迎撃戦、遂に合流の時!
次回でティム視点に戻る予定です。よろしくお願いします。
「ゴギャァァァァ。ゴギャァァァァ!!!」
「いいぞ。その調子だ、もっと暴れろ!」
「雑兵共は全滅、多少は消耗させたでしょう。勇者様、そろそろ出撃の用意を。」
「も、もう……いや、まだだ!更に暴れて体力を使った時、その時が奴の最期だ!」
「二人とも期待しているぞ。ここで王国の力を見せつけてやるのだ!」
ここは王国の会議室。城壁を吹き飛ばしたドラゴンが国に入る所を、ワインを飲みながら観察していた。
「配信はされているな?シャーユ、ジャンヌ、準備をしろ!」
「ああ!」
「はい!」
「なあシンマ、アイツらどうかしてるんじゃないか?普通喜ばないだろ、自分の国が攻められてるんだぜ?」
「奴らには実績と名誉しか映ってはいないのだ。配信が気になるのなら……今までの動きが飛んでいるカメラに全部撮られている事に何故気づかない……。」
ドレイクとシンマはそんな王達を見て、困惑していた。その後視線を外に戻し、ドラゴンを観察する。
「あのままだと、こちらに来るよな。」
「火の粉は払わねばならぬが、勇者達が許してはくれなそうだな。」
「下手をしたら国同士の戦闘だ……全くアタシも情けないな。目の前が大変なのに動けず、高みの見物なんてね。」
「もうどうにもならない。後は……配信をしていたあの子達だ。もうすぐそこまで来ているのだ、彼らに賭けるしかない。」
二人とも迎撃の準備はしているが、王を気にして動けない。そこに一人の男が近づく。
「ガイア殿!どうしたのだ?」
「そうだ、アンタの息子さんも向かってるだろ!?アンタは行かなくて良いのか?」
「分かっているが、この場では王が優先だ。それに……ソード達はあんな奴には負けないさ!自慢の息子なのだから!」
そう言うガイアの体は震えている、戦況を見ているのか顔が真っ青である。そこには……
◇◇◇
「しゅ、シュリさん!」
「だ、大丈夫です……他の皆も、何とか……。」
ソード達は分厚い光の壁に覆われていた。近くの皆も、遠くにいるカイン達も壁に守られ、無事な様子だった。
「でも、シュリさんが!」
「えへへ……ちょっと無理をしちゃったかなぁ……。」
「貴方大丈夫!?これを飲んで!」
シュリの体は傷だらけになっている。ウィーがポーションを飲ませながら後ろに下がった。
「君達、大丈夫か!」
「フェイクさん!シュリさんが!」
「飛び道具は壊れたか。ならば!」
フェイクは剣を構え、王国に入るドラゴンを後ろから斬りつける。
「ゴギャァァァァ!!!」
「なっ!?」
だが尻尾に阻まれ、剣が折れる。ドラゴンはそのまま一歩ずつ、王国を進む。
「あ、ああ……。」
「ドラゴン!俺が、俺が相手だ!」
今度は遠くから一気に近づくカイン。しかし彼の攻撃も尻尾で弾かれ、カインは倒れ込む。
「ゴギャァァァァ!!」
「だ、駄目か……まさか衝撃波なんてね、不意を突かれなければ……。」
「か、カインさんまで……。俺が、俺が何とかしないと!」
剣を握り、ドラゴンの前に出るソード。その体は震えていた。
「負けるもんか、負けるもんか!俺達は強いんだ!お前なんかすぐに倒してやるぞ!」
「ゴギャァァァァ!!!!」
ソードの上からドラゴンの足が迫り……
「ハァァァァァァ!」
「ぶっとべー!」
ドラゴンの体が空に浮き、外に押し出された。
「わ、わわ……。」
「貴方は……なるほど。お待たせしました!」
「もう大丈夫だよ!後はミー達にまかせなさい!」
ドラゴンの前に立ち塞がったのは……遂に王国に到着したマイラとミー。マイラはソードに近づきしゃがみ込んだ。
「よく頑張りましたね。もうすぐ私の仲間が追いつきます。もう少し、時間を下さい!」
「あ、ありがとうございます!お願いします!もうすぐ兄上が……!」
「あっ!フェイクー!大丈夫ー?」
「こ、こちらは平気だ!カイン達は私が避難させる、任せて良いか!?」
「うん!ミーがすぐにやっつけるから!」
「まずは王国から離しましょう。城壁が無い以上、ここを巻き込む訳にはいきません!」
「おっけー!早速始めるよ!」
マイラとミーは高速で移動し、ドラゴンの足元へ。マイラが魔力を込めてドラゴンを殴ると、再び空へと浮かび上がる。
「ゴギャァァァァ!????」
「今です!」
「さあ、ドカンと行くよー!」
マイラの肩に乗り、ジャンプするミー。勢いに乗って蹴りを叩き込む。
「ギャァァァ!!」
「掴める場所……あった、ここだ!」
近くにあった足を掴み……
「せりぁぁぁぁぁぁ!」
「ゴギャァァァァ!!!????」
「これで動けないでしょう!ハアッ!」
思いっきり地面に叩きつける。ドラゴンの体が地面にめり込むと、更にマイラが追撃を入れ、ドラゴンは悲鳴をあげた。
それから数分。二人はドラゴンを相手にひたすら殴り、動きを止めている。彼女達を見ているソードの横に、立ち上がったシュリが近づいた。
「あ、あの人達はもしかして!」
「シュリさん!はい、兄上の友達です!すぐそこまで来てるんです!」
「よかった……間に合ったんだ……。」
「あっ……見えたわ!きっとあれよ!」
遠くを見て喜ぶウィー。そこには馬車が三台走って来るのが見えた。
「あっ、こっちに誰かが来てる!」
「お、俺達はやったんだ!これで何とかなります、もう少しです!」
「まだまだやれます!私も頑張らないと!」
「わ、私だってやるわよ!」
「悪いフェイク。俺がこんな事になるなんてね……。」
「気にするな。さあ早く!二人はどうだ!?」
「私は平気ですわ!でもアーマが……」
「足をやられたな。でも鎧が頑丈で助かったぜ……。」
カイン、フェイク、ラディとアーマ。四人は一度移動し、遠くからドラゴンを眺めていた。
「ちょっと待って、何かこっちに向かって来るよ!」
「あの馬車は……。」
カイン達の視線の先には馬車が三台。そこから二人と一匹の魔物が飛び降り、四人を横切った。
「カイン、礼を言うぞ!後は我らに任せろ!」
「ぎ、ギル!間に合ったんだな!」
「サリアだけではない。助っ人も一緒だ。我は一足先に行っているぞ!」
「そうだな、彼らも一緒だからね!」
その後すぐに馬車が四人を横切り、王国に進んで行った。
「本命の到着だ!後は任せたよ!」
「ゴギャァァァァ!ゴギャァァァァ!!!?」
「負けないぞ!俺達が皆を守るんだ!」
「あっ!ソードさん、あれを!」
「ゴギャァァァァ!!!!!」
「その翼、貰っていくぞ!」
「ガゥゥゥ!ガァァ!」
「とりゃぁぁぁぁ!」
「ゴギャァァァァ!!!!???」
「ブレードウルフと、ギルティス……そうかあの人達は、兄上の友達の!」
現れた魔物の攻撃を受けるドラゴン。それを見たソードの側には、銀色の髪をした小さい子どもが居た。
「あ……あ……兄上!」
「ごめんね、遅くなっちゃった……でももう大丈夫!ソード、ここからは僕達も一緒だからね!」
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