渾身の一撃!ティム&レル VS ニール!
遅れてしまって申し訳ありません。今回もよろしくお願いします。
「レル、始めるよ!」
「わん!」
僕達は体を合わせてお互いの魔力を合わせるんだ。魔装の展開には少し時間がかかるから、落ち着けるタイミングじゃないといけないんだ。でも、今は大丈夫!
「お前らー!オレ達に手を出すなよー!オレはティム達と戦うんだ、邪魔はしないでくれよー!」
ニールさんが大声で周りに伝えると、周りの参加者さんが集まって来た。皆武器を手に、こっちの様子を見てるみたいだ。
「おい……これって見れるんじゃないか?」
「ああ、ティムの魔装だろ?配信じゃなくて生で見れるとはな!」
「テイマーの奥義、って言ってたよな!これは見なきゃ損だ!」
……何だろう、意識したら凄く緊張してきよ……
「どうだティム!そろそろ行けそうか?」
「は、はい。もうすぐです!」
「ワクワクするよなあ。お前達の力を見れるんだ、こっちも全力出すから楽しみにしとけよ!」
…………よし!準備できたぞ!
「レル!一緒にお願い!」
「わん!」
二人の魔力が上手く重なった!後は呼吸を合わせるだけ!
「じゃあ行くよ!せーのっ!」
「わふー!」
「魔装展開!」
「わふーわんわん!」
「いよいよだ、期待してるぜ!」
魔装で僕達の姿は少しずつ変わっていく。僕はもふもふの鎧に鉤爪、レルは鋼鉄のプレートに身を包み、ブレードもより大きく変化した!
「おお!これが魔装か!」
「ふぅ……これで完了だよ!」
「わん!わん!」
二人で武器を構えて、ニールさんの方を向く。ニールさんも剣を持ってこっちを睨んでるぞ!
「お待たせしました!よ、よろしくお願いします!」
「お疲れさん!んじゃ始めようか。ここまで待ったんだし、簡単に終わるなよ?」
「もちろんです!僕達が勝ちますから!」
「良いねぇ!なら先攻は貰うぜ!」
その言葉と同時にニールさんが消えた。そして次の瞬間、彼は僕の足下に!
「捉えたぜ!」
「それはこちらもです!」
「……なっ!?」
まずはニールさんの背後を取る!高速で背中へ移動してから、全力で……
「とりゃぁぁぁ!」
「ぐ、うおっ!?」
思いっ切りキックだ!空中に浮いた所に鉤爪で突撃!
「重いな、だが見えてん……居ない!?」
「ここです!」
下から背中を蹴り上げ、無防備の状態に一閃!
「痛っ!オレが斬られたのか!?」
「まだまだ!」
今度は上に移動し、空中から鉤爪を振り下ろす!ニールさんは剣でのガード。ここまでは予想通りだ!
「あ、危ねぇ!スピードが速すぎる、さっきまでとは段違いだ!」
「そこです!」
「チッ!」
鋭い爪での攻撃をニールさんが剣で抑える。競り合いになると不利だから、突きを中心に攻めるんだ!
「刺しては引いての繰り返しか!攻撃の隙が無い!」
「隙ありです!」
「お、おいおい冗談だろ!?」
今度はしゃがんで足を攻撃!剣を降ろしてガードしたニールさん、その頭上を取って、今度は首にキックを当てるんだ!
「ぐっ、攻撃が的確だな!さっきから急所ばかり狙ってきやがる!」
「レル、ここからは一緒に!」
「わん!」
レルの準備も整った!僕達は横に並んで同時に仕掛ける!
「せーのっ!」
「わん!」
まずは空中にジャンプして同時攻撃!
「とりゃぁぁぁ!」
「わふーー!」
「舐めるなよ、今度はしっかり見えてるからな!」
レルのブレードとニールさんの剣が同時に火花を散らす。ここでもう一度後ろを取るんだ!
「わふ?」
「ここからはオレも本気だ!まずはお前を吹き飛ばしてやるぜ!」
「わん、わん!?」
ニールさんの剣が振動を始めた、その時……レルが弾き飛ばされた!?
「わふ!?」
「レル!」
つ、次は僕だ!ニールさんを鉤爪で攻撃、両腕で剣を取り上げる!
「挟んだぞ!引っ張れー!」
「な、何だ、今度はどんな作戦を考えたのか!?」
剣を放り投げて、もう一度突撃だ。さっきみたいに吹き飛ばして追撃を入れれば!
「えいっ!」
「くっ!」
キックして相手が下がる、ここだ!
「行くぞ![魔技] ウルフハウンド!」
鉤爪に魔力を集めて、思いっ切り突き刺す!ここで決めるぞ!
「これで終わりです!」
「そうは行かないぜ!ハァッ!」
「…………?」
ニールさんの声は聞こえたけど、何も起きてない。僕は全力でニールさんを
「…………えっ?」
ぼ、僕、今空中に居る?
「今度の今度こそ捉えたぜ!ハァッ!」
「ぐわっ!?」
な、何!?急に体が動かなくなって、地面に落とされた!?
「ま、まだまだ!」
「その態勢で投げるとはな!よっ!」
落ちながら短剣を投げる。でもそれは変な方向に飛んでいっちゃった……
「ニールさんが手をかざしてから動けなくなった……もしかして!」
「そうさ、オレはこういう技が使えるんだよ。ほらよっ、ショックウェーブ!」
「っ!レル、お願い!」
「わん!わん!」
放たれたのは衝撃波!?これを受けて体がまた動かなくなった!僕が落ちていく中レルにお願いして、下の地面に座ってもらうんだ。
「今だよ!」
「わふ!」
レルの背中に落ちた後、すぐに地面に転がる。もふもふで衝撃を和らげて、急いで離れる事でレルへの衝撃も防ぐ。でも……
「あれじゃ近づけない、今までは本気じゃなかったの!?な、何か方法はあるかな?」
「わふー。」
「ま、そうだろうな。オレ様の本気は攻めと守りの両立だ、誰一人として近づけないのさ!だが……」
ニールさん?悩んでるのかな。
「うーん。これって闘技大会だもんな。舐めプみたいであんまりやりたくねぇが……だが見たいんだよなぁ。おいティム!」
「な、何ですか?」
「お前、次の一撃でオレを倒せる自信はあるか?」
「……えっ?」
「折角の大会だ、話題のテイマーであるお前の全力を見たいと思ってな。次の一撃に全力を込める。それで勝った方が勝ちってのはどうだ!」
「う、うーん。」
……正直に言うと、このまま戦っても勝てる見込みはあんまり無い。それなら残った魔力を全部使って、一撃必殺を狙えば勝てるかもしれない!
「レル、僕この勝負受けようと思うんだ。どうかな?」
「わん!わん!」
「うん!……ニールさん!その勝負、受けて立ちます!」
「よし来た!魔力を溜めるから待ってろよ!お前の準備が出来たら言ってくれ!」
「はい!」
僕達は魔力を鉤爪とブレードに集める。相手の剣は触れた物を弾く……あの衝撃波の力を使ってたんだ。でも、もう競り合いしか無い!パワーなら負けないし、僕にはレルが居るんだ!
「レル、同時攻撃で剣ごとニールさんを狙おう!先に吹き飛ばせばこっちの勝ちだよ!」
「わん!」
「おーい!準備出来たか?」
「はい!いつでも行けます!」
「来たぜ来たぜー!オレ様の全力、見せてやるよ!」
お互いに準備が終わった!この一撃で決まる……!
「タイミング合わせろよ!ハァァァァ!」
魔力を纏ったニールさんが構えを取った。僕達も!
「レル、一緒に!」
「わん!」
お互いの距離を測り、僕も鉤爪を構える。ニールさんは……まだ動かない。
それから数十秒が経って……
「さあ勝負だ!ティム、お前を倒してオレ様が優勝を頂くぜ!」
「僕達は負けません!レル、突撃だよ!」
「わん!」
もう一度お互いの顔を見て……同時に加速だ!
「速いな!だがオレの一撃、止められるかな!」
「止めてみせます!僕達なら出来る!」
「これで終いだ!ショックウェーブ!」
「[魔技]ウルフハウンド!」
「わん!わん!」
僕達の武器とニールさんの剣が同時にぶつかり合い、火花が弾けた。が、ガグガクと揺れる!
「弾かれる前に吹き飛ばす!真っ直ぐ押し込んで!」
「わん!」
「そうそうこれだよ!真っ向勝負は楽しいな!」
ニールさんの足元は地面を滑って、僕達がドンドン進む。やっぱりパワーは勝ってる!でもニールさんは楽しそう、余裕があるんだ!
「いっけぇぇぇぇ!」
「おおおおおおお!」
お互いに全力でぶつかり合い、火花が一段と大きくなる!このまま進むんだ!
「負けるかぁぁぁぁ!!」
「勝つのはオレ様だぁぁぁ!」
ガチン!
「捉えたっ!これでトドメだ!」
「わん!」
「オレも同じだ!」
鈍い音と共にお互いの武器が離れ、隙が出来た瞬間。素早く鉤爪をニールさんに突き立てた。
ニールさんも僕に向かって剣を振り下ろす。もう防御は出来ない、どっちが先になるかだ……!
そしてお互いの武器が交差した時、目の前が白く光って……
「ぐぁぁぁぁ……!ま、負けた……!」
巻き起こった爆風。僕は地面を転がりながら、自分が斬られた事を感じていた。
「痛っ。もふもふが無かったら……。」
僕の鎧には長く赤い線が滲んでいる。直接受けたからか、もう立てないや……
「レル、レル!」
「わふ……。」
レルももうボロボロだ。に、ニールさんは!?
「おぉぉぉぉ!こ、ここまでやるとはな……!」
……ニールさんの肩には小さな穴が空いてる。両足の防具はヒビ割れて崩れていた。僕達の攻撃も届いてたんだ……!
「駄目だ、もう立てねぇ!クソッ、折角ここまで来たのに脱落かよ!お、オレ様の栄光がぁ!」
「ぼ、僕も限界……レルは?」
「わふー。」
レルは何とか立ってるけど、僕とニールさんは地面に倒れて動けない。するとそんな僕達に一人の女性が割って入って来た。
「ティ、ティム先生!?まさかここで脱落になってしまうなんて!残念です……。」
「る、ルー!?そ、そっか、動けなくなった人達を避難させてるんだね。」
「は、はい。今からお二人を治療室にお連れします。それにしても、随分レベルの高い戦いでしたね!王様方も、それに先生のお父様も皆注目してましたよ!私も参加したかったです!」
魔王ライアのメイド、ルー。もし彼女も大会に出てたら……変な考えはやめよう。とにかく、疲れちゃったなぁ。
「ごめんねレル。僕はここで失格みたい。ここからは一人で頑張ってね!」
「わ、わふ!?」
「大丈夫!レルは強いもん!きっと優勝出来るよ!」
「わ、わん。」
「そうだぜ!お前もティムと同じで凄ぇ強かったぞ!オレ達の分まで楽しんでこいよ!」
「わ、わん!わん!」
「それではお二人を移動させる前に……これで丁度時間ですね。バトルロイヤルはここで終了です!ちょっと待ってて下さい、皆を止めてきますから!」
「あっ。」
ルーは行っちゃった……ここに残ったのは僕とニールさんだけだ。
「あー!残念だが最高に楽しんだんだ、後悔は無い!オレは満足してる!」
「お、お疲れ様です。僕もちょっと休憩だー!」
テイマーの強さは、今回の戦いでますます理解して貰えたはず!優勝はサリアとギルに任せよう!
「皆見てくれたなら良いなぁ。テイマーって凄いんだから!」
「そうだな!おっ、そろそろ始まるぞ……違うな。終わるぞ。」
「そうだ忘れてた!ニールさん、ソードは!?ソードと戦いましたよね!」
「ああ。あの剣聖だろ?アイツなら……」
「皆様お疲れ様でした!ここで二回戦目は終了でーす!」
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