テイマー一行、村へ帰還する!
「きっとここだ!早く来いよ!」
「待つのだ、急に入れば驚いてしまうだろう、タイミングをだな」
「そんなの後だ!入らせてもらうぞ!」
ドレイクとシンマは騎士の詰所に入り、周りを見渡す。目的は勿論テイマーとその一行、直接謝礼を渡し、スカウトをする為に彼らを探している。
「い、居ない!まさか……」
「おお!ジュリアではないか!」
「あっ、やっぱり二人も来たのね。」
「ジュリア、テイマーの子達を見なかったか!?」
興奮した様子でジュリアに尋ねるドレイク。対するジュリアは椅子に座り、落ち着いていた。
「ちょっと遅かったわね。ティム君達はさっき自分の居場所に帰って行ったわよ。」
「何っ!クソ、遅かったか!」
「これは残念だな。せっかくのチャンスだというのに……。」
「心配しなくてもまた会えるわよ。だって彼ら、闘技大会に出るつもりよ?」
「ならそこを狙うしかねぇか……アタシは諦めないぞ、必ず一声掛けてやるさ!」
「私もだ。とにかく一言お礼を言う必要がある。本当に良い冒険者達だったな!」
「そうね!じゃあ、皆で飲み直しましょうか!私疲れてるから、ちょっと落ち着きたいわね。」
「そういやお前、気になってる冒険者が居るって言ってたよな。その人達どうしたんだ?」
「あー。それね。」
ジュリアはすーっと息を吸って、ドレイク達に告げた。
「ええ、しっかりスカウトしたわよ!あの三人の冒険者さん、しばらく私が面倒を見るわ!」
◇◇◇
「ここからちょっと揺れるぞ。皆ちゃんと掴まってくれよ!」
「かめー。かー!かー!」
「分かってるよ!ラルフこそ気をつけてね。」
「こっちは任せてくれ!先生達はどうだ?」
「問題ありません、このままお願いします。」
「兄上に同じくです。続けてください!」
今僕達は、ラルフさんの運転する馬車で村に帰る所。このまま進めば、朝までに到着できるかも!
「風が気持ちいいのう!マイラ、もう少しスピード出ないかな?」
「加速は出来ますが、皆と帰るのです。私達も彼らと同じペースで進みましょう。」
「了解じゃ。ワシはのんびり風に当たってるからの!」
リッチはマイラさんに乗って空を飛んでいる。風を楽しみながら目的地に向かっているんだ。僕も村の皆を考えたら……とっても楽しい気持ちになってきた!早く着かないかな?
「ラルフさん、兄上の住む村はどんな所ですか?」
「ああ。とっても暮らしやすい場所だよ!周りは静かで作物はよく育つ。何よりリースちゃんの飯が旨い!」
「リースさん?その方は?」
「ソード、リースさんは村のリーダーなんだよ!後で会えるから、ちゃんと挨拶しようね!」
「はい!」
ガタンガタンと馬車が揺れる。その度に村に近づいてると思うと、何だか……
「レル、眠いよー。」
「わん!わん!」
「色々あったからねー。ティムは寝てて良いよ!ミーがラルフを見張ってるから!」
「お願いします。おやすみなさいー。」
ちょっと疲れちゃった。おやすみー。
「先生そろそろ着くぞ!起きてくれ!」
「かめー!かー!」
「むー!?」
タルトの手が顔に乗ってる。それをそっと動かして、僕は起きた。
「わん!わん!」
「ティム、もう到着するけど、準備はいい?」
「は、はい!ソードも大丈夫?」
「ええ!問題ありません!」
「見えた!久しぶりに村に来たぞー!」
外を見ると、太陽が昇り始めた頃だ。色々あったなあ。依頼を受けて、ドラゴンを追いかけて、それから魔王や父上に会って、今度は闘技大会が始まるんだよね。
「よーし、頑張るぞー!」
「わん!わん!」
「ティム、元気いっぱいだね!ミーもがんばるぞー!」
「さあ到着だ!馬車止めるぞ!」
少し進んで、村の入り口に到着。皆はまだ寝てるみたい、家には明かりはついてないや。
「どうする、リースちゃんが来るまで待つか?」
「その必要はありませんよ。そろそろ出てくると思います。」
「いやいやマイラ、まだ早いだろ。ここは」
「ほら、出てきましたよ。」
「ふぁー。おはようびー君。今日もよろしくお願いします。」
バシャバシャ。
「顔を洗うと気持ちいいなあ。びー君も……びー君?」
「びー。び?びー!びー!」
「びー君?どうしたの?……あっ!」
「ほら、出てきましたよ。」
「みなさーん!帰ってきたんですね!待ってましたよー!」
「びー!びー!」
マイラさんの予想通りだ!出てきたのはリースさんとびー君!こっちに気づいたんだ!
「おかえりなさい!配信見てましたよ!皆格好よかったです!」
「ただいま戻りました!僕達頑張りましたよ!」
「わん!わん!」
「私も帰りました。リース、そちらはどうでした?何か問題は?」
「特に無しです!皆のおかげです、今呼んできますね!」
リースさんは急いで家を回り、皆を起こしていく。会える、久しぶりに皆に会えるぞ!
「おはようリース姉貴!っておい!ティム兄貴とマイラ姉貴じゃないか!帰って来たんだな。」
「モブロウさん、ただいま帰りました!」
「お疲れさん!こっちも畑は順調に育ってるぜ?俺様のおかげでな!」
「兄貴、朝から大きな声を…………マイラ姉貴!お久しぶりです!」
「モブスケも元気そうですね。村を守ってくれて、ありがとうございます。」
「いやいや、姉貴達に比べたらまだまだですぜ!これからも精進しますからね!」
二人とも元気そう!……前よりも体つきがしっかりしてる。畑仕事が特訓になってるのかも!頼もしいなー!
「びー!びー!」
「ティム様ー!」
「びー君!サキさん!ただいま帰りました!」
「ティム様、おかえりなさい!村はいつも通りです、皆で頑張りました!」
「リースさんに聞きました!サキさんもお疲れ様です!びー君もありがとう!」
「びー!びー!」
「そうだ。紹介したい人が居るのです。リース、少し時間は大丈夫ですか?」
「はい!どんな方ですか?」
「この人達です。さあ、出てきてください。」
馬車から降りたソードと、マイラさんの背中から降りたリッチ。二人がリースさんの前に出た。
「は、はじめまして。俺はソード、兄上の弟なんです。よろしくお願いします。」
「ワシはリッチじゃ。旅をしていてな、皆に誘われてここに来たのじゃ。よろしく!」
「よろしくお願いします!すぐにご飯を用意しますね、色々お話を聞かせて下さい!」
「俺達も手伝うぞリース姉貴!」
「びー!びー!」
「ささ、マイラ姉貴達もどうぞ!こっちに座ってくだせぇ!」
「ティム様、こちらへ!」
村の皆はリースさんのお家に走る。僕達も追いかけるんだ!
「久しぶりのリースちゃんの飯だ!腹いっぱい食うぞ!」
「かめー!」
「ごはん!ミーもたくさん食べるぞー!」
「では行きましょう。二人とも、こちらですよ。」
「待って下さいマイラさん!あ、兄上も早く!」
「どれ、楽しみじゃの!」
皆と歩く僕とレル。何から話そうかなー。
「レル、楽しみだね!」
「わん!わん!」
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