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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第十一章

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少女テイマー、ミミックを正面突破する!

今回はサリアの視点が中心になります。よろしくお願いします。

「時間はまだあるが……突破する者が出始めたな。サリア、我らもそろそろ行くとしようか。」


「そうですね。あーし達も決めに行くっすよ。余裕を持たないと、最後の方はぎゅうぎゅう詰めになるっすから。」


 あーしは冒険者の中からミミックを観察中っす。ティム達に続いてラルフ達もクリア……まあ当然っすね。ティム達は心配してないし、ラルフ達も強くなってるっすから。


「狙うは正面突破だ。サリア、行くぞ!」


「あーい。」


 やる気のギルを見て……あーしは鎌を片付けて両手を開けるっす。








「サリア?何を考えているのだ?」


「何って、あーし達がこれを入れる方法っすよ。」


 あーしは手に紙を持つ。試験開始の際にあの魔王、ライアから貰った紙っす。


「なら何故武器を持たない?まさか素手で勝負するつもりか?」


「ギル、あーしはテイマーっすよ?……こう言えば分かるっすよね?」


「…………なるほどな。[テイマーとして]正面突破を狙うと言う訳だな。」



 そう!これから戦いが続くのだから、手の内は見せたくない。ならこれが一番確実っす!


「では行きますか!ギル、サポートは任せるっす!」


「出番は無いと思うがな。よかろう、付き合ってやるぞ!」


 丁度良いのは……ティムの狙ったミミックは遠くに、ラルフ達が捕まえたミミックは壁際に逃げちゃったっす。時間が経ったからか、ミミックの動きがバラけて来たっすね。




「なら、あの子を狙うっすよ!」


「了解した。逃げられぬよう高速移動だ!」


 あーし達は魔力を足に溜めて、一気に駆け出す!冒険者達の間を抜けて、狙うミミックの側に直行っす!






「ミミ。」


「追いついた!どうもっす!」


「ミミ!」


 あーし達が接触したのは、白っぽい箱のミミック。あの中で一番落ち着いたミミックな気がしたっすから、こっちの作戦も成功しやすいと思うっすよ!


「あの!ちょっとだけお話しても良いですか?」


「ミミ?」


「我らはこの紙を入れたいだけなのだ。貴様達に危害を加えるつもりは無い。話を聞いてくれないか?」


 紙を見せてから二人で両手を上に上げる。こっちから攻撃する気は無いっす。このまま進めば……!






「ミミ?ミミ?」


「そうなんです!魔王の説明は聞いていたと思うっす。これをアンタ達に預かって欲しいんですよ。」


「ミミー。」


「勿論タダでとは言わないっす!何か要望があれば言って欲しいっす、出来る範囲でご用意するっすよ!」


 そう、テイマーとして勝負するならこれが一番!他の奴らを出し抜いて、体力の消耗も無い!今まで馬鹿にしてきた奴らが悔しがる様を見るのが


「お前今、よこしまな事を考えただろう?」


「あー。ここはクリアするのが最優先っすよ。でも流石ギルっす、あーしの事をよく分かってるっすね。」


「パートナーだからな。では話を戻そう。何か欲しい物は無いか?」


「ミミー。」



 ふむふむ。ほうほう。







「ミミー。ミミー。」


「それで良いのか?我は悪くないと思うぞ。サリアはどうだ?」



 ……それくらいなら簡単っす!



「ええ!分かったっす、用意するから待ってて欲しいっす!」


「ミミー!」


 それからあーしは魔王の方へ向き、大きく息を吸う。一応聞いておかないと!






「すみませーん!あーし達この場所を少しだけ抜けたいっすー!いいですかー!?」





「ん?それくらい問題無いのじゃ!でも時間厳守なのじゃ!抜けてる間も時間は経過するからな!」


 ライアの声が会場に響く。これで許可は取れたっす!



「行くっすよギル!お金はこっちで持つっす!」


「ウム!この勝負、我らの勝ちだ!」


 あーし達はジャンプして会場の外へ。あそこに行けばきっとあるっす!











「すみません!これくださいっす!」


「かしこまりました。」


「五百ゴールドっすね。お願いします!」


「我にはこれを一つ頼む。」


「分かりました。少しお待ち下さい。」






















「急げサリア、時間が無いぞ!」


「まだ結構余裕あるっすよ?」


「違う!こちらの方だ!」


「あー。このスピードなら問題無いっす。」


「念には念をだ。早いに越した事はない!」


「真面目っすねー。」


 あーし達はまた壁を乗り越えて会場に戻る。そこで待っていたミミックは、冒険者達を避けながら走り回っていた。


「他の奴らも慌て始めたな。我らは一足早く抜けさせてもらおうか。」


「ええ!お待たせしたっすよー!」


「ミミ!」


「今だ!食らえっ!」



 やっぱり。ミミックの動きが止まると、一人の冒険者が攻撃を仕掛ける。あーしはミミックを抱えてそれを回避した。




「おい!邪魔をするな、せっかくのチャンスなんだぞ!」


「気持ちは分かるっすけど、今はあーし達が交渉してるっす。あーし達が終わるまで待ってて欲しいっすよ。」


「駄目だ!ここを逃したら時間が無くなる!」


「それは……ごめんなさい。でもすぐ終わるっす!後で交渉の内容を教えますから、ちょっとだけ時間を下さいっす!」


 あーしは持ってきた物をミミックに向ける。これでクリア出来るなら安い物ですよ!












「チッ、魔物と会話出来るからって調子に乗りやがって。これだからテイマーは。」





「……何か言ったかしら?」


「サリア、今はミミックが最優先だ。」


「図に乗るなよ!ゴミテイマーの癖に俺達よりも上に行こうってのか?お前達は俺達の下に居ればいいんだよ!」


「…………ふう。」


 王国の冒険者よね。やっぱりテイマーへの偏見は中々消えないみたい。でも、ここは我慢、こういう人達を見返す為に私は強くなったのよ。テイマーの凄さを見せる事で、ね。





 ここは無視。この人の言う通り時間は過ぎていくからね。早めに終わらせないと。


「あのティムもそうだ!配信で有名になったからって調子に乗りやがる!奴はゴミスキル持ち、勇者パーティーのお荷物なんだからな!」











 ……今、何て言った!?私だけじゃなくて、ティムの事を言ったのよね!?




 その言葉を聞いてすぐ、私は冒険者の首元を掴んで引き寄せた。こんな事をやってる場合じゃない、頭では分かってる、けど!


「アンタにあの子の何が分かるのよ!ティムは困った人の役に立ちたくてテイマーを極めたのよ!アンタみたいな奴に、あの子の苦労が分かる訳が……!」


「サリア、優先事項を忘れるな!そこの貴様もだ。テイマーを挑発するのはいいが、そのテイマーが遅れれば貴様の時間も無くなるぞ?」


「くっ……チッ!勝手にしろ!」


 冒険者はこちらを睨みつけながら、他の冒険者達の元へ戻って行った…………。








「ごめんなさい、ギル……。」


「サリア。気持ちは分かるがまずはこれだ。……ミミック!お前の欲しい物を持ってきたぞ!」


「ミミ!」


 ギルが出したのは、うずまき状のアイスクリームと、街で売っていたピザ。これを見たミミックは体を震わせる。


「ミミ!ミミ!」


「私のはここに置くから……ここに来た時に食べてから、気に入ったって事ね。試験の終わりまで待てなかったのかも。」


「ミミ!」


「では約束通りに。これをお前に預かってもらおう!」


「そうね。お願いするわ。」


「ミミ。」


 私とギルが紙を渡してすぐ、ミミックは食事を始める。今なら隙だらけ、慎重にやれば紙を入れられる筈よ。



「しかし食事をして大丈夫なのか?紙まで食べるなよ?」


「ミミ!」


 大丈夫みたい。それなら安心ね。後は……










「おお!凄いなアンタ!交渉で決めるなんてな!」


「その発想は無かったわ!大したものじゃないの!」


「……今は食事中っすから、だいぶ紙を入れやすいと思います。驚かさないようにお願いしますよ。」


「ああ、ありがとうな!皆紙を入れるぞー!」


「「「「「「おおおーー!!」」」」」」


「予備のご飯買ってくる!これで試験をクリア出来そうだ!」



 …………今はテイマーの凄さを分かってくれる人もいる。凄さを知ってもらう事が、ティムの目的の一つ。それを実行したティムは凄いなぁ……






「それに比べて私は、あんな挑発に乗っちゃうなんてね……」


「サリア!」


「あっ。」



 私の目の前には、心配そうにこっちを見るティム達が居た。さっきの話を聞いてたのね……











 ◇◇◇


 僕達がミミックの様子を警戒していた時に聞こえた声。それはサリアが怒った声だった。






「アンタにあの子の何が分かるのよ!ティムは困った人の役に立ちたくてテイマーを極めたのよ!アンタみたいな奴に、あの子の苦労が分かる訳が……!」


 それからサリア達が紙を入れて、その場を離れたけど……すごく落ち込んでる。あんな事を言われたら、僕だって落ち込むし、怒るに違いない。


「でも、今の僕達は!」


「わん!」


「あっティム!待ってよー!」


「待てアオハ。行かせてあげよう。ティムなら大丈夫さ。」


「う、うん……。」










 僕達はサリアの前に出て、声を掛けた。


「サリア!」


「わん!わん!」


「あっ……。」


「サリア、僕達の為に怒ってくれてありがとう。でも大丈夫、僕達は強いんだ、凄いんだ!だから気にしないで、だって僕達はテイマーなんだもん!」


「わふー!」


 こ、言葉が思いつかないけど……でも僕達は努力してきたんだ!あんな悪口なんかに負けるもんか!




 それから次に僕達が何を言おうか考えていると、サリアはクスッと笑った。


「……そうよね。ありがとうティム!アンタのおかげで助かったわ!」


「サリア、我らはここで下がるぞ。ティム!感謝するぞ!」


「ギルも頑張ってね!でも僕達も負けないよ!」


「無論だ!待っているぞ!」


 二人は笑いながら会場の端へ向かって行った。二人もこれでクリアだ!







「カズハさん、僕達もご飯を買いましょう!」


「ああ!」


「わん!」


 こ、今度こそカズハさんのクリアを目指すんだ!急げいそげー!

















「……私達は強いんだ、凄いんだ!そうよね、ギル!」


「ああ!自信を持て、お前には我も、街の仲間も、ティム達も居るぞ!」


「ええ!……本当にありがとう、ティム。私、負けないから!」





今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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