いざ探険、謎の幽霊屋敷!
「早速突入っす!失礼するっすよ!」
「俺に先に行かせてくれ。何があるか分からないんだ、ここは俺がやる!」
レインが前に出て、あーしはその後ろから警戒を始めるっす。足を動かして、今はとにかく先に進むっすよ。
「外から見た通り、古い建物だな。どこも散らかっている。」
「バケツにボロボロの木材、傾いた石像……怖い雰囲気っす。」
足下も湿っていて気持ち悪いっす。とりあえず索敵から始めますかね。地面に手を置いて、魔力を流してっと……
「少し暗いな。まあいい、始めるか。」
ん、レイン何持ってるっすか?あれは……メガネ?四角い板が一枚、変わった形っす。それを顔の上半分に着けたっすね。
「設定はこれで良いか。よし!」
ガチャガチャとメガネをいじっていたら、そのメガネから音が鳴り始めたっす。
「レイ、お前も出来たか?」
「うん。まわりはばっちり。」
「異常は無さそうだな……いや、あちこちに物影があるな。皆気をつけろよ!」
「あ、アンタ達どうやって周りを調べてるんですか?」
「これだよ。お前達だって気配や足音を探ったりするだろう?俺達はこの道具で同じ事をやってるのさ。」
「そ、そのメガネで?」
「ああ。」
メガネを指さし説明してくれるレイン。どうやらこの二人……魔力を使わなくても戦えるよう、準備をしてるみたいっすね。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
「な、何ですか一体!?」
う、後ろから悲鳴!?こっちには何にも無いっすよ!?
「戻るっすか!?」
「お前達はそこに居ろ!我が行く!」
ギルが後ろに走る、あーしはこの場で鎌を用意して待機っすよ!
「ぎゃぁぁぁぁ!?」
「なっ!?」
だ、誰か飛んできた!この人も参加者っすよね?
「ァァァァ……」
「いや、嫌だぁぁぁ!!」
「あ、危ない!」
参加者に近寄る手を鎌で払いのける。な、何なんですかもう!?
ガシッ。
「わ、わぁぁぁぁ!?」
「しまった!?」
じ、地面から伸びた腕が参加者を引きずり込んだっす……
「ここは危険だ、離れるぞ!」
「うん!」
「ま、待って下さい!まだギルが後ろに!」
「奴なら平気だろう!前に進むぞ!」
機械を動かしながら進む二人の後を追って、あーしも走るっす。ギル、早く追いつくっすよ!
あの場所を離れて、あーし達は物陰に避難っす。一度呼吸を整えて、体を休めないと。
「ここまで来れば大丈夫だろう。レイ、怪我は無いか?」
「だいじょうぶ。サリアはどう?」
「あーしも平気っす。でも、やっぱり恐ろしい仕掛けがあったっすよ。まさが人が地面に……」
「地面の手は魔物か、あるいは雇われた誰かだろうな。主催者も怖い事を考えたな。」
本当に怖いっすよ!気づいたら手があって、それが地面に引っ張ってくるんですから!
「うぁぁぁぁぁ!」
「嫌ぁぁぁぁぁ!?」
「な、何だこれ、離せ、離せよー!?」
「う、後ろから声が……皆やられてるっすか!?」
「先に入って正解だった。仕掛けが動く前のタイミングで抜けられたな!」
「……。」
「お前達!無事だったか!」
「ギル!追いついたっすか!?」
後ろからギルの声っす!振り向くとやっぱりギルっす、特にダメージは無さそうっすね!
「面倒な事になったな。後ろにはもう戻れんぞ、数が多すぎる。」
「ならさっさと出口を目指しますよ!」
「待て待て。あの宝石が無いと合格にならないぞ!」
「……。」
ほ、宝石!?そうだ緑色の玉!頭から抜けてたっす。
「もし後ろにあったなら……」
「気にする事は無い、我らが進む先に必ずある。この建物全体を探すのだから、複数手に入る場所がある筈だ。」
「今のうちに探すべきだな。色々部屋があるし、一旦別れるか?」
「…………。」
あーし達が周りを見ると、たくさん扉があるっす。この部屋のどこかに玉が置いてあるに違いない!
「その必要は無い。全員で行けばそれぞれで中を観察できる。目的の玉にも気がつくだろう。」
「分かった。まずはあの扉からだ!」
少し歩いて、一番近い扉を開ける。敵の気配は無い、一歩踏み出してっと。
「掛け軸にお茶碗?壺まで置いてあるっす。」
「…………。」
「鍋がぶら下がっているのか。変わった装飾だな。」
「手分けして探すぞ。怪しい物があれば我に伝えてくれ!」
面白い部屋っすね。壁に引き出しがあったり、地面が草で出来てるっす。いかにも隠し通路とかがありそうな、そんな感じが
「お前達!あったぞ、こちらに来い!」
「見つけたっすかギル!今行くっす!」
あーし達が向かうと、そこには箱を持ったギルの姿が。その箱の中に緑色の玉があったっす!
「やったな!まずは一つだ!」
「後三つ必要だ。他の部屋も回るぞ!」
「ええ!」
「…………。」
「どうしたレイ?何かあったのか?」
レイ?さっきから顔を下に向けて……怖いのかもしれないっす。そりゃ無理もないっすよ、さっきの見たらあーしだって怖いっすから!
「ねえおにいちゃん。わたしきれい?」
「何を言ってるんだレイ。当たり前だろう?」
「ほんとう?わたしきれい?」
「勿論だ。お前達もそう思うだろう?」
「ウム……それは我に言われても困るな。会ったばかりではないか。」
「人によるっすね。少なくともあーしは可愛いと思うっすよ。」
……でも何でそんな事を?今は早く玉を集めないと。
「おにいちゃん……それなら……」
「何だ?」
あ、顔に着けた四角い板のメガネを取ったっす。索敵はレインに任せ……るつもり……?
「こ れ で も ?」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?レイィィィィ!?」
「い、な、何よこれは!?」
れ、レイ!?顔が無い!?何があったのよ!?
「おにいちゃん、わたしきれい?」
「下がれお前達!貴様何者だ!?」
「み、皆逃げるわよ!ここは危険すぎるわ!」
「お、おい!レイはどこだ!?俺の妹はどこにやった!?」
「おにいちゃん?わたしはここにいるよ?」
「と、扉開かないわよ!?閉じ込められたわ!」
「何だと?面倒な事になったようだな……!」
ギルが腕を鎌に変形させて、レイの前に出る。ど、どうすればいいのよ!?
「と、とにかく今はやるしかない!何とか切り抜けるのよ!」
私も鎌を構えて……行くわよ!
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