王国防衛作戦、スタート!
「ゴギャァァァァ!!!ゴギャァァァァ!???」
「ギャァァァ!ギャァァァ!」
「グァァァ!」
門の外では、黒い霧を纏った魔物達が集団になって門に突撃している。そして黒いドラゴンは体を変形させ、トゲを外した。
「ゴギャァァァァ!!!」
隙間無く埋められたバリアに向けて、大きく口を開けるドラゴン。ブレスを撃つための準備動作である。
「ゴ……ゴギャァァァァ!!!」
そして放たれた黒いブレスがバリアにヒビを入れた。無理な姿勢で放ったからか、体中に反動を受けて焦げついていく。
それでもその傷はすぐに治り始める。強引に首を捻じ曲げ、貼られたバリアにブレスを撃ち続けていた。
ピシッ……バキン!
「ゴギャァァァァ!ゴギャァァァァ!??」
攻撃が続き、遂にバリアが破られる。ドラゴンはすぐに体の再生を終え、門に突っ込んでいった。
「……来ました!皆さん、お願いします!」
「はい!俺達の力を見せてやるぞ!」
シュリとソードが敵の気配を感じると同時に門が吹き飛び、ドラゴンが姿を現した。
「作戦通りに行こう!シュリとウィーは後ろから攻撃してくれ!」
「はい!メガウインド!」
「え、ええ!ウインド!」
二人の風の魔法でカインが加速。魔物を倒しながらドラゴンの上を通り抜け、後ろの魔物の群れに降り立った。
「さて、お前達の相手はこの俺だ!」
「ギャァァァ!ギャァァァ!!」
「何の魔物か判断つかないな。気をつけながら攻撃するか!」
カインが話しながら剣を振ると、まずは目の前にいた魔物の大群が吹き飛ばされる。
「ギャァァァ!」
「当たらないな!」
後ろから棍棒を持つ黒い魔物が迫るが、それを回避、剣で体を切り裂いた。
「はいっ、そこっ!」
流れる様に魔物を倒していくカイン。彼は一度後ろを向き、剣を門に向ける。
「ドラゴンにはこれをぶつけてやる!ウインドブレイカー!」
剣に渦を纏わせ、それを全力で放つ。渦は魔物達を巻き込みながら、ドラゴンの翼に直撃、大きく態勢を崩した。
「ゴギャァァァァ!」
「魔物は俺一人で充分だから!そっちは任せたよ!」
「ゴギャァァァァ!!ゴギャァァァァ????!」
「今だ、足を狙います!ソードラッシュ!」
高速でドラゴンを斬りつけるソード。その後ろからアーマとラディの二人がそっと外へ抜け出す。
「俺達は彼らの邪魔をさせない事が仕事だ!頑張ろうぜ!」
「ええ!存分に暴れてやりますわ!」
カインの攻撃から逃れた魔物達が走って来る中、二人は門の前に陣取った。
「ハァァァァァ!」
まずはアーマが魔力を纏う。そこへ魔物が攻撃を仕掛けるが、彼はびくともしない。
「ギャァァァ!!ギャァァァ!!」
「俺の鎧は頑丈だぞ!さあお返しだ!」
背中からハンマーを取り出し、魔物を殴りつける。この場で攻撃を受け、敵がよろけた所を狙う……アーマはこの方法で数を減らしていく。
「どうです!?時間稼ぎなら私達でもやれますわ!」
「グワァァァァ!」
「甘いですわ!アイアンナックル!」
「ギャァァァ!??」
「後ろ?いや、見えますわよ!」
一方ラディは拳と足を魔力で強化し、ひたすら動き回る。強そうな魔物を見つけてかく乱し続け、それに追いつけない弱い魔物は動かないアーマを狙う……即興で考えた作戦だった。
「この調子ですわ!逃げるのは得意ですのよ!」
「た、頼むぞ!強いのが来たら俺じゃ手に負えないからな!」
「ソードアッパー!」
「ゴギャァァァァ!」
「させません!ホーリーヴェール!」
「も、もう一回、ウインド!」
ドラゴンを斬り、門の側で止めるソード。彼への攻撃は全てシュリがガードしている。ウィーはポーションを飲みながら風の魔法を連発し、足元を狙っていた。
「ゴギャ!!」
「はぁぁぁぁ!」
体のぐらついたドラゴンへソードが攻撃すると、ドラゴンは地面に倒れ込んだ。
「いい調子です!このまま足止めを続けましょう!」
「こ、こんなに魔法を撃ち続けるなんて初めてよ!今のうちにポーション飲もう……。」
ウィーは足元に置いたポーションを手に取り、口に運ぶ。
「ちょっと休憩……あれ?」
「ギャッギャッ!!」
ウィーの目の前に入ってきたのは、黒い霧を纏ったゴブリンだった。
「キャァァァァ!?」
「ウィーさん!?シュリさんお願いします!ここは俺が!」
「はい!ホーリースパーク!」
「ギャッ!」
電撃を浴びせ、ゴブリンを倒すシュリ。ウィーを連れて少し街の奥へ入る。
「も、もう入って来たのね。びっくりしたわ。」
「あれだけの数です、仕方ありません。私達は下がって、ソードさんの邪魔にならないようにしましょう!」
「わ、分かったわ!」
ソードに補助魔法をかけながら、カイン達から逃げて来た魔物を攻撃する二人。今の所、戦いは順調に進んでいた。
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