本戦突破！少女テイマー、ライバル達を見る
「走れ！ここを右だ！」
「ええ！レイン追いついてる？」
「ああ。だが疲れたな、さっき魔力を使いすぎたよ。」
「先程の貴様の攻撃、見事だったぞ。相当な魔力を弾丸に込めたのだからな。疲れたのなら、ここからは我が運んでやる！」
「頼む。俺は遠くを確認するからな！」
ギルはレインを背負って、レインはメガネを掛けて遠くを観察。何かあればすぐ分かるなんて便利よね。魔力無しでも使えるなら、私も欲しいかも。
「道に入った、扉が壁に何個もあるな！」
「四番目だったか。他には手を出すな、仕掛けがあれば対応出来ん！」
「ならさっさと開けるわよ！せーのっ！」
シュリに指定された扉を開くと、その先に光が見えた！ここが外に繋がっているに違いない！
「ここを抜ければ合格だ、まずは我だけが行こう。もし戻れぬのならレイを探すのは困難になるからな。」
「お願いギル！私達はここで様子見するから！」
緑の玉を持ったギルが外に向かって歩く、私達はちょっと待機よ。
「レイ、必ず見つけるからな。もう少し待っていてくれ！」
「二人とも、こちらに来い！どうやら我らの予想は杞憂だったようだ！」
「えっ？本当？」
「おにいちゃん！そこにいるの！？」
「レイ！？大丈夫か！？」
ギルとレイの声……ちょっと怪しいわよ！
「待ちなさい、罠かもしれないわ！」
「そ、そうだな。一度探ってみよう。」
二人で向こうを確認。怪しい気配は特に無しか。
「平気そうね。でも姿を見るまで油断出来ないわ。慎重に行きましょうか。」
「警戒は緩めずにな。」
鎌と銃を構えながら、私達は光に向かう。だんだんと明かりが眩しくなってきて……
「お二人とも、おめでとうございます！本戦突破ですよ！」
外に出て周りを見ると、ここは最初に入った場所？そして目の前には魔王のメイド、ルー！
「アンタはルー！？それじゃあ！」
「はい。ここがゴールですよ！お疲れ様でした！」
「ちょっと待って！レイの声が聞こえたけど、本当に彼女か確認させて！」
「え？レイさん……あの方で合ってますか？」
ルーの見ている方向を向くと、そこに……居た！間違いなくレイよ！
「おにいちゃん、ここだよ！」
「無事か！本当に良かった！一体どこに居たんだ？」
「あのね、みんなと入ったおへやのかけじく。あそこがゴールにつながってたの。」
「そうなのか？」
「うん。おにいちゃんたちが行っちゃったあと、そこからゴールできたよ。」
「そうか、良かった……！」
「では、緑の玉はお持ちですか？最後にそれを出して下さいね。」
「ええ。これでいいのよね。」
建物から回収した玉をルーに手渡す。皆も渡し終わったのを確認して、彼女はポンと手を叩いた。
「確認出来ました！それでは……皆さん本戦合格です！おめでとうございます！」
「やった……俺達の勝ちだ！レイ、やったぞ！」
「うん！おめでとう、おにいちゃん！」
「終わったな。思っていたより楽しめたぞ。」
「そうね。手強い相手も居たけど、何とかなった事だし……そうだ！ルー、本戦にシュリが居たのよ。彼女はまだ中？」
地竜の国の魔法使い、シュリ。彼女も本戦を手伝っていたのよね。あの時全力の鎌を止められた……異常な魔力の量、まるで女王様みたいだったわ。
「はい！彼女には戦闘とリタイアした方の脱出、ゴールまでの案内を担当してもらっています。ちなみに私は戦闘のサポートも行っていました！」
「アンタのサポート……もしかして幻覚？」
「はい。」
「……レイの事も？」
「はい。あんな感じの幻覚を参加者さんに見せて、対応力を観察させて頂きました！」
だからね……レイの顔が無かったのも、シュリが私の鎌を止めた様に見えたのも！シュリから異常な魔力を感じたのも、ルーが手伝っていたなら納得がいったわ。
「びっくりしたわよ。顔が無いのもそうだけど、まさか鎌を片手で止められるとは思えなかったし。じゃあ私は外に出るわ、アンタもまだ忙しいでしょう？」
「そうですね。まだ本戦は続いてますから。私はシュリさんと一緒にもう少し頑張ります！皆さんは自由行動で大丈夫ですよ、それでは！」
ルーは駆け足で建物の側に戻って目を閉じる。あそこで中を探ってる訳ね。まあ、とにかく……
「ふーっ。これで終わりよー！」
「サリア、疲れただろう。腹も減ったから、観客席で食事にするか。お前達もどうだ？」
「俺達も？良いのか？」
「今回の礼だ。気にせず受け取って欲しいものだな。」
「それなら一緒に食べよう！レイ、お前はどうする？」
「うん、いっしょにたべよう！」
「じゃあ早速用意しないと、何か買ってくるわ！」
外を見渡すと、周りの観客席は多くの人達が熱狂していたわ……配信で中の様子は確認出来たのね！
「来た！サリアお疲れ様ー！」
「わん！わん！」
「ティム、レル！あそこに居たのね！」
別の観客席から聞こえた声、そこを見るとティム達が手を振ってるわ！
「おーいサリアー！本戦突破おめでとう！次は俺達が行く番だから、応援してくれよなー！」
「かめー！」
「まだ出番って決まってないよ！よくがんばったね、ミーもほめてあげよう！」
「よっ、お疲れさん！まあ当然か、強いのは配信で分かってるからな！」
「皆……。」
ラルフにタルト、ミー、ロットン。ティムの友達も私達を応援してくれたんだ……
「ティム、サリアどこー？……あ、居た！やっぱりサリアは強いね、でも僕も負けないよ！ね、カズハ！」
「うけー。」
「シロメ、アオハは私に言ってるんだよ。お疲れサリア。疲れただろう、少し休んだ方がいいかな。」
「三人も……」
アオハ達とカズハもこっちに手を振って……
「ライバル達の声援は気持ちが良い。そうだろうサリア？」
「ええ。何だか、嬉しいなぁ……」
「次のステージが楽しみだ。お前の活躍を見て、実家の奴らはどう思うだろうな。悔しがる所を見てみたい物だ。」
ギルの言葉で一瞬、私が実家を追い出された事を思い出して体が震える。でも、皆が応援してくれた事が分かって……凄く嬉しかった。
「私達、強くなったのよね。」
「無論だ。」
「そっか……。」
「奴らと勝負するのが楽しみだ。その為にも、まずは生き残って貰わねばな。」
そうよね。皆が応援してくれたみたいに、私も……！
「すー。はー。……よし！ティムー！ラルフ達もー！」
「サリアー！呼んだー？」
「次は皆の番っすよ！あーしがちゃーんと応援してあげますから、早く上に登って来るっすよー！」
「うん！任せてよー！」
「わん！わん！」
「やってやろうぜ先生！俺達だって負けられないぞ！」
「かめー！」
「もう、四人ともあわてすぎだよー！ミーを見習って落ち着いてね！」
「ったく……皆程々にしろよ！もうすぐ出番なんだからな！」
「うけー！」
「シロメ羽ばたかないで、落ちちゃうよー！？」
「さて、私も準備をしておくかな。」
「これで良し。ちゃんと応援するわ！」
一足先に待ってるわ、皆も追いついてよ！
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