少年テイマー、勇者と相対する!
今回からティムの住む村のメンバーが合流します。よろしくお願いします。
「この通りを抜けると、ティムさんとラルフさん達が居る闘技場に着くんですね!早く皆さんの活躍を見たいです!」
「ま、待って下さい姉貴!俺達荷物が重くて……」
「ったく、このくらいで情けない!姉貴、こっちは俺達に任せて、姉貴は席を取っといてくれ。」
「はい!先に行ってますから、早めに来て下さいね!」
闘技大会が始まってから少し経った後。三人の男女が会場に向かっていた。少女は闘技場への道を走り、その後ろには荷物を背負った、細身の男性と大男の二人が歩いている。
「見えましたよー!入り口です!」
「分かった!早く早く!」
「あ、兄貴重いです!こっちも少し頼みますぜ!」
「全く……ほら、お前も行って来い!」
「へ、へい!」
少女の名前はリース。細身の男性と大男はモブスケとモブロウ。リースはティムとラルフが滞在している村の村長、二人はそこで暮らしている村民である。
「大会が始まる前に着けると思ったけど、時間がかかっちゃった。早く皆を応援しないと!」
◇◇◇
「おいロットン!先生刺されたぞ、大丈夫なのか!?」
「かめー!?かめー!」
「何とも言えないが、まだ分からないぞ。ティム君達は一度態勢を整えるつもりだ。」
「ひきょうだよ!仲間を盾にするなんて、あれでも勇者なの!?」
「ラルフにタルト、それとミー。これは闘技大会だぜ?自分以外は皆ライバルであり、蹴落とすべき敵だ。手段を選んじゃいられないんだよ。」
「「でも……」」
「それにティム君達は諦めてない。勝負はまだ続いてるのさ。」
「み、みなさーん!」
「ん。あれは……」
「どうしたラルフ?」
「リースちゃん!良かった来れたんだな!今大変なんだよ、早くこっち来てくれ!」
「え、えっ?……み、皆さんお待たせしました!たくさんお料理を作ってきましたよ!」
「あ、兄貴もう限界ですぜ……もう動けない……」
「確かに疲れた……お、ラルフ兄貴とミー姉貴じゃないか。」
「あっリース!モブスケとモブロウも!」
「今来たのか……マズイな。」
「な、何かあったんですかロットンさん?」
「まあな。あれを見てみろよ。」
「あ……ああ!?」
「「ティム兄貴!?」」
◇◇◇
「さ、サハギンさん?」
「ギョッ。」
「わふ?」
「ギョッ、ギョッ!」
「わ、わっ!?」
サハギンさんは僕達を飛び越えて、シャーユの前に出た。手に持った槍の先を堂々と向けているんだ。
「何だお前は?魔物如きが俺に勝つつもりか?」
「ギョッ!」
槍を構えた……戦う気なんだ!
「ならば始末してやろう!俺の為にな!」
「ギョッ!」
「あ、ありがとうございます!」
「わん!」
僕は急いで傷口に手を当てる。魔力を送って傷を塞ぐんだ。早く動かないと……!
その間に、サハギンさんはシャーユの剣を避けて一回転、地面に着くと槍でシャーユの足を払った。
「おおっ!?」
「ギョギョッ!」
「さ、させるかお前が犠牲になれ!」
倒れたシャーユに槍を一突き……な、何で!?また参加者さんを盾に!?
「ギャァァァ!?な、何をしやがる!」
「うるさい!俺は勇者だぞ!俺のやる事は正しいんだ!」
「ぐ、ぐああ!」
「ギョッ!?ギョッ!」
慌てて槍を抜いて、そっと寝かせるサハギンさん。シャーユを見る目はさっきよりもずっと鋭い!
「ギョッ!ギョッ!」
「何を怒っているかは知らないが、俺は勇者だ!俺の為なら他の奴らなんてどうでもいい!」
「ギョッ!」
シャーユの剣を左右に動いて避けるサハギンさん。サハギンは水辺で暮らす魔物、本来は川や海の方が強い魔物なんだ。それでもあの動きが出来るなんて……相当鍛え上げてるんだ!
「わ、わふー?」
「うん。傷は良くなってきたよ。もうすぐ復帰出来るからね!」
シャーユ……どうして、どうしてあんな事を?勇者なら、他の戦い方もあるはずなのに……
「ギョッ!」
「あ、サハギンさん!」
と、捉えた!槍の間にシャーユの剣が挟まったんだ!
「ギョギョッ!」
「ぐっ!?」
槍で剣を落とし、水かきをシャーユに向ける。濡れてる……そうかここで!
「ギョギョギョッ!!」
「ご、ごぶぅぅぅ!?」
やっぱり水鉄砲だ!シャーユの顔面に直撃して、空中に吹き飛ばした!
「ごふっ!?魔物の分際でやってくれたな!タダで済むと思うな……?」
「ギョッ!」
「ひ、ヒッ!?」
シャーユの顔ギリギリを槍が掠める。もう明らかだ、サハギンさんの勝ちだ!
「ギョ!ギョッギョッギョッ!」
「ふ、ふざけるな!俺は負けていないぞ!そ、そうだこれを使えば!」
「あ?お、お前また俺を!?」
「……ギョッ!?」
「ひ、酷すぎる!」
……も、もう僕達にはシャーユが勇者なんて思えなかった。倒れた仲間を盾にして、その首に剣を突きつけてるんだ……。
「武器を捨てろ!一歩でも動いたらコイツが死ぬぞ!」
「ギョッ!?ギョッギョッ!」
「ほら早く!どうなってもいいのか!?」
「ギョッ……」
サハギンさんは槍を地面に置く。それを見てすぐ、シャーユはサハギンさんを殴りつけた。
「ギョッ!?」
「この、このっ!魔物が俺に逆らうなんて百年早いんだよ!俺は勇者だぞ!」
地面に倒れたサハギンさんに、何度も攻撃を加えるシャーユ……
「俺にはティムの手柄を手に入れる権利があるんだ!さっさとくたばれ!」
「…………」
僕の傷はまだ塞がりきってない。でも……
「ふざけるな……」
「わふ?」
「ふざけるなぁぁぁぁ!!」
「あ?なんゴボッ!?」
僕はシャーユを全力で蹴り飛ばした。傷が痛むけど、そんな事を気にしてる時じゃない!
「いい加減にしろ!僕はお前を勇者なんて認めないぞ!お前みたいな奴は、僕がやっつけてやる!」
「わ、笑わせるな!たかがテイマー、それも怪我人に何が出来る!?俺の名誉の為にさっさと死ね!」
「レルお願い!力を、力を貸して!」
「わふ……わん!わん!」
シャーユ、僕達の力で絶対に倒してやるぞ!勇者だからって何でも思い通りになるなんて大間違いだ!
「絶対に……絶対に倒すんだ!」
「わん!わん!」
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