黒きドラゴンとの戦い……決着!
「サリア、一緒にお願い!二人も攻撃を!」
「ええ!」
「わん!」
「了解した!ここは我らに任せろ!」
四人でドラゴンに向かい、一斉に動くんだ。まずはギルとレル!
「再生出来ないようだな。まさに好機!行くぞ、フレイムサイス!」
「ガゥゥゥ!ガァァァ!」
ギルが鎌に炎を纏わせ、レルは魔力をブレードに送り、同時に胴体を斬りつける!
「ゴギャァァァァ!!!!」
「効かんな!肩に乗れ犬っころ!」
「わん!」
ギルが尻尾を受け止め、その上からレルが前足を斬る!ズバッとブレードを振り降ろし、足を吹き飛ばした!
「私も動かないとね![魔技] ソウルサイス!」
傾いたドラゴン目がけて、サリアが魔力の鎌を四つ撃ち込んだ。巧みな操作でダメージを与えていく。その間に、僕はドラゴンの後ろをとって……
「魔力を込めて……レル、行くよ!」
「わん!」
二人でブレードを持って、今度は後ろ足。思いっ切り振れーーー!
「一緒にお願い![魔技] ウルフスラッシュ!」
「わふー!わん!」
ブレードに乗せた魔力が、ブレードウルフの……レルの牙みたいにギザギザの刃を作る!
それが足に食い込んだ!
「いっけぇぇぇー!」
やった!ガチンと音がして、後ろ足も吹き飛ばしたぞ!
「ゴギャァァァァ!!!?ゴギャァァァァ!!!!!」
「見事だ!奴の首は我らに任せろ!」
身動きを取れなくなったドラゴンに向け、ギルが空中から接近、同時にサリアは地面を蹴ってドラゴンへ移動した。
「ギル!ここで仕留めるわよ!」
「無論だ!大技で行くぞ!」
ギルとサリアが二人で魔力を合わせる。鎌が巨大になって、黒く光っている……来る!
「レル、空にジャンプするよ!」
「わん!わん!」
鎌の範囲から逃げるように、地面で踏ん張って……
「それっ!」
「わん!」
「これはおまけだよ!」
爆薬のついた短剣を、ドラゴンの背中に投げつけた!
「ゴギャァァァァ!!!????」
「今だよサリア!トドメを!」
「ナイスアシスト!じゃあ、ここで決めるわよ!」
巨大な鎌を持って走るサリア、そして大きく振りかぶった!
「ハァァァ…………今だ![魔技] デスサイス!」
「ゴギャァ?」
「決まったわね。」
「終わりだ化け物。この勝負……我らの勝ちだ!」
「ゴギャァァァァ!!!!!」
「……ね、ティム?」
「うん!」
空中に飛んだドラゴンの首、タイミングはバッチリだ!
「レル!同時攻撃だ!」
「わん!」
空中から体重をかけて、一緒に首を攻撃だ!ブレードを僕達の魔力で強化して……ただ打ち込むだけでいい!
「これが本当のトドメだ![魔技] クラッシュブレード!」
僕とレルの持つブレードが輝き、首に一閃。その勢いに乗って、下にある胴体ごと両断だ!後はサリア達へ向かってジャンプ、上手くいった……
「サリア、どう!?」
「…………。」
「サリア?」
「…………終わったわね。」
「じゃあ!」
「ええ!これで勝ちよ!私達が奴を倒したのよ!」
僕達の目の前には、吹き飛んだ首とバラバラになった胴体。全く動かないし、再生もしていない。
「やった……やったんだ!」
「勝ったわ!私達、成し遂げたわよ!」
「わん!わん!」
「当然だ。お前達はテイマーで、我らはそのパートナーなのだからな。勿論、他の皆が居たから勝てたのだ、後で感謝を伝えておくか。」
皆の方を見ると、手を大きく振ってたり、口に手を当てて何か話してるみたい。早く合流しよう!
「さ、早く皆の所へ行きましょうか!」
「うん!レル、お疲れ様!」
「わん!わん!」
レルのお腹を撫でながら、皆の方へ歩く僕達。ギルはサリアと並んで堂々としているね。
「そうだ!後でソード達の所へ行かないと。強くなったの、見てくれたかな?」
「ええ!弟君びっくりしたんじゃない?まあ、今は向こう優先ね。カイン達大丈夫かしら?」
「僕はラルフさん達と合流するから、また後でね。」
「…………ーい。………だー。」
近づいたからかな?ラルフさん達の声が聞こえてきたぞ。
「何か言ってるわね。」
「ちょっと待ってて。ラルフさーん!どうしたんですかー!」
大声で聞いてみると、ラルフさんは体を反らせて、それからもっと大きな声を出してくれた。
「先生ーーー!!アイツ様子が変だぞーーーー!」
……えっ?
「嘘でしょ……確かにトドメは刺したわよ!」
「サリア、一応確認しよう!」
後ろを振り向くと……ちゃんと倒してるけど、首だけがこっちを向いている。確かに斬ったのに、再生したの!?
「まさか………。」
ドラゴンの口が開いた。
「急げ!お前達我の後ろに入れ!」
「わん!わん!」
口が光りだした!?
「サリア、伏せて!」
「え、ええ!」
駄目だ間に合わない!目の前がピカッと光って、奴が衝撃波を………!
「ティム!それとサリア!パートナーの子とちゃんと手を繋いで!」
「「え?」」
聞こえた声に体が反応して、レルをぎゅっと掴む。サリアも同時にギルの手をとった。
「空中に逃げると威力が落ちるみたい!さっき見つけたんだよ。だからね、どかーんとジャンプだー!」
手が上に引っ張られて、それから…………
「わん!わん!」
「……レル?」
「起きたか、良かった……!」
「先生、それとサリア達もお疲れ様!」
カズハさんとラルフさん?ど、ドラゴンは?
「ドラゴンの攻撃はミーが避けたんだよ!すごいでしょ!」
ミーさん?……そうか、ミーさんが助けてくれたんだ!毛皮もふもふのミーさんが、僕の頭を撫でてくれた。あの衝撃波を避けるなんて、やっぱり凄いや!
「あ、ありがとうございます!」
「うん!でもあのドラゴン、結構頑丈だったよね。それをまとめてやっつけるなんて、ティム達も頑張ったね!」
「ああ!俺達なら出来るって自信があったからな!」
「ラルフも頑張ったね、よしよし。……えっと、あなたは確か……。」
「私はカズハだ。ティムと一緒に君の事も見ているよ。ありがとう、ミー。」
「喜んでもらえて嬉しいなー!」
尻尾を動かして喜ぶミーさん。サリアはどうかな?
「サリアもお疲れ様!ミーすごいでしょ!」
「……ふーっ。ええ、アンタのおかげで助かったっすよ!ありがとうっす!」
サリアは立ち上がってミーさんへお辞儀。ドラゴンは……
「あっ!」
体が黒い霧になって、空を飛んでいる。地面には黒い玉が転がっていた。
「本当に……倒したんだね。」
「わん!」
あんな大きなドラゴンを……僕達が倒したんだ!
「…………やったー!やったよレル!僕達が勝ったんだ!」
「わん!わん!」
「さ、先生!ちょっと休憩したら他の皆の所へ行こうぜ!今マイラとリッチ、アオハ達が向かってるから、向こうも大丈夫さ!」
「はい!」
今は深呼吸をして、地面に寝転がろう。落ち着いたら皆と合流だ!
ソード、僕こんなに強くなったんだよ!父上にも、今の僕を見て欲しいな!
◇◇◇
「や……やりやがった!あの子達、ドラゴンを仕留めたぞ!」
「見事だ!実に良い!これで王国は救われたぞ!」
「なあ、アンタの息子さんも大活躍だったな!本当に凄いな!」
「ソード、ティム……二人とも、強くなったな……!」
会議室のベランダから見守っていたドレイク、シンマ、そして剣聖ガイア。三人は冒険者達を見て歓喜の声を上げていた。
「それはそうじゃろ!先生達なら必ず勝てる、儂らは確信してたからな!」
「ええ!ティム先生、素晴らしい戦いでした!」
その場に魔王ライアとルーも合流し、自慢げにアピールをしていた。
「さて、では落ち着いたら儂の提案通り、ティム先生に来てもらうとしよう!そうすれば色々話してくれる筈じゃ!」
そして王達が盛り上がっている中……空に黒い点が現れた。
「ん、何だありゃ?」
「こっちに落ちてくるようだな。」
「あれは……?皆、一度下がれ!」
「あ、ああ?」
困惑しながら後ろに下がるドレイク達。するとすぐに、ベランダに轟音が響いた。
「あれは!」
そこにあるのは…………ティム達が倒したドラゴンの首だった。
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