大会前日。少年テイマー、友人を探して
「先生、ミー!いよいよ明日だな!」
「はい!僕達は準備ばっちりです!」
「ミーも大丈夫!いつでも行けるよ!」
今日は予備試験の最終日!昨日の観光が終わって、今は道具の最終確認中なんだ。
「短剣、煙玉、爆薬、他にも色々!レル、準備出来たよ!」
「わん!わん!」
レルの足元には、僕達の使うブレードが二本置いてある。調子を確認したら、後でお菓子を買ってこよう!
「なあミー、俺達と一緒に配信したあのレニーって人、どんな人なんだ?」
「ラルフ調べてないの?あの人は槍使いだよ。ランクはBランク、ラルフよりも格上だね。」
「そうなの!?あんなにのんびりしてたから、冒険者なりたてなのかと……。」
「人は見た目で判断したらいけないよ!あの人かなり強いから、負けないように頑張ろう!」
ミーさんはグローブを手に嵌めてギュッと握る。それから拳を突き出して、回し蹴り!体の調子を見てるんだ、僕達と同じだね!
「ミーは今日おひるねするよ!明日に備えて力をためるのだ!」
「俺はタルトと特訓だな。背中に乗ってくれ!」
「かめー!」
タルトを背中に腕立て伏せをするラルフさん。僕達は外に出ようかな、街の様子を見ておきたいし、何より……
「昨日の人達大丈夫かな?」
「わん!わん!」
「うん!だよね!」
まだ来てない皆を探してみよう!絶対に今日来る!早速出発ー!
「ソードは移動手段を探すって言ってたからね。後はカズハさん、アオハ君、それに……」
「わん!わん!」
「そうだね、一度船着き場に行ってみよう!」
僕達が最初に着いた船着き場!あそこなら船も来るし、空を飛んで来てもすぐ分かる。僕達もそれで来て、冒険者さんが集まって来たんだ。
「誰か来れば周りが賑やかになるよね。ここで待ってみよう!」
「わふー。」
アイスを買って椅子に座る。食べながら遠くに目を凝らすと……
「見えないね、レル。」
「わん!」
ここから入ると思うんだけど……見当たらないなぁ。
スッ。
「まだ今日は始まったばっかりだし、のんびり待とう!」
ズズッ。
「レル?何か飲んでる?」
「わん?」
……レルを見たけど、アイスを食べてるだけだよね、何か引きずる音が……。
「とおっ!」
「わ、わっ!?」
目の前が真っ暗!?な、何とかしないと!
「レル、ブレードを!」
「わふー!わん!わん!」
「レル!?どうしたの?」
「フッフッフ、さて問題!僕は一体だーれだ?」
「あ、この声!」
「早く答えないと、手でほっぺをぷにぷにしちゃうぞー!」
この声、間違い無い!あの人だ!
「分かった!君はアオハ君だ!」
「正解!では離してあげよう!」
目の前が明るくなると、僕は後ろを振り返る。そこに居たのは、アオハ君……
「う、うけー。」
アオハ君と、シロメ……?何か痩せてない?
「久しぶりだねティム!僕達もここに来たよ!」
「う、うん。アオハ君達が来たなら、カズハさんも居るよね?」
「そう、僕達は三人で来たんだよ!場所は分かったけど船の席は埋まっててね。自分達だけでここまで来たんだ。」
二人を見る限り、軽装だよね……どうやって?
「アオハ君、どんな方法で」
「やあ!やっぱり君達も来ていたんだね!」
「カズハさん!お久しぶりです!」
やった、カズハさんとも会えたよ!後はソード達に会えれば安心だ!
んー……でも誰か忘れてるような……。
「ティム、レル、私達も参加するんだ。お互いに頑張ろう!」
「はい!」
「わん!わん!」
「でもカズハさん、どうやってここまで来たんですか?船には乗れなかったって聞いたので。」
「どうやって?決まっているだろう、空を飛んで来たんだよ。」
「空を?魔物の力を借りたんですか?」
「流石だねティム。後でちゃんと食事とマッサージをする予定なんだ、随分無理をさせたからね。そうだろう、シロメ!」
「うけー!?」
シロメびっくりしてる。あ、アオハ君?何?
(シロメ細くなったでしょ?僕とカズハがシロメにぶら下がって来たんだよ。だから痩せてるんだ。)
(えっ!?結構距離あったよね?休める場所は!?)
(うーん。僕の荷物はだいたいジャーキーだったんだよね……カズハが氷の矢を使って海に足場作って、そこでシロメにジャーキーを食べさせて、飛んでを繰り返して……。)
(ええ……)
(僕もシロメも納得してたんだけど、ここまで疲れるなんて思わなかったよ。シロメびっくりしちゃうから、この話題はここまで、お願い!)
(わ、分かったよ!)
事情が重い……ここは話を切り替えなきゃ!
「ティム、ここまでどうやって来たか教えてあげよう!私達はね」
「カズハさん!僕たくさん特訓したんです!勝負になったら負けませんよ!サリアもラルフさんも、皆手強いですよ!」
「それは楽しみだ。私も鍛えたからな、この勝負は私達が勝つ!そうだろう、アオハ、シロメ!」
「うけー!?うけー!うけー!」
二人を見てにっこり笑うカズハさん。かっこいいけど、シロメは疲れた顔してるよ……
「そ、そうだね。ごめんねティム、僕達今から泊まる所を探すから、今日はここまでで!明日の大会、楽しみにしてるよ!」
「う、うん!負けないよ!僕達が優勝するんだ!」
「じゃあ行こうカズハ!ティム、またねー!」
「うけー。」
「お、おい!まだ私には話したい事が」
アオハ君がカズハさんを引っ張って街の中に。レルはシロメをじっと見てた……。
「わふ?」
「シロメは今日はごちそうだね。二人運ぶのは大変だったよね……。」
シロメはコットンバード、ふわふわで大きい方が強い魔物だからね。明日また太ってるといいなぁ。
「ソード、今は来なかったね。」
「わん!」
「うん、絶対にソードはここに来るよね!いや、もう来てるかも!明日が楽しみだね!」
「わん!わん!」
「今日はもう帰ろう!後でお菓子買って、武器の確認をしたらストレッチだ!」
「わふー!」
勝負はもうすぐだ!この闘技大会、必ず優勝だ!
「勝つよレル!おー!」
「わふー!」
でも、やっぱり誰か忘れてるような……?明日になれば分かるよね、きっと。
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