少年テイマー、住民を救助する
僕達はサリアとカインさん達、皆で街の外へ向かう。急がないとギルが危ない!
「あそこだ!」
「急げ皆!俺達で街を守るんだ!」
「おおー!」
他の冒険者達と一緒にどんどん外へ向かって行く。そして遂に、入り口付近に辿り着いた。するとそこには見張りの人が倒れていた。カインさんはその人を起こし、話を聞く。
「う、うう……。」
「おい君、大丈夫か!?」
僕達の前には、街を覆う壁がバラバラに崩れている。その近くには、瓦礫に巻き込まれ、下敷きになっている人達が居た。
「ぶ、ブラッドゴーレムが暴れていて……すみません。ギルさんに任せて下がっていたのに、これでは足手まといですね……。」
「気にするなよ!とにかく無事で良かった!」
カインさんはその人を寝かせて介抱しつつ、目の前の瓦礫の山を見ていた。
「相当暴れてるっすね。あーしは一足先に外に出るっす!」
「お願いサリア!僕は後で行くから、ギルを助けてあげて!」
「ティム……ええ、任せてっす!あーしがギルのパートナーなんですからね!」
サリアは外に駆け出し、それに続いて他の冒険者さんも外へ。本当は早く行きたいけど、まずはこの人達を助けなきゃ!
「レル、行くよ!」
「わん!」
僕はブレードを持って、レルと一緒に瓦礫の山に走る。まずはこれを移動させないと!
「カインさんすみません!この瓦礫って、風の力でどかせませんか?」
「ごめん、ちょっと難しいな……。塊が大きすぎて動かせない。それに削るにも時間がかかる。どうすればいいか。」
「それなら……これはどうでしょうか?」
僕はカインさんの側に行き、自分の考えを伝える。一刻を争うんだ、とにかくアイデアを出さなきゃ!
「カインさんは常に魔力を使って風を起こして下さい!僕があれを少しづつ壊せば、その風の流れで飛んで行きませんか!?」
「えっ、待ってくれ!下に誰か居たらどうするんだい!?」
「だから、目に見える大きい物だけ壊します!そうすれば時間短縮になると思うんです!後はひたすら掘りますから!」
「……迷ってる暇は無い、って事か。分かった、それなら取っ掛かりになる場所、あそこを頼むよ!」
カインさんが指差したのは、一番大きな塊。あれをどかせば、下の捜索が出来るようになるんだ。
「レル、同時にお願い!」
「わふー!」
僕達の狙いは一番上から、パンのように少しづつ薄く斬る事。一気に壊したら破片が多すぎて、下にいる人も危ない!
「せーのっ!」
「わーーー!」
「よし、行くぞ!ティム君、頼む!」
まずはレルが飛び掛かり、横に一閃。それをカインさんが浮かせ、その内に僕達二人がかりで細かく斬る!最後にカインさんが細かい瓦礫を吹き飛ばして、切れた部分は処理できた。
「ハアッ!……よし、動かせた!次を早く頼むよ!」
「分かりました!どんどん行くよ!」
「わふ!」
焦るな……少しずつ、少しずつ!僕達は瓦礫を切り進め、目の前の塊は段々と小さくなってきた!
「よし!ここまで小さく出来れば、何とかなる!皆、スコップは持ったな!」
「「「「「「おーーー!」」」」」」
「急いで掘り進めるぞ!作業開始だ!」
カインさんの号令で、皆はどんどん瓦礫の山を掘り進めていく。僕もスコップを持つけど、カインさんは僕の手をそっと止めた。
「カインさん?」
「ここまでくればもう大丈夫さ!君はサリアの所へ行ってあげてくれ!」
「で、でも!」
「俺達なら心配無いさ!さ、早く!」
「わ、分かりました!ありがとうございます!」
「わん!」
カインさんはそう言って、風の魔力で細かい瓦礫を取り除き始めた。僕達はサリアとギルの居る外に急ぐ。あの二人なら平気だと思うけど、相手はブラッドゴーレム。油断したら駄目だ!
「見えた!レル、あそこだよ!」
「わん!わん!」
僕達の先にはブラッドゴーレムと、その側で戦っている二人の姿があった。サリア、ギル!今行くからね!
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