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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第十一章

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閑話 少年テイマー、過去を想う

遅れてしまって申し訳ありません。次回から本編に戻る予定になります。よろしくお願いします。

「うー。緊張で眠れないー。でもねむいー。」


「おい!さっさと起きろティム!」


「むー?」


 あれ、おかしいなぁ。僕明日の闘技大会に備えて早く寝たのに、誰か話しかけて来てる?


「徹夜で索敵してただけだろうが!お前に休む時間なんて無い、さっさと起きろ!」


「…………これって。」


 そうか。この声を聞いて僕の目はすぐ覚めた。これは……



「僕達が追放される前に受けていたクエスト!?」


 そうだ、勇者パーティーに居た時の夢だ!



「僕達、この後に追放されたんだよね……。













 ◇◇◇


「ど、どうしたのシャーユ?僕達全然眠れなくて……」


「うるさい!さっさと行くぞ、荷物を持て!」


「う、うん。レル、一緒にお願い。」


「わふ……わふ?わん。」


 僕達はパーティーの荷物を持って、ダンジョンを進んで行く。勇者パーティーのメンバーは、魔法使いのマーチ、武闘家のケビン、そして勇者シャーユ。僕達はテイマーとパートナーとして、皆の旅に同行してるんだ。


「ほら行くわよ!早くしなさい!」


「マーチ、ポーションは自分で持った方が良いよ!もしもの時に渡せないかもしれないよ!」


「うるさいわね!黙って荷物を運べばいいのよ!」


「駄目だよ、これだけはマーチが」


「いい加減にしろティム。荷物を持ちたくないからといって、マーチに押しつけるな。」


「ケビンもだよ!拳で戦うのは分かるけど、小さい武器とか持った方が絶対に良いよ!打撃が効かない魔物も居るんだ!」


「全く……そんな心配は無い。」


 マーチもケビンもそのまま進んじゃう。心配じゃ無いのかな……



「ティム、さっさと前に出ろ!お前が索敵するんだよ!」


「シャーユ、なら荷物を少し持って!そうしないと反応出来ないよ!」


「情けない、それくらい一人でやれ!使えない奴だ!」


 シャーユと一緒に、マーチとケビンは僕の後ろをついてくる。僕は周りを確認しながらそっと進んで、敵が居ないかチェックするんだ。




「ここは平気そう。レル、そっちはどう?」


「わん!わん!」


 異常無しだね。ダンジョンって迷いやすいから、来た道はちゃんと覚えておかなきゃ!


「何してるんだ、さっさと進め!」


「一応目印つけておかないと。そうしたら戻りやすいよ!」


「くだらない事をするな!俺達は勇者パーティーなんだぞ!」


「シャーユもしもの事を考えてよ!皆に何かあったら大変なんだよ!」


「この臆病者!アンタそれでも勇者パーティー所属なわけ?」


「マーチ……」


 皆話を聞いてくれない!この方が安全なのに、何で分かってくれないの!?




「いい加減にして!ここは確実に」


「わん!わん!」


「レル?……この感じ!皆構えて!」


「何だと?」


 僕達は三人に注意を促し、道を戻る。広い場所が途中にあった、あそこで迎え撃とう!







「おい逃げるな!何で引き返す!」


「敵だよシャーユ!早くこっちに!」





「グァァァァァァ!!」


「もう来た!レル、力を貸して!」


「わん!わん!」


 僕はレルの力を借りて、ブレードを手に持つ。……待って、何で皆構えてないの!?


「マーチ早く!もうすぐ来るよ!」


「分かってるわ、今魔法を準備してるのよ!何でアンタがポーション持ってるのよ!渡しなさい!」


「はい!だから言ったでしょ!これはマーチが持った方がいいって!」


「さて……やってやろう!俺達勇者パーティーの力を見せてやるぜ!」



 一応準備を整えて道を見ると、そこには大きな魔物が一体!







「おいティム、アイツは?」


「あれは……ハイオーガだ!強靭な体を持つ魔物オーガ、その上位種なんだよ。」


 ハイオーガはBランクの魔物。今回の討伐対象だ。勇者パーティーの僕達なら勝てない相手じゃ無い、でも……




「あ?オーガなんてオークの仲間みたいなもんだろ?さっさと仕留めてやるぜ!」


 オークとオーガ……確かに名前と見た目は少し似てる。でもオークは力に優れてて、オーガの方はスピードが速いんだ。体も引き締まっていて、かなりの強敵だぞ!


「レル、僕も行ってくる!マーチは風の魔法を!」


「はあ!?勝手に指示をしないでよ!メガフレイム!」


「グァァァァァ!!」


 マーチは火球を飛ばしてオーガを攻撃、でもオーガは片腕を振ってかき消した!


「だりゃぁぁぁ!」


「グァァ!」


 シャーユの振った剣も腕で抑えて、そのまま振り回す。あのままだとシャーユが飛ばされちゃう!



「そこだっ!レルもお願い!」


「グァァァァァ!?」


「わん!……ガゥゥゥ!」


 ガラ空きの胴体にブレードを叩き込んで、ふらついた所にレルが突っ込む!倒れたハイオーガからシャーユを引っ張って、一度距離を取るんだ。


「ティム!お前俺から手柄を奪うつもりか!?」


「違うよ!まずは話を聞いて。奴はこっちの動きにちゃんと反応してくるんだ。まずは誰かが気を引いて、攻撃する瞬間に風の魔法で体勢を崩す。後は総攻撃で安全に……」


「あーうるさい!お前の言う事なんて聞くか!奴は俺がやる、邪魔はするなよ!」



 シャーユは剣を持ってハイオーガの下に走る。奴は起き上がってこっちを観察……カウンターを狙ってるのかも!


「危ない、短剣を……」


「やめろ!」


「け、ケビン!」


 腕を押さえたのはケビン。でもどうして?


「お前が動いても足手まといになるだけだ。シャーユの手柄を奪うな。」


「そんなのどうでもいいよ!あのままじゃ」






「ぶべらっ!?」


「グァァァァァ!!!」


「しゃ、シャーユ!?」


 斬りつけた剣を避けて、お腹に拳が入った。シャーユは壁まで吹き飛ばされてぐったり、動けないんだ!



「ど、どうするのよケビン!」


「お、俺に聞くな。ティム、お前が責任を取れ!なぜあそこで短剣を投げなかった!」


「ケビンが止めたからでしょ!このままじゃまずい!僕が足止めするからマーチは風の魔法を!」


「わ、分かったわ!」


「ケビンは隙を見て攻撃して!」


「く、くっ……。」


 僕はハイオーガに向かって走り出す。勢いをつければ少しは押し込めるはずだ!


「これでどうだ!」


「グァァァァァ!!」


 振り降ろしたブレードを手で押さえるハイオーガ。全力を込めてるけど、長くは持たない!


「マーチ、今だよ!」


「え、ええ!メガウインド!」


「グァァァァァ!?」


 風の魔力がハイオーガにぶつかり、体を揺らす。そこにケビンが勢いよく走り込んで……




「ブロンズフィスト!」


「グァァ!?」


 お腹に一撃!奴は吹き飛び壁にめり込んだ!


「後は総攻撃だ!レル、皆と一緒に」


「あれは俺の手柄だー!勝手に指示を出すなぁー!」


「わ、わっ!?」


 しゃ、シャーユ!?


「これは俺の手柄だ、これが俺の力だぁぁぁ!」


「ぐ、グァァァァァ!!?」

















 それからシャーユがハイオーガを倒して、今はお宝を探しているんだ。ダンジョンにはたまに宝箱があって、そこにはお宝がある…………かもしれないんだ。



「わん!わん!」


「本当!?ありがとうレル!みんなー、宝箱が見つかったよー!」


「何!?どこだ!」


「ここだよ!皆で開けようよー!」


「全く堂々としちゃって……こんな事ぐらいでしか役に立たないんだから、早く案内しなさい!」


「そうだな。威張るのはもっと強くなってからにして欲しいものだ。」









 宝箱を見つけて、皆も合流した。いよいよ開けるんだ、緊張するなー!


「さあ開けようぜ!俺達の報酬だ!」


 シャーユが宝箱に手を掛けて、上に押し上げる。すると中からキラキラした宝石が……!



「やったわ!これでいい杖を買えそう!」


「俺も武器を更新出来そうだ。」


「僕達は……武器よりも消耗品を買うのに使いたいかな。レル、後でブレードをチェックしようね!」


「わん!わん!」


「心配するな、お前の取り分は無い!これは俺達のもんだ!」


 シャーユは僕達にそう言ってから宝箱を抱えて、来た道を戻り始めた。


「ほらさっさと索敵しろ!ここまで何にも役に立ってないんだからな!」


「何それ!?僕達ちゃんと役に立ってるよ!周りの安全も敵への戦法も、僕達がちゃんと意見して、工夫だってしてるよ!」


「わん!わん!」


「本で得た知識が実戦で使えるとは限らないわ、そんな事も分からないの?」


「マーチだって本で魔法の勉強してるよ!何でそんな事言うの!?」


「う、うるさいわよ!とにかく行きなさい!」


 僕達は皆に急かされて先頭に立ち、周りを確かめながら戻って…………




「グァァァァァ!!」


「え、えっ!?ちゃんと倒したのに!?」


「グァァァァァ!!!」


「う、うわぁぁぁ!?」












 ◇◇◇


「うわぁぁぁ!?……あれ?」


 僕の周りには整頓された荷物と、窓から見えるお月様の光。そうだ、僕達は闘技大会に出てるんだ!


「変な夢見ちゃった。あの後に僕達は追放されちゃったんだよね。」


 勇者パーティーでクエストをこなしていけば、テイマーの凄さを伝えられるし、皆の役にも立てるって思ってたんだ。でも追放されちゃって……もう結構経つなぁ。今の僕には……



「わふ……。」


「び……。」


「すぅ……すぅ……。」


 今の僕には友達にライバル……そう、皆が居るんだ!


「自信を持って明日の勝負に行くんだ。僕達なら出来る、僕達なら出来る!」


 僕は小さく呟いてから横になる。明日もいい天気ならいいなぁ。


「じゃあ、おやすみなさい。」


 寝ているレル達にそっと声をかけて、僕は目を閉じた。明日も頑張るぞー!




今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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