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配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第十一章

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閑話 エルフ達と狩人、故郷へ帰って……

今回はアオハとシロメ、カズハのお話になります。第四章の閑話の続きです。よろしくお願いします。

「頑張れシロメ!もうちょっとだよ!」


「うけー。」


「アオハ、下が見えてきたぞ。そろそろ到着だ!」


 ティム達と別れてからしばらく経った後。アオハとカズハ、シロメは自分達の故郷に向かっていた。地面の裂け目からそっと下に降り、入り口を探す所である。



「よし着いた!ありがとうシロメ、ジャーキーあげるよ!」


「うけー!うけー!」


「入り口は幾つかあるのは知っているが、本当にここから来たのか?」


「うん!えっと、どの辺りだったかな。ちょっと探してみるね。」


「……私も探すよ。時間がかかると疲れるだろう?」



 二人で手分けして地面を調べる。少しすると、アオハが地面を触り、ポンと手を叩いた。


「あ、ここだよ!二人とも来てー!」


「うけー。」


「見つかったか。……何だか緊張するよ、帰るのは久しぶりだからね。」


「大丈夫大丈夫!きっと皆喜ぶよ!」


 アオハが魔力を込めると地面が割れ、中から階段が現れる。そこを下り、目的の場所へ向かうのだった。















「ここを降りたら……はい、到着!カズハどう?懐かしい?」


「ああ。本当に、久しぶりだな……。」


 地下に広がる建造物、ここが二人の故郷。人間や他の魔物から隠れて暮らすための小さな集落である。



「おーい皆ー!帰ってきたよー!ここだよー!」


「おい!急に声を出すな!まだ心の準備が……!」


「うけー!うけー!」


「シロメ、お前も少し静かにしろ!」





 ドタドタドタドタ……




「おっ来たね!」


「くっ、遅かったか……。」


「うけー?」


 三人が気配を感じその方向を見ると、そこには土煙が上がっていた。


「ギャオー!」


「シャァァァ!シャァァァ!」


「グガァ!グガァ!」


「ぐう、ぐう!」


「ほら皆来たよ!」


「全くお前は……仕方ない、ここが正念場だ!」


 集まった魔物達に向かって、思いっ切り息を吸うカズハ。そして彼らに一言、ある言葉を伝えた。



「皆ただいま!私も帰ってきたよ!」











「リーダーどこかな?皆知ってる?」


「うけー?うけー?」


「ウガァ!」


「ギャオー!」


「あの建物か。食事中なら丁度いい。」


 仲間の魔物から案内を受け、リーダーの居場所に向かう三人。そこには小さな民家が建っていた。



「今はここに居るのか。相変わらずだな。」


「リーダーって庶民的だからね。あんまり威張らないし、意見も聞いてくれるし。」


「まとめ役としては不安だが、皆の支持は抜群だからね。それで、もう開けるのか?」


「ただいまリーダー!帰ってきたよー!」


「うけー。」


「お前は私の意見を聞け!……私も入るしかないか!」







「おや?この声は?」


 皆で中に入ると、リーダーは食事中。口に付いたシチューを拭いている所だった。











「おおアオハ、シロメ!帰って来たんだな!おかえり!」


「ただいまー!」


「うけー!」


「そちらは……カズハ!?お前も帰ってきたのか!?」


「……ただいま。」


「お、おかえりなさい!さ、疲れただろう、こっちに来なさい。今シチューを持ってこよう!」


 リーダーは家の奥に入り、食器を選び始めた。










「それでは頂きます。シロメにはジャーキーを用意したぞ!」


「うけー!」


「いただきまーす!」


「い、頂きます。」


 そして現在、アオハ達はリーダーと食事をしている。三人の顔を見て、リーダーはとても嬉しそうにしている。



「うーん、やっぱり家のご飯はおいしい!」


「そうだろう?ところでアオハ、帰ってきたと言う事は……」


「うん!バッチリ!ちゃんとテイマーの事、見てきたよ!」


「どうだった?テイマーとは、仲良くなれそうか?」


「うん。僕テイマーの二人と知り合いになったんだよ。二人ともすっごくいい人なの!二人ともパートナーの事を、大切な友達と思ってるんだ!」


「配信を見てるから、それは分かってるよ。それで、抑止力にはなりそうかな……?」







(抑止力?)


 突如出た言葉に、カズハの動きが止まった。


「うん!僕とサリア、それとティム達。もう仲良しなんだよ。配信で僕達の協力、映ってたでしょ?あれを見れば、狙ってくる敵も減るんじゃないかな?」


「おお!お前達を行かせた甲斐があった!これでここも安泰だ!」


「待て、お前達どういう意味だ!?」


「ん、どしたのカズハ……ってわっ!?」



 カズハがアオハの胸ぐらを掴み持ち上げる。突然の事で皆動けずにいた。


「ティムは私の友達だ!彼を何かに利用するつもりなのか!」


「ま待ってカズハ、落ち着いてよ!」


「落ち着けるものか!お前が彼らに近づいたのはテイマーだからか!?彼の事を道具か何かだと思っているのか!」


「ち、違うよ!ちょっと降ろして!」


「くっ!」


 乱暴にアオハを降ろすカズハ。ホコリを払いながらアオハが立ち上がる。








「あのね、カズハ。ここって小さい集落でしょ?だから周りに脅威が常にあるんだ。元々の目的はカズハが言った通り。テイマーと仲良くなれば、ここが襲われなくなるかなって思ったんだ。テイマーは魔王と引き分けた。そんな強い人が友達なら……」


「お前がそんな奴だとは思わなかったよ。友達を利用するような奴とはな!」


「は、話は最後まで聞いて!始めはそう思ってた。でも、実際にサリアに会って、パートナーのギルに会って、それからティム達にも会ってね……」


 カズハは黙って話を聞いている。






「お互いの事を、心の底から信頼してるのが分かったの。まだ会ったばかりだから、何となくだけど。それで思ったんだ……僕、打算じゃなくて、本当に彼女達の友達になりたいって。」


「…………。」


「だから、その事をリーダーに言いたくて帰ってきたんだ。……リーダー、僕から提案したのにごめん!でも僕達、ちゃんと皆と友達になりたいんだ!だから……」


「うけー!うけー!」


「お前……。」




 リーダーはスプーンを咥えたまま、二人の話を聞いていた。そして…………







「そうか……分かった!こ、こっちは私達で何とかするから、アオハは自分のやりたいようにやってみなさい!」


「り、リーダー?震えてるよ……。」


「私にとってはここの者は子どものような物だ!こ、子どもを守るのはリーダーの務めだからな、ま任せてくれ!」


「だから震えてるよ……。」


「お前達のような子が、次の世代を担ってくれるんだ。なら、ここは私が守ってみせるぞ!」













「…………。」


「カズハどうした?お前も私が仕切るのは不安か?」


「……配信を見ていたなら分かるだろう?魔王は他の国々との関係を見直すそうだ。魔物の王が関係を見直すんだ、王国はともかく、人間とも仲良くなれるかもしれない。魔物同士なら……もっと早く関係を作れるさ。」


「そ、それでは!」


「私はずっと外で活動していたから……集落の事に私が口を出すのは違うかな。アオハ、急に掴んだりして……ごめんなさい。」


「う、ううん。僕の方こそごめんね、カズハ。友達を利用してるなんて思ったら、普通怒るよね……。」


 アオハとカズハは二人で顔を見て、じっとしている。その二人の口にスプーンが当てられた。


「むう?」


「な、何だ!?」


「仲直りできたかな?ならこっちにおいで!皆も話を聞きたがっているぞ!」


「み、皆?」










 アオハが外を見ると、窓から魔物達が中を覗いていた。



「ギャオー!」


「シャァァァ!!」


「ぐう!ぐう!」


「ぷー。」









「……ぷっ!」

「……フフッ!」


 顔を見合わせていた二人は、同時に笑った。


「うけー!うけー!」


「うん!シロメ、一緒に座ろっか!」


「うけー!」


「なら私も、冷めないうちに頂くとしようか!」


「それがいい!では、二人が外にいる間の事、色々教えてくれ!」


「分かった!色々あったんだよ!まずはサリアと会った時にね……」


「私が先だ!私は旅をしながら冒険者をやっていて、ある日依頼先でティム達に会ったんだよ……」


「うけー!うけ、うけー。」


「うん、うん……!そうかそうか!」


 楽しそうに話す三人を、リーダーと仲間達は笑顔で見守っていた。










「おいしかったー!ねえカズハ、特訓は何時からやる?」


「勿論明日からだ。しばらくは近場の依頼を受けながら地上で特訓をする。お前もやるだろう?」


「うん!僕に追いつけるかな?」


「うけー!うけー!」


「ああ!必ず追い抜いてやるさ!」

今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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