テイマー一行、移動手段を考える
「今日もお疲れ様ー!かんぱーい!」
「「乾杯!」」
「わん!わん!」
「かめー!」
村を出発してから歩き続け、一日、二日……僕達は今、小さい街の宿屋に居るんだ。
「ミーさん、この調子だと明日には着きそうですね。」
「うん!ミーの予想なら、ちゃんと目的地に着けると思うよ!」
「お、俺もう限界……タルトはどうだ?」
「かめー?」
「そうだ、俺が背負ってるんだった。先生、明日ちょっとだけレルに乗せてくれないか?」
そう。一日目はずっと歩き続けて、山で野宿したんだ!急ぎたいから休みも程々にして、二日目の早朝からまた歩いた。僕達もヘトヘトだけど、予定よりもかなり早いペースで進んでる!でも、ラルフさんは……
「はい!レル、いいかな?」
「わふー!」
「ありがとなレル!ごめん先生、俺が足手まといになってるよな……。」
「そんな事ないよ!ミー達かなり無理して進んでたからね。何ならミーが持って行ってあげるよ?」
「……ちゃんと持ってくれる?地面に引きずらない?」
「やっぱり自分で歩くのがいちばんだよ!」
「ミー!?」
こんな話をしながら、僕達はのんびりと過ごす。予定よりも早いし、気持ちにも余裕がある。これなら問題無く進めるぞ!
「明日も早く出るんだよな。まずはあそこに行くんだろ?」
「はい。その後は」
「もー!続きは明日にしようよー!ミーはごはんを食べるんだから!」
「だな!先生、早く食べようぜ!」
「ですね!頂きます!」
「わん!わん!」
「かめー!」
皆でご飯を食べてから、明日の準備をして早く寝よう!
「レル、今日もお疲れ様!」
「わん!わん!」
「皆起きろー!そろそろ時間だぞー!」
「うー、まだねむいよー。」
「もう少し寝かせてくださいー。」
「駄目!ほら早く起きてくれ!タルトとレルはもう起きてるんだからな!」
「かめー!」
「わふー!」
次の日になってる!?昨日ベッドでうとうとしてたら、あっという間に朝になっちゃった!
「ら、ラルフさんありがとうございます!寝過ごす所でした!」
「だねー。ラルフありがとうー。」
「二人とも準備は終わってるからな、早速出ようぜ!もうひと頑張りだ!」
「「おー!」」
それから宿屋さんにお代を払って、すぐに出発!この調子で進もう!
「あー、レル気持ちいいー。とってももふもふー。」
「わん!」
「かー!かー!」
「タルト、ちょっと落ち着いて!僕の背中から落ちちゃうよー!?」
「四人とも元気だね。それならミーもスピード上げちゃうよー!」
「あ、待てミー!」
「ミーさん、加速すると疲れますよー!」
それからはひたすら道を、山を走る。
宿屋を出て、どれだけ走ったのかな……僕達の目の前に、ようやく目的の場所が見えてきた!
「つ、着いた……俺達、やったんだー!」
「お疲れ様でした!やっと到着ですよ!」
「かめー!」
「わん!わふー!」
僕達が着いた場所、そこは……
「みんなー!あったよ、船着き場!」
「よし!早速手続きしようぜ!」
「はい!行きましょう!」
そう!この街には大きな船着き場がある。ここから出る船に乗って、闘技大会の会場に向かう事になるんだ。僕達は急いで、船着き場の建物に向かう。
「めちゃくちゃ人が多くないか?ここってそこまで大きい街じゃ無いだろ?」
「他の人達もここを目指してたんです、僕達も急ぎましょう!」
ラルフさんの言う通り、周りは冒険者さんがいっぱいだ。皆目的地を目指してるに違いない!
「すみません。誰か居ませんかー?」
「はいはい。ご用件は何かな?」
出てきたのは男の人、きっとここの管理人さんだ!
「あの、僕達この場所に行きたいんですけど、ここに向かう船ってありますか?」
魔導パソコンを使って、目的地を指しながら説明する。僕達にとってはここが一番近い場所だ。今日は三日目、まだ余裕はあると思うけど……
「ああ、ここだね。ここ行きの船は一気に増えたんだよ。何でも大会があるとか無いとか、君達も参加するのかい?」
「はい!乗れそうですか?」
「ちょっと待ってね。確認するから。」
管理人さんは帳簿を確認してくれている。船が増えているのは、きっとライアや王様達が準備したんだ。それならたくさん人が乗れる!
「確認したよ。ここ行きの船はね……」
「ふ、船は……」
「ごめんね。ちょっと無理そう。五日後なら出せるけど、その大会向けの客席は全部埋まっちゃったんだ。」
「え、ええー!?」
「わふ?」
埋まってる!?嘘、僕達油断しないで進んで来たのに!間に合わなかったの!?
「ごめんよ、そういう訳だから、他を当たってみてね。」
「は、はい……。」
申し訳なさそうな管理人さんに、僕達は何も言えなかった。だってこの人が悪いわけじゃないもんね……。
「ど、どうする?この海を渡らないと、目的地には行けないんだろ?何か方法はあるのか?」
「んー。難しいね。いくらミーでも、目的地までジャンプは出来ないし……。」
「まだ、まだ方法はあるはずです!何とかしましょう!」
大会の日までまだ時間はある。考えないと!
「あっ、いい事思いついた!」
「何だミー?」
「ティム、管理人さんは客席が埋まってるって言ってたんだよね?」
「は、はい。」
「なら倉庫ってどうかな?食べものとか荷物を置いてある倉庫!そこなら大丈夫じゃない?」
「ぜ、絶対駄目です!もし何か無くなったら疑われます!大会どころじゃないです!」
皆万全の用意で来てるんだ、そんな大切な荷物が無くなったら大変な事になる!リスクは避けないと!
「ならどうしよう?このままだと目的地には行けないよ?」
「うーん……」
「なあ、一か八か、あれで行ってみないか?」
ラルフさんが船の近くを指さす。あれ…………えっ!?
「あれ…………アレ!?ラルフ正気なの!?」
「当たり前だろ!どうやっても間に合わないなら、多少の危険は覚悟しないとな!」
「ラルフ……本当にいいの?ミーやティム達は平気でも、ラルフは……」
「へ、平気だろ。何とかなるさ!」
ラルフさんが指さしたのは小さいボート。それが三つ。……距離的に無理だ!他の手を探そう!
「っ!?」
い、今のは!?
「ティム、今の感じは!」
「は、はい!空からです!」
何かが空から近づいてくる!?よりによってこのタイミングで……
「おい、何だあれは!?」
「わ、ワイバーン!?どうしてこんな街に!?」
「せ、先生!今の聞こえたか!?」
「は、はい!レル、力を貸して!」
「わん!」
僕はレルの力を借りて、ブレードを持つ。たくさん人が集まった状況、ここに何でワイバーンが?
「色々あって訳が分かんなくなってきた!俺達はどうすればいい!?」
「ラルフ!船はあとまわし!先にワイバーンをやっつけよう!」
「わ、分かった!タルト、力を貸してくれ!」
「かめー!」
街中が騒がしくなる中、僕達は戦いの用意を済ませる。遠くから迫るワイバーン……近くなってきた!
「レル、タイミングを合わせて!せーのっ!」
「がおー!」
「ぐおー。」
「ぐおおー!」
…………えっ?
今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。




