少女テイマー、反撃準備を愉しむ
今回はサリア視点になります。よろしくお願いします。
「ゴォォォォォォ!」
「鈍いな!我はここだ!」
あーしはサリア。魔物の襲撃、それを聞いて他の皆さんと一緒に街の外へ出ると、ギルとアイアンゴーレムの戦いが続いていたっす。
「ハアッァァァ!」
「ゴォォォォォォォォォ!!」
「何だ、そんな物か!こんな攻撃では我は倒せんぞ!」
ギルの鎌とブラッドゴーレムの拳が空中でぶつかり、火花を散らす。でも、ギルは壁に吹き飛ばされ、その壁が崩れていく。……ヤバいっすね、パワーではゴーレムの方が上みたいっす。
「サリアさん!あそこに倒れている人が居ます!」
「えっ!?誰か巻き込まれたっすか!?分かりました!あーしがブラッドゴーレムの所に行くから、皆さんには先に救助をお願いするっす!」
「はい!」
崩れた壁の側には誰かは分からないけど、三人倒れてる。ギルはあの人達を庇ってたっすね。あーしは皆さんに指示を出してから、ゴーレムに向けて走るっす!
「とりゃァァァ!」
「ゴォォォ!?」
勢いつけてブラッドゴーレムの頭をキックっす!ふらついた所に更にもう一発!
「ぶっ飛べっす!」
「ゴォォォォォォォォォ!」
……あれ?足掴まれたっすか?ありゃりゃ、大変っすね?
「ゴォォォォォォ!」
あーしを掴んだブラッドゴーレムは腕を振り上げ、地面に投げようとしてるっす。その時、あーしと奴の目線が同じ位置になったっす。
「……どかーん、ってね。」
「ゴォォォォォォ!?」
あーしは手のひらから魔力の弾丸を放出。衝撃と黒煙で前が見えなくなった奴は雄叫びを上げながらあーしを手放した。
「ふー、危ないっすね。もしあそこで握りつぶされたらおしまいだったっす。……でしょう、ギル?」
「今更来たのかサリア!余りに遅いから、奴は我一人で愉しむつもりだったのだがな!」
「そうっすか。これでも急いだんすけどね。」
軽口叩けるなら平気っすね。あーし達二人で前のゴーレムを見ると、奴は蒸気を上げながらこちらを睨んでいた。
「サリア、ギル!お待たせ!大丈夫だった!?」
「わん!わん!」
「おお!ティム、それに犬っころ!そっちはどうだ?カインに勝てたか?」
今それ聞く事っすか!?目の前を見るっす目の前を!
「それは後にして!今はブラッドゴーレムを倒さないと!」
「フン!ならば後でじっくり教えて貰おうか!」
「うん。それでギル、ブラッドゴーレムの様子は?」
「ああ。我の鎌で随分斬りつけたが、相当頑丈だ。流石は上位ランクの魔物と言った所だな。」
ギルの話を聞いた後、ティムはブレードを持ってあーしの横に。レルも一緒っす。やっぱり頼もしいっすね。
「ここからは僕達も手伝うよ!」
「わん!」
「いーや。ここはあーし達に任せて欲しいっすよ。」
「サリア!?相手はAランクの魔物だよ!?」
「大丈夫っすよ、あーし達なら。ただ……そうっすね。準備に少しお時間頂きたいっす。お願いして良いっすか?」
「分かった!僕達が何とかするから、早めにお願い!」
ティムはレルと一緒にブラッドゴーレムへ走る。奴は彼らに注目したから、今がチャンスっすね。
「サリア。[アレ]をやるのか?」
「ええ。あーし達が確実に奴の首を獲る、それにはこれが一番っす。」
「……そうか。なら始めるとしよう。ティム達も頑張っているのだからな!」
「それじゃあ、始めるっすよ。……んっ。さあ、出して。」
「ああ。」
あーしはギルの隣に立ち、彼の鎌をギュッと握る。少し恥ずかしいけど、今はそんなの気にならないっす。何故ならこれは……敵の首を狩る為の行為だから。
「そこだっ!お願いレル!」
「わふ!ガァァァ!」
「ゴ、ゴォォォ!?」
ティムとレルは二人でブラッドゴーレムの周りを走り回っている。ゴーレムの目が追いつかなくなっているのか、段々とふらつき出した。そこで彼は先程の短剣を足元に投げつけた。始めは仕込み用、本命は次なのよね。
「もう一本!当たれーー!」
「!?」
短剣同士がぶつかって火花を起こし、それが爆発を生む。ダメージにはならないけど、足元が大きく揺れ、奴は転倒した。すかさずレルが首元にブレードを突き立てる。
「わ……わん!?」
「ゴォォォ!!」
ブレードの刃が通らず困惑してるわね。やはり消耗してる状態じゃ厳しいかしら。
「ゴォォォォォォ!」
「いいぞ!こっちだ!かかってこい!」
「わーふ!わーふ!」
「ゴォォォォォォォォォォォォ!!」
ゴーレムは立ち上がり、ティム達を睨む。完全に彼らをターゲットに決めたようね。彼らは高速で移動しながら、上手く惹きつけてくれているわ。
ティム達が戦って数分経つ。もう少しだけ頑張って欲しいわね。……私達もじっとしてるのは大変なのよ?でも、これはどうしても必要なの。だって……。
「サリア、そろそろだな。準備はいいか?」
「ええ。始めるわよ。」
「では……始めるとしよう!」
「「我らの戦いを!」」
折角の大物ですもの。私達も愉しませて貰わないとね。
今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。




