剣聖脱落！？続く闘技場の戦い！
「サハギンさん、本当に傷は大丈夫ですか？」
「ギョッ。」
「わん！わん！」
「僕も大丈夫！じゃあ……行こう！せーのっ！」
僕達は戦いの中心に乗り込む事に。さっきの戦いで、僕達が隠れていたのも分かっちゃったからね。僕達も回復したし、ここで勝負をかけるよ！
「おい見ろ！テイマーのティムだ！」
「あの勇者を倒したのか？だが消耗してるだろ、今なら勝てるぞ！」
「行くぞぉぉぉぉ！」
「来たよ、レル！」
「わん！わん！」
早速参加者さんが向かってきた！いざ、勝負だ！
「オラァァァァァ！」
「はぁぁぁぁぁぁ！」
な、何！？すごい風だ、体が浮いちゃう！
「危ない！」
僕達はブレードと槍を地面に刺して風をやり過ごす。今の声は、もしかしてソード！？
「「「うわぁぁぁぁぁ！？」」」
……参加者さん達は上に飛んでいっちゃった。今のうちに先に進もう！
◇◇◇
「オラオラオラ！こっちが優勢か？」
「引いて、押して……繰り返すんだ、競り合いを避けて、そこっ！」
「チッ！蹴りを入れてきたか！」
「メガフレイム！」
「おお！？」
ニールとソードが戦ってからしばらく経って。剣でのゴリ押しを続けるニールに対し、魔法を使いながら後退するソード。一見押されているが……
「はぁ……やるねえ！俺の方が結構押してるか？いや違うな。」
「何度も攻撃してますからね。俺の方が魔力は使ってます。でも！」
「全く、魔法の対応は面倒くさい！連発してくるなんてな！」
「負担の軽い技で攻撃、すぐに離脱して炎で攻撃……体力なら俺の方が上です！」
ソードは剣の衝突を避け、魔法でニールの体力を削る。対するニールは接近戦に入る為、高速移動をソードに仕掛けていた。
「大したもんだ！小技ばかりだがここまでやるなんて思わなかったぜ！」
「当然です！俺は勝つ為にここに来たんですから、貴方にも負けるつもりはありません！」
「その意気だ！じゃあ俺もそろそろ本気を出すかな？」
「ほ、本気ですか……！」
「これが全力な訳無いだろ？ここからはもっと楽しくなるぜ！」
ニールは話し終わるとフーッと息を吸い、剣を強く握り締める。目を閉じて大きく息を吐くと……
「なっ！？は、速」
「遅いぜ？」
ソードの腹部をニールの剣が捉え、力任せに振り上げる。その衝撃でソードは空中に跳ね飛ばされた。
「ケホッ、い、今のは！？全く見えなかった！」
「そうだろ？これが俺の本気さ！」
「っ！間に合え！」
一瞬で上を取ったニールが再び剣を振り下ろす。今度はソードの剣が割り込み、直撃は避けられたが……
「このままだと墜落する！魔力を集めないと……なっ！？」
「悪いな、オレ様は優しくないんでね！地面へのダイブは一人でやってくれ！」
ニールはそう言うとソードに手をかざし、一言。
「じゃあな！」
「しまっ……」
ソードの胸に衝撃波が押し付けられ、そのまま地面に落下する。周囲の参加者を巻き込みながら地面がヒビ割れ、更に広がっていった。
「楽しかったぜお前との戦いは。さて次はアイツだ！あっちも楽しそうじゃねぇか！」
ニールはソード達と離れた地面に着地し、再び空中に飛び上がった。
◇◇◇
「えいっ！そこだよ！」
「うけー！」
一方こちらはアオハとシロメ。空中を跳ねながら攻撃を続け、参加者達を倒していく。二人の顔はどこか楽しそうであった。
「それそれそれー！僕達の動きについてこれるかな？」
「うけー！うけ？」
「ん？どしたのシロメ？」
アオハは空中でシロメの見ている方向に目を向ける。そこに映ったのは……
「そこのガキンチョ！随分楽しそうじゃないか、オレも仲間に入れてくれ！」
「こ、この人は、ニールだっけ？ソードと戦ってた人だよね。……まさかソードは！？」
「アイツかなり強かったぞ？さて、お前達はどうかな？まずは軽くだ！」
「まずい、シロメ逃げるよ！はあっ！」
「うけー！」
アオハはパンチを仕掛けたニールの腕を掴んで、空中で蹴りを入れる。ニールはもう片方の腕でガードするが、その腕に足を掛け、遠くにジャンプした。
「お！オレの腕を踏み台にしたのか、いい判断だ！」
「シロメこっちこっち！あんなのと戦ってたら作戦が水の泡だよ！」
「うけー！」
シロメは空を飛びアオハに合流。二人で地面に着地すると一気に走り出した。
「戦ったら負ける！今は逃げるよ、時間まで生き残れば良いんだ！」
「うけー！」
「速いな。今度は鬼ごっこか、いいねぇ！」
闘技場を駆け抜けるアオハ達、ニールは二人を追いかける途中で、次々と参加者達に触れていく。
「悪い！ちょっとどいてくれ！」
「うわぁぁぁぁ！？」
「きゃぁぁぁぁ！」
「あ、あわわ……絶対に捕まっちゃ駄目だよ！」
「う、うけー！？」
アオハ達が加速すると、それに合わせてニールも加速する。一向に差が広がらないまま闘技場をあちこち走っていた。
「振り切れない！もう一か八か、戦う方がいいかな！？」
「うけー！うけー！」
「そ、そうだね。止まったらもう終わり、僕達じゃ彼には勝てない。だから走るんだ！」
アオハは更に加速。しかし追いかけるニールはそれを先読みし、正面に立った。
「しまった！」
「捕まえたぞ！」
「あ、危ない！」
剣を振り上げるニール、それを回避し地面を転がるアオハ。深呼吸をしながら手のひらをニールに構えていた。
「惜しかったな。あのまま走ればまだまだ逃げられたかもな？」
「ブレイクアロー！」
「お！ようやくやる気になった訳だな！」
ニールは放たれた魔法の矢を剣で防ぐ。煙を起こしながら一歩、また一歩とアオハに近づく彼が次に見たのは、下から突き出した蹴りだった。
「何っ！？」
「エルフはね、魔法も得意だけど体も軽いんだ！これならどうかな！」
「ぐっ！」
両腕でガードしたニールを更に蹴り上げ、空中に浮かべる。アオハは地面からジャンプして蹴る。着地後またジャンプして蹴る。これを繰り返した。
「攻撃の繋ぎ方が上手いな、だがこれだけなら効かないぜ？」
「今だよシロメ、走ってー！」
「うけー！」
空中に浮かんだニールを見て、二人は全力で駆け出す。その先には……
「お、おいおい！？ここは追撃を入れる所だろ！？ここまで繋げて逃げちまうのか？いい感じだったのに……」
地面に着地したニールはため息をつき……そして剣を構え直した。
「まあ楽しかったから良いか。そろそろ決めるかな。」
剣を構え、二人を尚も狙うニール。彼の体から一気に魔力が溢れ出した。
「じゃあな！お前達との戦いも楽しかったぜ！」
ガキン！
「ん！お前達は……！」
「次は僕達の番です！手合わせをお願いします！」
「わん！」
「…………ったく、この大会楽しいな！次々と強い奴らが来るんだからよ！」
ニールが動き出す直前、横からブレードが一閃。それをガードしたニールが前を見ると、そこには見覚えのある少年と、彼のパートナーであるブレードウルフが立ち塞がっていた。
「お前達と戦ってみたかったんだ！良いぜ、受けて立とう！ティム、レル！」
「ニールさん！僕達も全力で行きますよ！」
「わん！わん！」
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