闘技大会 本戦三回戦目、終了!
「皆様お疲れ様です……どころではありませんね!すぐに治療します!」
現れたのは魔王のメイド、ルー。俺達に手をかざすと、傷ついた箇所の痛みが引いてきたんだ。
「傷が治ってる?あ、ありがとう。」
「すごーい!」
「今回は緊急です、怪我が酷い方はこの場で処置します!」
それからルーは瞬間移動、倒れた参加者達に応急処置を行い、瞬間移動で運んでいる。とんでもない魔力量だ、皆まとめてなんて簡単に出来る事じゃない!
「お待たせしました!これより本戦の結果を……と言いたい所ですが。」
「待って待って!あの機械ちょっと変だったよ!ゴールしたのにミー達を撃ってきたんだ!」
「そうだぞ!何で終わった奴を狙う必要があるんだ、それも本戦の内容だって言うのか!?」
「かー!かめー!」
俺達三人でルーに抗議する。だって危ないだろ、完全に不意打ちになるから死者だって出るかもしれなかったんだ!
「それはその……私達の方でも原因が分からないのです……。」
「そ、そうなのか?」
「はい。ですから早急に調べます!今回は申し訳ありませんでした!」
ルーはお辞儀をしてるけど、別に彼女が悪いわけじゃないんだよな。酷いこと言っちゃった……でも皆倒れ……そうだった!
「ご、こめん。ルーのせいじゃないよな。でも、ロットンやリッチ達はどうなるんだ?皆倒れちゃったり落ちたりしたけど、合格はしてる筈だ。」
「も、もちろんゴールを通った方は全員合格にさせて頂きます!その点はご安心下さい!」
「よ、よかったー!これで安心だねラルフ!」
「ああ!」
「それでは私は一度降りますね!下に居る皆様の様子を確認した後、お嬢様に報告しますので!」
また消えた。本当に速いな……
「でもこれで……俺達合格したんだな!」
「かめー!」
「ラルフすごかったよ!あんな強い爆発を一人で抑えちゃうんだから!」
「そういえば俺の持ってる板は何だろう?突然出てきて握ってたんだよ。」
俺は手に持ってる板を身体に近づける。この模様は、タルトの甲羅にそっくりだ!
「タルト、これお前が?」
「かー!かー!」
「何て言ってるの?」
「かっこいいよって言ってるみたいだ。」
なるほどタルトが力を貸してくれたって事だな。って事は……
「もしかして俺も、先生やサリアみたいになれたって事?」
ティム先生はレルと力を合わせてブレードを出してる。サリアは鎌は自前だけど、ギルと力を合わせてより強力に変形させている。俺は剣に魔力を纏わせるだけ……でも今回、より上の事が出来たのか!
「今までよりも上手く、タルトと力を合わせられるようになったんだ!」
「かめー!」
「や、やったぞ!俺また一段と強くなったんだ!やったー!」
「おめでとうラルフ!じゃあ忘れないうちにもう一度だよ!」
「み、ミー。今は無理だ、もう限界だよ。」
「それもそうだね!ちょっと休もうか!」
「ああ!」
「かめー!」
「ハァハァ……ラルフもタルトもミーも、皆かわいいわぁ……。でもあの機械、実戦って考えても暴れすぎよね。何かあったのかしらー。」
「レニー、こっちで一緒に休もう!どうだ?」
「本当?今行くわ!ハァハァ……堪らないわー!」
「危なかったな、死ぬかと思った。」
「じゃの。あのメイドさんには感謝じゃな。それよりラルフ達があの巨人を倒したのじゃ、ワシびっくり!ロットンはどうじゃ?」
「全く……やるじゃないかラルフ!このピンチで更に強くなるなんてな!」
「ホッホッホ!嬉しそうじゃの。」
「当たり前だろリッチ。アイツが強くなった、それを間近で感じられるんだぜ?さ、俺達も合流するか!」
「びー!びー!」
「ま、待って下さーい!」
「びー君とサキも治してもらったんだな。なら一緒に行くか!」
「びー!」
「は、はい!」
◇◇◇
「ライアお嬢様、ただいま戻りました!」
「ご苦労様なのじゃルー!本戦も次で終わりじゃな!」
「はい。怪我の酷い方は病院にお連れしました。それでお嬢様、今回の戦いは……」
「もちろん見たのじゃ!ラルフさんが盾を出して皆を守っていたのじゃ。あれだけの爆発をよく防げたものじゃな。ますます目が離せないのじゃー!」
「た、確かにそうですが。今はそういう話では……」
「ふむ。これは実に気になる。ルーの言いたい事はそういう事、なのだろう?」
「シンマ様?それではやはり……」
「ああ。最後の仕掛けになる巨人、ここまで積極的に攻撃するようには調整していないのだ。試験として用意したのだ、落とす事はあっても殺すつもりなど全くない!」
「じゃあ何だ?アタシ達の中に機械をいじった奴が居るってのか?」
「私達は知りませんな。もしやるならば許可を申請する筈、そうでしょう?」
「ドレイク、ガイア殿。二人の言う通りだろう。ここは……ルー、残骸を回収してくれないか?調べてみたいのだ。」
「はい!それでは早速持ってきますね!」
シュッ。
「何かが起こっているのかもしれない、ならば私達も気を配る必要があるな。」
「面倒くさいがそうも言ってられないか。アタシも少しだけ注意するかな。」
「私も二人に同じですな。」
「まあ程々になのじゃ。多少のトラブルは想定内、大会を楽しみながらチェックすると良いじゃろう!」
「そうだな。では、私は観戦しながらメンテナンスの用意をしておこう。」
「ま、これに対応するのも戦士の資質って事だな!一応周りを見ながら楽しむか!」
「単なる不調の可能性もある、ここは様子見と行きますかな。」
(そう、大会にはトラブルが付き物、という訳じゃ。何とも無ければそれで良し。勿論……警戒はしておくのじゃ。程々に、な。)
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