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少年テイマー、昔の夢を見る

 レルと一緒に寝ていると、僕は夢を見ていた。そう、これはあの時の事……。







「今からスキル鑑定の儀を行う!受ける者は前に出なさい!」


 僕はティム。僕は今からスキルを鑑定してもらうんだ。スキルは人の可能性。その人の能力・秘められた素質、その事を呼ぶらしいんだ。


 よく分からないけど、基本的にここで出たスキルによって、人生は決まるみたい。僕は剣聖スキルが欲しいな。だって、力があれば、多くの人を守れるんだから!そしてゆくゆくは、父上みたいな……


「期待してるぞ!我が息子よ!」


「頑張って下さい!兄上!」


 僕に声をかけてくれたのは、剣聖であるガイア父さん、弟のソード。二人共いつも僕を応援してくれるから、期待を裏切らないようここで剣聖のスキルを絶対に手に入れてみせる!





「そろそろだぞ?ティムの鑑定は!」


「剣聖ガイア様の長男よ!きっと良いスキルが出るに決まってるわ!」


「この世はスキルが全てだ。変なスキルが出なければいいな。」


 鑑定の儀に集まった貴族様達は、色々話してるみたい。すごく緊張するなあ……。




「次!ティム!前へ出てきなさい!」


「は、はい!」


 遂に僕の番が来た!僕は神官さんの前に出て、目の前の水晶に手を触れる。これでだいたいのスキルが分かるらしい。そして、ここから出た結果は……。



「君のスキルは……テイマーだな。」


「て、テイマー?」


「そう!魔物を使役して戦うスキル。これが結果として出たんだ。」


「そ、そうですか……。」


 結果が分かった途端、急に周りが静かになった。そして……。






「テイマーだと!?ハズレスキルじゃないか!」


「あの方からそんなゴミが!?あの子、前世じゃ罪人だったのかしら?」


「なんて事だ……!」


 次々と貴族様から文句が飛んでくる。そして次は、頭に石やガラクタが飛んできた。それを受けて、僕は父上の方をそっと見る。


「…………。」


 父上は険しい表情をしていた。今までに見た事の無い、恐ろしい表情だ。僕はそれを見て、思わず後ずさりしてしまった。その横を、弟のソードが無言で通る。


「…………。」



 ソードは無言で水晶に手を触れた。すると、水晶は光り輝き、周りを暖かい光で包みこんだ。


「こ、これは……!ソード!君のスキルは剣聖だ!見事だ!流石剣聖の血を引く者!」


「「「おおおおおおおお!!」」」


 結果が分かった途端、周りの人達が歓声を上げる。まるで僕の存在は何も無かったかのように。





「おお!ソード!我が息子よ!」


「はい!父上!」


 二人は抱き合って喜んでいる。羨ましいな……。







「それでは、スキルの儀はここで終了とさせて頂きます。」


 神官さんの言葉で、ここにいた人は一斉に解散した。そして僕も……父上とソードと一緒に、自分の家へと向かった。












「しかし、ガイア様の家からクズが出るとはな。」


「クズと言えば、もう一人テイマーが出たよな。あのガキもクズだったんだな!」


「ま、俺達には関係無いこった!早く行こうぜ!」


 帰る途中でそんな言葉が響いて来たけど、僕の頭は真っ白になっていて、考えている余裕は無かった。












「ち、父上……。」


 家に着いてから、僕は父上とソードに呼び出された。ここは応接室。僕は跪きながら、二人の顔色を伺っていた。


「ティム、今回の事だが……。」


 父上の厳しい声。やっぱり僕のスキルのせいで、期待に答えられなかったから……!


「申し訳ありません!折角父上に期待して頂いたのに、剣聖スキルを得られませんでした!本当に、申し訳ありません!」


 僕は頭を下げる。すると父上が目の前にやって来て……。



「この馬鹿者がァァァァァァ!!」


 父上の怒号が響いたんだ。

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