集う者達、王国会議開幕!
今回は今後に関わる……かもしれない王様達が登場します。よろしくお願いします。
「俺の席はあそこだな。よっと。」
カインは指定された席に着席し、周りの様子を観察する。
「さあソード!お前の席は私の隣だ!よーく勉強しておくのだ!」
「は、はい!父上!」
剣聖ガイアも息子のソードと一緒に着席する。豪快に構えるガイアと震えているソードを見て、カインはクスッと笑った。
「さて、他の参加者はっと……。」
「悪いな。隣失礼するぞ。」
「あ、ああ。」
まず目に入ったのは、隣に座った褐色肌の女性。頭に角を持ち、赤い鎧を着たその女は、手元にグラスを持ち、何かを飲んでいる。その体の下、鎧の隙間から見えた足は毛皮で覆われていた。
「お前はカインだな!そうかお前も呼ばれたのか、大変そうだな。」
「貴方は確か……獣の国の王様、ですよね。」
「その通り、アタシは魔獣の王、ドレイクだ。よろしく。全くあの王は何を考えているのか。」
「さあ……今回はよろしく。」
グランド王国以外の国からも呼ばれた有力者。その一人、ドレイクと顔を合わせたカインは少し冷や汗をかいていた。
(魔獣達を統べる王、ドレイク。その武力は世界中に響いている。本人は温厚だが……彼女はグランド王国とは敵対しているはず。恐らく今回来たのは、他の国との情報交換が目的だろうな。)
彼女と同じ様にグラスに飲み物を注ぎ、口に入れる。カインは深呼吸しながら、会議に備えていた。
「いやー!元気してるか!みんな!」
するとすぐ、入り口から大声が響く。そこに立っていたのは全身に機械の装備を着けている大男だった。
「会議とは実に重要!そんな場に呼ばれるとは実に光栄だ!そうだろうガイア殿!」
「おお!シンマ殿!貴方も呼ばれたのか!」
ガチャガチャと音を鳴らし、ガイアと抱き合う男、シンマ。その見た目はどう見ても人間では無いが、穏やかな雰囲気を持っていた。
「この腕を見てくれ!最近新調したのだ!体の強化は実に良い!武器の収納も簡単に出来るぞ!ガイア殿もやったらどうだ!」
「私には無理だな!」
(あれは機械の王、シンマ……確か彼は全身が機械の魔物、だったかな?かつて王国と戦った時、無双の活躍を見せたと言われる男だ……初めて見たけど、そんなに怖い印象は無いな。)
「黙れポンコツ。お前も席に座ったらどうだ?」
「むむっ!その声はドレイク!元気にやっているようだな!実に良い!」
「早くしないと……やっぱもういい、来たな。」
「お邪魔するわよ。」
(また王が……本当に今回の会議には大物が呼ばれているみたいだな……!)
次に現れたのは、緑髪の女性だった。彼女は淡々と席に向かい、そこで着席する。
(あれは地竜の国の王……ジュリア!)
「ジュリアも来たのか!皆元気そうで実に良い!」
「相変わらずね。でも、久しぶりに顔を見れてほっとしてるわ。」
「へぇ。で、何か言いたい事があるのか?」
「そうね。シンマの言う通り、皆元気で実に良い!って感じかしら?」
和やかに話す王達。険悪な関係では無いのは一目で分かった。
「二人もここの王に呼ばれたのだろう?実に大変だな!」
「アタシは勇者の顔を見に来たんだ。当代の勇者はどれほどの者か……情報収集の為だ。」
「私は逆。王国に色々言いたい事があるのよ。機会があれば良いけどね。」
「その主役はまだ来ないようだがな。」
グランド王国の王はまだ来ない。その間にも様々な人達が会議室に集まっていった。
「私の席はここか。失礼する。」
「あ、ああ。どうぞ。……あっ!」
カインの隣に座った男は軍服を着た、真面目そうな男性。彼はカインを見て言葉を漏らした。
「貴方はカインだな。ティムの配信で見させてもらったよ。」
「やっぱり!それじゃ君は!」
振り向いたカインに軽くお辞儀をする男性。それを見てカインはフーッと息を吐いた。
「君はカーノンの街のリーダー、フェイクだね!俺も配信で見たよ!そうか、君も呼ばれたんだな!」
「ああ。貴方も大変そうだな。まあ色々あると思うが、今日はよろしく。」
「よろしく!いや良かったよ。俺以外皆ヤバい人達ばっかりだからね。街のリーダーとして、よろしく!」
「何だ、アタシの隣で緊張してるのか?アンタはここに居る奴らと同じ位強いだろ?もっと堂々としていろよ!」
「……確か彼女は、他国の王だったな。」
「ハハハ……参ったねこりゃ。」
そしてほとんどの席が埋まり、会議開始の時間が迫る頃……
「皆の者、よく集まった!これから王国会議を開催する!」
遂に今回の主役、グランド王国の王が現れた。その隣には騎士団長と勇者が並び、共に席に座る。
「知っていると思うが、ワシはこの国の王である!ワシの会議に出られる事を喜ぶが良い!」
「そして!俺が勇者シャーユだ!魔王を倒す最強の男である俺も、今回同席させてもらうぞ!」
「私も同席する。万一があれば即座に対応するから、変な気は起こさない事だな。」
(騎士団長ジャンヌと、勇者シャーユ……役者はだいたい揃ったって事かな。あーやっぱり緊張するなあ!)
「カイン、息が荒いぞ。どうしたんだ?」
「ごめんフェイク。俺ちょっと心配事があってね……。」
深呼吸しながら王を見るカイン。そして三人が席に着くと、会議室の扉が閉じられた。
「では、これより王国会議を始める!」
グランド王国の王、彼の号令で王国会議の幕が上がるのだった。
今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。




