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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第三章

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少年テイマー、新たな街へ

 僕はサリアと手を繋ぎながら歩いている。目的地はサリアの行きつけのお店。おいしいご飯が魅力らしいんだ。ラルフさんからもらったお金をちょっと使って、皆と食べようと思ってるんだ!


「それでサリア、その街は後どのくらいで着くの?」


「あー。もうすぐ着くっす。この辺でいいっすかね?」


 僕達は草原の真ん中に着いた。ここは村を出てからしばらく歩いた所。するとサリアは手から水晶を取り出した。


「移動にはこれを使うっす。これを使えば一瞬でワープ出来るっすよ!」


「えっ!?そんな物も持ってるの!?サリアってやっぱりすごいなー!」


「そりゃ、あーしが凄いのは分かってるっす!さ、行くっすよ!」


「うん、むきゅ!?」


 サリアは僕にギュッと抱きつき、水晶に魔力を込めた。すると周りが輝き出して……目を開けると、そこは知らない街の側の草原だった。









「さて……ここがあーしの紹介したい街っすよ。ギル、一応これを被るっす。変な奴に絡まれたら大変っすからね。」


「フン、ここなら問題無かろう。だが……人間にも不思議な奴がいるものだ。見た目が違うぐらいで迫害するのだからな。」


 ギルはローブを被り、鎌状の手に手袋を付ける。確かにこれなら人間にしか見えない。完璧な変装だ!


「それでは入るっすよ。……ティムも一応気をつけてっす。」


「う、うん。」


 僕達は街の門をくぐり、お店へ急ぐ。レルは僕の後ろをついて来て居るけど、行き交う人達は特に気にしていないようだった。





「かわいいー!もふもふワンちゃんだー!」


「わん?」


 僕が後ろを見ると、男の子がレルに触っている。体を引っ張ったり、背中に乗ったり。……あの子はレルが怖くないのかな?すると女性が近づいてきた。


「あらあら。うちの子がごめんなさいね。」


「あっ、いえ、大丈夫です……。」


「初めての人かしら?ここはストーレの街よ。楽しんでいってね!ほら、帰るわよ!」


「はーい。ワンちゃんまたねー。」


「わん!わん!」


 女性は男の子を連れて道を歩いていく。……あれ?あの人……尻尾がある?


「気づいたっすか、ティム。」


「サリア?」


「ここはストーレの街。訳ありだったり、迫害された人達が集まる街っすよ。だから色んな人が居るし、深く事情を聞かれる事もない。王国の街に比べれば気楽でいいっすよ?」


「凄い……ここならスキルとか、種族なんて関係無いって事だね?」


「そういう事っす。さ、あーしのおすすめはこっちっすよ!」


 サリアに手を引かれながら歩いていると、そこには小さな料理店があった。








「ごめんくださいっす!今日のおすすめをお願いするっすよ!」


「はい。んじゃ席に座って待っていてね。」


「了解!ティム、こっちに来て下さいっす!」


 サリアは店主さんと親しいみたい。軽い会話の後、僕は案内された席に着席する。周りを見渡したけど、人はあまり居ないや。それなら早く食べられるかな?僕達はわくわくしながら料理を待っていた。











「貴様ァ!俺に逆らう気か!?」


「お、お許し下さい!」


 料理を待っていると、外から大声が聞こえてきた。もしかしてトラブル!?


「また始まった……ったくしょうが無いっすね。」


「どうするサリア!?ここは助けに行かないと!」


「分かってるっす。店主さん、ここはあーしが行って来るっすから、料理をちゃんと作って下さいっすよ?」


「助かるよ。早く行ってやってくれ。」


「あーい。じゃ行ってきます。」


 サリアはのんびりと話しているけど、反対に体は素早く動いていた。料理店の扉をくぐると、そこには一人の男性と……えっ、





あれは……シャーユ!?






「こんな吹きだまりに来てやったのに、礼の一つも言えないのか!?このゴミクズ共め!」


「し、しかし……私達はまだ料金を頂いてないのですが……。」


「黙れ!俺の言う事が聞けないのか!?」


「はいはい、そこまでっすよ。」


「誰だ!?邪魔をする……な……?」


 怒鳴っているシャーユに向けられたのは、鋭い鎌。その鎌を握っていたのはサリアだった。


「どーもっす。悪いのはアンタに決まってるでしょうが。お金は出さなくていいんで帰って下さいっす。騒がれると迷惑なんで。」


「こ、このゴミクズ共が!折角来てやっているのだ!むしろ感謝して金を出すのが筋という物だろう!?」


「何でアンタが馬鹿にしてるゴミクズが、お偉い様のアンタの為にお金を出すんすかね。どうしたってそんな余裕は無いっす。アンタの常識を疑うっすよ。」


「こ、この……!」


 するとサリアは鎌を首元に、ギリギリ触れそうな距離まで近づける。


「これ以上騒ぐなら容赦しないっすよ。大人しく帰るっす。」


「き、貴様!ただで済むと思うなよ!覚えていろ!」


 シャーユが逃げて行った。サリアはそれを見届け鎌をしまう。どうしてあの人がここに来たんだろう?


「あ、ありがとうございます!」


「いいっすよ!困った時はお互い様っす!……お代はこれっすね。受け取って欲しいっす!」


 頭を下げている男性にお金を握らせた後、サリアは軽く手を振ってこちらに戻って来た。





「さ、ご飯にするっすよ!店主さん、早く作るっす!」


「もう出来てるよ、はいどうぞ。」


「では、頂きます!」


「い、頂きます!」


 僕達の前に出てきたのは大きなピザとシチュー。お肉にトマトにチーズ……見てるとお腹が空いてきた。


「しっかし……ここにも勇者が現れるようになったっすか。困るっすね。」


「あれって間違い無くシャーユだよ……何で……?」


「ええ。その通り。最近やって来て暴力を振るったりお金を奪ったりするんす。あーし達からしてみれば盗賊みたいなもんですよ。」


「そう、なんだね……。」


「これに懲りてくれれば良いんすけどね。じゃ、湿っぽい話は終わり終わり!早く食べるっすよ!」


「うん……頂きます。」


 僕達は早速ご飯に手をつける。ピザもシチューもおいしかったけど、僕の頭の中にはさっきの光景……勇者シャーユの姿がずっと残っていた。

今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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