表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信テイマー、我が道を行く!〜戻って来いと言われても知りません!僕は大切な仲間と一緒に冒険してるんだから!  作者: ゆん。
第十章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

204/280

黒いドラゴンを追え!/動く準備、進む思惑

「ギル、あーしと交代っす!少し休んだ方がいいっすよ!」


「そうだな。しばらく頼む。」


「カズハ!僕が運転するよ!」


「助かるよ、ありがとう。」


 皆で馬車に乗って数時間、僕達は交代しながら馬車を進める。こうやって走っていると、この前王国に行った時を思い出すなぁ。


「ティム、ちゃんと配信は出来てるっすか?」


「うん!こっちはギルが持ってね!」


「了解だ。」


 二人で魔導カメラを持って、上のドラゴンを映す。本当にゆっくり動くだけ……周りの事は気にしてないんだ。


「もがっ!もがっ!」


「黙っていろ!」


「もがっ!?」


 神父を縛り上げ、カメラに手を戻すギル。僕はもっとポーション飲んでおこう。絶対に戦いになるんだから!


「マイラ!上空から見て、何か変わった事は無いか!」


「いえ、今の所は平気ですよ。まあ、この状態が異常なんですがね。」


「マイラ、アンタは休まなくていいんですか?下からでも見張りは出来るっすよ?」


「このままでお願いします。変身するのに時間がかかりますから。」


マイラさんは上空からドラゴンを監視している。僕もカメラをうまく操作して……


「分かったっす。ティム、冒険者さん達が来てくれるといいっすね。」


「う、うん。レル、もうすぐだよ。ちゃんと準備しようね!」


「わん!わん!」


 僕達はポーションを飲み続けて、体力と魔力を回復させる。これが今の仕事だ!

















 ◇◇◇


 会議が中断してから早くも数時間。魔獣の国の王、ドレイクと機械の王シンマ……二人がベランダで見張りをしている頃、ジャンヌは魔導パソコンを操作していた。


「ジャンヌよ。お前は何をやっているのだ!」


「王様……ティムの影響力は思ったよりも大きいようです。これを。」


「こ、これは!」


 覗いたのは魔導掲示板。配信を見ている冒険者達が、こちらに向かうコメントを残していた。


「ど、どうする!?もし冒険者達が押し寄せてくれば、シャーユの出番が無くなる!王国の威厳が守られない!」


「ここは私にお任せ下さい。……こうだな。指名依頼と同じ様に、コメントを残して……。」



 ポチッ。


「これで大丈夫です。来ると言った冒険者達の近場に、魔物が発生していると情報を出しました。奴らはこれで来られなくなる。」


「おお!流石だジャンヌ!」


「実際に魔物が増えているのです。奴らは確認を行うから、こちらに来るのが遅れるでしょう。その間に勇者様があの化け物を倒せば良いのです!」


「……マヌケじゃのう。」


「き、貴様は!」


 さっきまでうとうとしていた魔王ライアが、鋭い視線を向けている。ジャンヌは王の前に移動し剣を握った。


「お前達は配信を信用してない。なのに何故、勇者の出番を用意する必要があるのじゃ?だってドラゴン来てないんじゃろ?」


「そ、それは……そうだ!これはでっち上げだからな。冒険者達は自分の地域を守るべきだ!下げるのは当然だろう!万が一本当だとしても、勇者様だけで充分だ!」


「……そうか。なら、儂は気にせず寝ているとしよう。外に出ると駄目なのじゃろう?」


 ライアはまた目を閉じ、うとうとし始めた。













「はあ、はあ……。」


「ぼ、坊ちゃま。」


「な、何で皆逃げてくれないんだ!本当に危ないのに!」


 一方ソードは街を巡り、ひたすら警告を発していた。しかし街の人達は全く気にせず、むしろ嫌がっているようだった。





「あ、あの……。」


「は、はい!」


「魔物が来るって聞いたんだけどねぇ……ひ、避難所って無いかい?」


 声を掛けられ振り向くソード。そこに居たのは街に住む女性だった。杖をついて不安そうに空を見ている。


「何だか空が暗くなってきてねぇ……不安になっちゃったんだよ。」


「……!は、はい!おばあちゃん、俺の背中に乗って下さい!」


 ソードは女性を背負ってひたすら走る。そして……一度王の城に戻って来た。


「安全な場所はやはり会議室……で、でも他の人達も入れる場所を!」


「こっちだ少年!その人を連れてきてくれ!」


「あ、あなたは!」













 ソードの前に立つのはフェイク。彼は城の側にある建物に住人を誘導していた。


「ここは騎士達の詰め所だ。相当頑丈に出来ているから、隠れるには最適だ!」


「あ、あの……フェイクさんですよね。兄上の配信で見ました!」


「兄上?そうか、ティムの弟か。では、さっきの魔王の言葉は本当のようだな。

 ティムが剣聖殿の息子とは……まあ、私にとって彼は彼だ。家の事などどうでもいい!優先するのは民の安全、だろう?」


「ありがとうございます!おばあちゃん、ここに入りましょう!」


「すまないねぇ。」


 中に入るとそこには、何人かの住人が中央で食事をとっている。机や椅子は他の入り口に積まれ、バリケードになっていた。女性を降ろし、外に出ようとするソード、すると後ろから呼び止められた。


「剣聖様!お疲れ様です!」


「お、お疲れ様です!……この人達は?」


「騎士団の一部の方達だ。事情を説明したら、ここを開放してくれたんだ。これだけ広ければ多くの人を助けられる!」


 目の前に居る騎士は敬礼でソードを迎える。その数はたった三人、しかしソードはどこか嬉しそうだった。


「で、でもどうして?」


「ハッ!王を守るのは当然ですが……民を守るのも騎士の務め!それは心得ております!」


「剣聖様、ご指示を!我々に出来る事なら何でも致します!」


「あ、ありがとうございます!では、他の人達の避難の手伝い、これをお願いします!」


「お任せ下さい!ゆくぞー!」


「「おおー!」」


 ドタドタと駆け出す騎士達を見て、ソードとフェイクは頬を緩ませた。


「フェイクさん、外に出て良かったのですか?王のあの顔を考えたら……。」


「あそこは混乱していたからな。一人街のリーダーが消えた程度、気付かないだろう。頭の中でこの先の作戦は考えている、ここは私に任せてくれ!」


「は、はい!行ってきます!」



 ソードは詰め所を出て、街へと走っていった。







「配信で見た魔物、奴につられて他の魔物が来るかもしれないな。ひとまず大砲を持って来よう。」


 フェイクは一人呟き、自分が納品した大砲を探しに王国の武器庫へと歩き出した。



















 そしてその王国に向けて…………遠くから黒い点が近づいていた。

今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ