少年テイマー、家族との再会
「ソード！父上！」
「久しぶりだなティム！随分大きくなったな！私は嬉しいぞー！」
「流石兄上です！でも俺も強くなりました、兄上には負けませんよ！」
「うん！分かってるよ、でも僕も負けてない！僕は強いんだ、凄いんだ！」
「いい自信だ、私の自慢の息子達はこんなに大きくなったのだな！」
父上、凄く喜んでくれてる！ソードも！そう、僕たくさん頑張ったんだ！勇者パーティーでも、配信者としても……
「……シャーユ。どうしてあんな事を。あっちこっちで迷惑をかけるなんて……。」
「彼らにとっては王国が一番だからな。何が何でも上に立ちたいのだろう。まあ私も人の事は言えないがな！我が民が最優先だ！」
「そうですよね、父上……。」
「だが進んで迷惑をかけるのは明らかに不味い。カインさんとフェイクさんだったな、街の方達が持って来た証拠をもとに、王にも強く言わねばならないな。」
「お、俺も一緒に行きます！」
「ぼ、僕も行きます！」
ソードと僕は同時に父上に提案した。皆で行けばきっと王様も聞いてくれる！
「いや、二人は準備があるだろう。闘技大会、楽しみだな！私の息子達の勇姿を見れるのだ、こんなに嬉しい事はない！ここは私に任せて、二人は特訓に励んでくれ！」
「「父上……。」」
「ま、そういう事っすよ。ティムも弟君も、一旦落ち着くっす。」
「サリア、でも！」
「ほいっと。」
僕の肩に手をそっと置いて、サリアが話しかけてきた。何だか、ちょっと落ち着くなあ。
「多分二人が行っても奴らは話を聞いてはくれないっす。だって大嫌いなテイマーと、その弟っすからね。でも剣聖としてお父上が話せば、無視は出来ないっすよ！牽制にもなるっす！」
「おお！剣聖が牽制……上手い事を言う！貴方はサリアさんだな！いつもティムがお世話になっております！一度お礼が言いたかったのです！」
「いえ！あーし、あ。私の方こそティム君にはお世話になってます。色々と助けてもらってますし……ティム、本当にありがとうっす！」
「う、うん！僕の方もありがとう、サリア！」
サリアと父上は同時にお辞儀。僕もサリアを頼りにしてるし、大好きだよ！ありがとう、サリア！
「そ、そんな事急に言われたらびっくりするっすよ！？ティムはかわいいっすねーもう！」
「き、聞こえてた！？あわわ……レル、レルどこー！？」
「わん！わん！」
「おおレルさん！いつもティムがお世話になってます！今度料理を作りたいのだが、何か好きな物はありますかな？」
「わふー？」
「ち、父上！？レルー！？」
◇◇◇
「楽しそうだな先生。剣聖様も嬉しそうだぞ！ミー、俺達も行くか？」
「ラルフ、駄目だよ！ここはそっとしておこう！後で感想を聞いてみたらどうかな？」
「そ、そうだな。せっかくの再会、楽しんで欲しいし、ちょっと待とうか。」
「居たー！居たのじゃルー！あそこじゃー！カメラを回すのじゃー！」
「は、はい！ただいまー！」
「あ、あ……ま、魔王ライア！？それと、ルー！？」
「見つけたのじゃ！ラルフさん、ラルフさんじゃー！」
「は、え？どういう事！？」
「儂らがテイマーの事を知ったのは、ラルフさんの配信を見たからなのじゃー！是非一度、その顔を生で見たかったのじゃ！ルー、分かっておるな！？」
「ええ！ラルフさん、サインをお願いします！」
「はあ！？ま、待ってくれ！ミー、俺どうすればいい！？」
「ラルフ頑張ってね！ミーは…………うん！まあここは、ミーも一緒に映ってあげよう！」
「俺がどうすればいいかを聞いたんだよ！な、何とかしてくれー！」
◇◇◇
「ラルフさん……疲れましたね……。」
「だな……俺ももうくたくただよ。でも先生楽しそうだったよ。やっぱり嬉しくて一気に話をしたんだな。」
「は、はい……久しぶりでつい話が弾みました……。」
僕とラルフさんで机の上にぺたんと体をつける。ラルフさんの方もちょっと見たけど、ライアがサインをねだってたみたい。一体何を考えてるんだろう？
「さーて。じゃあ先生の用事も済んだし、王国会議の配信も終わったな！先生はこれからどうする？」
「は、はい。僕は一度特訓しようと思っています。闘技大会はきっと強い人達が集まる筈です。期間もありますし、今のうちに鍛えようかなと。」
「なら俺とやらないか？俺も特訓考えてるんだよ。一緒にやったらもっと上に行けそうな気がするんだ！」
「それ、ミーも一緒にやっていいかな？三人でやるともっと効率よくなると思うよ！」
「はい！是非お願いします！」
ラルフさんにミーさん。二人と特訓すれば今よりも強くなれる！連携もとれるし、いい経験になるぞ！
「決まりだな！それじゃ、しばらくここで休んで、出るのは数日後かな？」
「だねー。皆疲れてるし、ここでのんびりしていこう！そうだラルフ、報酬って貰った？配信見てたけど、元は別のクエストだったんでしょ？」
「…………貰ってない！ちょっとギル達の所へ行ってくる！」
「その必要は無いぞ。」
ギル！またこっちに来てくれたんだ、多分会話が聞こえてたんだ。
「報酬は後にしろ、大切な事があるのでな。魔王に剣聖か、丁度いい。少しこちらへ来てくれ！コイツを引き渡しておかねばならない。」
ギルは地面に鎖で繋がれた男を投げる……そう、この神父がドラゴンを呼び出したんだ！
「何事なのじゃ？儂今ラルフさんのサインを眺めている最中なのじゃ。」
「おお、サリアさんのパートナーのギルさん！配信見させてもらっているぞ！」
「この男がドラゴンを復活させたのだ。配信を見てるなら分かると思うが、奴が今回の犯人だ。誰に渡せば良いか悩んでいたが、頼めるか？」
神父は動かずじっとしてる。それを見てライアは頷いた。
「……分かった、こちらで預かろう。豪魔の事について聞き出してみるのじゃ。剣聖殿はそれで良いか？」
「私は構わぬ。だが王達にも一言かけておいてくれ、その方が良いだろう。」
「了解なのじゃ！大会の準備もあるし、儂は許可を取ってから帰ろうかの！ルー、早速行くのじゃー！」
「はい！ではティム先生、サリアさん、ラルフさんとミーさん！また闘技大会でお会いしましょう。では！」
ライアとルーはそう言って外へ出ていく…………よし、僕達は今は休もう。僕達は机に顔をつけて、ふーっと深呼吸。これから忙しくなるぞー！
「あっ！いたー！」
「え、また！？こ、今度は誰だ！？今日はたくさん来客があるな！？」
「ラルフさん落ち着いて下さい！この声は！」
ちょっと落ち着きたいけど、聞こえた声の方向に顔を向ける。そこには！
「ティム君！お疲れ様！会議が終わったから、様子を見に来たよ！」
「シュリちゃんだ！ありがとう、でもどうしたの？」
「さっき話が聞こえてきたの。今回の報酬って、まだ貰ってないんだよね？」
「うん。色々あったからね。」
あっ、シュリちゃんガッツポーズしてる。ジュリア様とそっくりな反応だ。
「じゃあ……」
「その報酬、私達が出すよ！勿論皆の分も！」
……えっ！？
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