襲撃、黒きドラゴン!
「ゴギャァァァァ!!?グギャァァァ!???」
「やった!上手くいった!」
「あ、ありがとうございます!」
ソードは少女にお礼を言うと、彼女はソードの手をギュッと握る。すると体がキラキラと光りだした。
「あの、これは?」
「貴方に補助魔法をかけました。これで普段よりも力が出せると思います!」
「本当だ、力が湧いてくる……ありがとうございます!貴方はシュリさんですよね!兄上の配信で見ました!」
ソードは剣を握りながら、緑髪の少女……シュリに質問した。
「えっ、兄上?……もしかして、貴方はティム君の弟さんですか?」
「はい!」
「なら、あの魔王が言ってた事は本当なんだ……。」
「はい、俺は兄上の……あれ?シュリさんあの場に居ましたか?」
「えっ!?あ、うん!私も会議に参加してたんです。そ、そんな事より、まずはあのドラゴンを何とかしないと!」
二人はドラゴンに目を向けた。ドラゴンは立ち上がると二人を睨みつける。
「ゴギャァァァァ!!!?ピギャァァァァァ!!!!」
「来ます、援護は任せて!」
「はい!行くぞドラゴン!」
ソードが剣に魔力を込め走り出す。対するドラゴンは息を吸い込み、腹部を大きく膨らませた。
「ゴギャァァァァ!!」
「見えた、そこだ!」
口から黒いブレスを吐くドラゴン。ソードは加速し、ブレスの下をくぐり抜ける。
「これが俺達の力だ!ソードアッパー!」
魔力を持った剣をぶつけて一気に上に振り上げるソード。その剣は光を放ちながら敵を縦に斬る。
「ゴギャァァァァ!」
「次はこれだ!メガフレイム!」
続いて剣の先を斬りつけた場所に当て、火の魔法を叩きつける。
「ここだぁぁぁーーー!!」
「ゴギャァァァァ!!!!」
「うわっ!?」
「危ない!」
しかし、ドラゴンの足がソードの背中に当たる……直前、シュリがバリアを展開。彼は吹き飛びつつも、すぐに着地出来た。一度距離をとったソードは、ドラゴンの様子を観察する。
「そ、そんな!確かに斬ったのに、傷が……。」
ドラゴンの腹部の傷はもう治りかけていた。煙を上げながら傷が塞がりはじめ……そして完全に元通りになった。
「やっぱり駄目ですか……毒の攻撃を仕掛けないと、あのドラゴンは倒せません!」
「で、ではどう対抗すれば!」
「ソードさん!魔物の毒針とか、毒の武器とかありませんか!?」
「え、俺は持ってません!」
「なら今出来る事は!ハァッ!」
今度はシュリが杖に魔力を込め、ドラゴンの側に壁を数枚展開する。
「私達で足止めします!ティム君が来てるなら、対策を持って来てくれるはずです!」
「兄上!そうだ、兄上もここに向かってるんだ!何とか抑えないと!」
「ゴギャァァァァ!!!」
「そこっ!ホーリースパーク!」
壁で動きを止め、隙間から魔法で攻撃を仕掛けるシュリ。それを見て、ソードも両手をドラゴンに向けた。
「もう一回だ!メガフレイム!」
放たれた炎は形を変え、小さな玉になる。これが隙間を抜け、敵に着弾すると一気に燃え上がる。
「ゴギャァァァァ!!!ゴギャァァァァ!!???」
光と炎が体にまとわりつき、暴れるドラゴン。だが壁に阻まれ、動きが鈍る。
「このまま、このままです!」
「シュリさん凄い……俺も負けません!」
二人でドラゴンを足止めしていると、突然ドラゴンが動きを止めた。体には目立ったダメージは無い……シュリは首を傾げた。
「と、止まった?」
「ガギャァァァァ!ガギャァァァァ!!!!!」
「な、何だいきなり!?」
「い、今の鳴き声は一体……。」
「……え、嘘!?」
「シュリさん?どうしました?」
「あ、あれを!」
シュリが指さす方向を見るソード。見えたものは黒い霧だった。
「何ですかあれは!?こっちに、近づいて来てる?」
「もしかして……なら時間が無い!ま、まずはこのドラゴンを止めます!」
シュリは壁を展開し、攻撃用の隙間を埋めた。更に地面に手をつき、魔力を送り込む。
「アースニードル!」
「こ、これは!?」
ドラゴンのいる地面が盛り上がり、そこからトゲが突き出す。ドラゴンの体を貫き、完全に動きを止めた。
「はぁぁぁぁぁ!」
「ゴギャァァァァ!!ゴギャァァァァ!???」
「あ、あんなに大きなドラゴンを止めるなんて、何て力だ……!」
「これで少しは時間を稼げるはずです!次はあれを!」
もう一度、遠くの黒い霧を指さしたシュリ。ソードも目を凝らして確認する。
「あ、あれは霧じゃない!?魔物の群れだ!」
「恐らくこのドラゴンの魔力に釣られてここに来たんです。あんなに来るなんて!」
「ど、どうしますか!?このままじゃ街を守れない!」
「ここは一度門に戻りましょう。ここで戦ったら囲まれてしまいます!」
「でも、そうしたら街が!」
剣を持ったまま迷うソード。彼にシュリが近づく。
「もし私達が倒れたら、魔物達が一気に攻めて来ます。そうしたら皆逃げ切れない!ここは下がるべきです!」
「た、確かにそうですが……」
「門の前で戦うんです。そうすれば敵は門からしか入れない!こちらも迎撃しやすくなります!」
「わ、分かりました!一度中に入りましょう!」
動きを止めたドラゴンを確認し、急いで門の中に戻る二人。入り口についているレバーを握り、力を込める。
「一度門を閉めて!少しでも時間を稼ぐんです!」
「はい!」
二人で必死にレバーを降ろし、門を閉じ始めたその時……
「お、おーい!ちょっと待ってくれ!俺達も入れてくれー!」
「もう少しよ、皆頑張ってー!」
「もう!だから急ごうと言いましたのに!」
魔物達が来る方向とは別の場所から、三人の男女が門に向かって走って来たのだった。
今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。




