしを終え、負傷者を街の奥へ運んでいる。瓦礫の下敷きになった人達も、大きな怪我はしてないみたい。本当に良かったー!
「それじゃあ、ブラッドゴーレムは!」
「あーし達が倒したっす。はい。」
サリアがブラッドゴーレムの魔石を袋から出してカインさんに見せる。するとカインさんは、体の力が抜けたみたいに座り込んでしまった。
「よ、良かった……!君達のおかげで、街を守る事が出来たんだ!本当に感謝するよ!」
「何、我らは障害を取り除いただけだ。街の皆を導き、助け出したお前が一番の功労者だろう!」
「……そうか。なら、そういう事にしておくよ!俺も頑張ったからね!」
「そうだぞ!お前はリーダーなのだ、頑張った事はもっと自慢しても良いのだからな!」
ギルもカインさんも嬉しそうだ!これで少し落ち着けるかな?安心したらお腹がすいてきちゃった!
「そうだギル。街の外に人が倒れてたんだ。旅人かな、縛られて動けなくなっていたんだよ。」
「ほう。酷い奴も居るものだな。で、その旅人は今どうしてるのだ?」
「ああ、街の中に運んで傷の手当てをしてるよ。随分派手に斬られたみたいでね、やったのは強盗かもしれないから、後で事情を聞いてみるよ。」
「それが良い。良ければ我も事情を聞きに行こう。……そうだ!我もお前に報告がある。」
ギルとカインさんは二人で話し込んでるね。大事な話かもしれないから、僕達は一度離れよう!
「レル、行こう!ちょっと休憩しようね!」
「わん!わん!」
「あっ、あーしもついてくっすよ!結構疲れたから、休みたいっすー!」
僕達は一度街の中央に行こう。今はとにかく休みたいな。僕はレルに乗って、サリアと一緒に中央へ向かう事にした。
◇◇◇
「ゆ、勇者だって!?」
「ああ、奴とその配下がブラッドゴーレムを呼び寄せたようだ。それで三人、配下を捕まえて、外に転がしてある。」
「すぐに案内してくれ!何でそんな事したのか、理由を聞かないと!」
「分かった、ついてこい!」
ギルとカイン、二人は勇者の部下を捕らえた場所へ向かう。そこはギルがブラッドゴーレムと戦い始めた壁の側だった。
「我はここに転がしておいたのだ。逃げられぬように拘束もしてある。」
「……ギル、本当にここなのか?」
「この状況で嘘をつくと思うか?我は真剣だぞ?」
「いや、俺達が見つけた旅人も、この場所なんだよ。今は街の中に入れてしまってるんだ……。」
「……しまった!今すぐソイツらの居場所へ案内しろ!何かやらかす前に、この手でもう一度八つ裂きにしてくれるわ!」
「わ、分かった!多分こっちだ!」
二人は大慌てで、捕まえた三人を探し始めるのだった。
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