少年テイマー、異形に挑む!
「行くぞ!僕が相手だ!」
僕は短剣を構えて、高速で魔物へ近づく。まずは足に短剣を突き立てるが、魔物は爪を使い、僕の攻撃をガードする。
「硬い!」
弾かれてよろける僕に爪が振り下ろされる。ギリギリで飛び退いて避けたけど、僕は地面に倒れてしまった。
「ピギャァァァァァァ。!?」
爪を立て、僕を地面ごと突き刺そうと攻撃してくる。僕は地面を転がり回避していると、ポイズンビーは魔物の背中目掛けて針を突き刺す。
「びーーー!!」
「ピ……ピギャァァァ????」
「僕の剣もあるぞ!」
さっきの毒が残っているからか、すぐに動きが一瞬止まる。そこに僕も短剣を構え、前足に刺し込んだ。
「ビャャャ!?」
「やった……ギャッ!?」
攻撃に成功した事に喜んだのもつかの間。闇雲に振るわれる足が直撃して、僕は壁に叩きつけられた。
「がギャッァァァ、ピギャァァァ、!??」
「今がチャンスなんだ!負けるもんか!」
僕は手を壁にかけて立ち上がる。ポイズンビーは魔物を相手に空中を飛び回り、注意を引いてくれていた。
隙をついて僕はもう一度近づこうとするけど、足がうまく動かない!今の衝撃で打ちつけたからだ……。
「ポイズンビー君も頑張ってる。今の僕に出来ることは……。」
動かないからなんだ!ここで踏ん張らないと皆やられる!進まないと、早く助けないと!
「人の子よ、聞こえますか?私は準備完了です。タイミングは貴方達に任せます。」
「ヘルキマイラさん!?」
僕の側まで歩いてきたヘルキマイラさん。どうやら攻撃の準備は整ったみたい、後は僕達が何とかしないと!
「……随分酷く打たれましたね。体は大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。僕なら出来る、突破口は見えてるんだ!」
「しかし……ポイズンビーは高速で飛行できる魔物。うまく撹乱してくれています。おかげで準備も整いましたよ。」
「はい、だからこそ、ここで決めないと……そうか!」
「?」
そうだ、足が動かなくても、今の僕はポイズンビーの力がある!
「ありがとう!僕、もう一度行ってきます!貴方は構えてて!」
「分かりました。気をつけて下さい。」
「ピギャァァァァァァ!!!!」
「び、びー!」
空中で激しく動くポイズンビー。魔物は爪で落とそうとするけど、うまく避けて毒針を次々に刺している。
「ピ……ピギャァァァァァァァァァ。」
だいぶ動きも鈍ってる!よし……ここが勝負どころだ!
「こっちだ!かかってこい!」
「ピ、ピギャァァァァァァ!!!??」
挑発した僕に気づいて、魔物はその爪を伸ばす。タイミングは一瞬。僕はその爪が当たる直前、ギリギリまで引き付けて……。
「飛べー!」
体を一回転。そのまま空中に飛び立ち、空から短剣を突き刺す。
「ピギャ……ピィィィィィィィ!!?」
「このっ、このっ!」
「びー!!」
ポイズンビーの力を借りて空を飛べるようになった僕は、爪を必死に避けながら短剣を叩きつける。やがてフラフラと体を動かした魔物は、僕達を見るのをやめて、自分が壊した扉に向かって走り出した。
「ピギャァァァ!ピギャァァァ!」
「あっ、逃げた!」
「びー!?」
毒で体力を奪ってるのに、まだあんなに動けるなんて……!僕達も追いかけるけど、距離は離れる一方だ!
「ヘルキマイラさん、お願いします!」
「分かりました。後は私が!」
魔物は崩れた壁へ突撃し、自分の通れる穴を開けようとしている。ドスンドスンとぶつかっている中、後ろにはヘルキマイラさんが立ち、口を大きく開いた。
「受けなさい、私の怒りを!」
口から放たれたのは灼熱のブレス。それが魔物に直撃して、体を焼き尽くす。
「ピギャァァァァァァ!!!??」
体を再生しようとするけど、胴体から枝分かれするように腕や足が何本も生えてきている……。上手く再生出来てないんだ!
「一気に焼き尽くします!」
ヘルキマイラさんは更に火力を上げてブレスを放出。数分後……そこには黒い炭となった魔物が居た。
「ピギャ……ピギャァァァ……。」
魔物は最後に鳴き声を上げると、体が崩れ、霧のように飛びながら消えてしまった。その場に丸い玉を残して。
「これは……やりましたか……?」
「うん……。勝った、勝ったよ!」
「びー!びーー!」
勝った……未知の魔物に勝ったんだ!僕達はその事を噛みしめつつ、その場に座り込んだ。あっ……疲れちゃったな……少しだけ休もう。そう思った時、僕の視界がぼやけて、そのまま倒れてしまった。
今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。




