テイマー二人、神父との戦い!
「こ、この化け物がぁ!」
「このくらい、大した事はありませんよ。」
神父は霧を棒に変形させ、投げつける。マイラさんはそれを軽く手で払いのけると、自分の手から魔力の玉を撃ち出し、神父の腕を攻撃した!
「く、クソ!勝てない!これ程とは……!」
「驚いてもらっては困ります。私はまだ本気を出してないのですから。」
「何っ!?」
瞬間移動で神父の背後に回り、背中に拳を叩きつけると奴は回転しながら地面にぶつかる。マイラさんの圧勝だ!改めてヘルキマイラの強さが分かったぞ!
よし、僕達だって!
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「わふー!」
「いっ……はあ、はあ……ギル!」
「ウム!行くぞお前達!」
パートナーと力を合わせると、僕達にも変化が現れる!僕はもふもふの鎧、ブレードは鉤爪に変化。レルは頑丈なプレートが全身を覆い、ブレードが大きく変化!
サリアはピンクの髪が黒く染まり、マントを羽織る。服も黒一色に染まり、手には大きな鎌が現れた。ギルも全身に鎌を備え、攻撃形態に変身した!
「レル!力を合わせるよ!」
「ギル!こっちもやるわよ!」
「わん!わん!」
「良かろう、存分に暴れてやろうではないか!」
僕達は一斉に飛び出し、神父の下へ走る!その場ではマイラさんが打撃を繰り返し、神父は防戦一方だった。
「あの霧……魔力は効きづらいけど、物理ならダメージがあるみたいね!」
「でもさっきのギルと同じ……マイラさんの手には傷がついてるよ!」
そう。マイラさんは押していたけど、その手は霧によってダメージを受けていた。再生する事は出来るはず……でも攻めのチャンス、その時間は無いんだ!
「奴とて厳しいだろう。一撃で仕留めるぞ!」
「ええ!ドカンと一発ぶつけてやりましょう!」
「僕に任せて!霧をどかすから攻撃はお願い!」
僕は二人を抜き、全身に魔力を込める。そして鉤爪が光ったのを確認して、マイラさんの後ろから構えを取る!
「マイラさんしゃがんで下さい!」
「き、貴様は!」
「間に合いましたか。ここからは任せますよ!」
マイラさんがしゃがむと、僕は彼女を飛び越して神父に近づく。空中から、思いっ切り勢いを乗せて!
「ここだ![魔技]ハウンドクロウ!」
「き、効かぬわ!」
正面に霧を集めて防御姿勢をとる神父。僕は集まった霧に鉤爪を突き立てる。
「くっ、この!」
「な、何だこの力は!貴様は一体何者なのだ!?」
「うりゃぁぁぁぁ!」
刺した鉤爪を強引に引っ張り、体を覆う霧を吹き飛ばす!今なら無防備だ!
「サリア!ギル!」
「分かってるわよ!ハァァァ!」
今度は二人の番だ!まずサリアが鎌を振り、奴の体を壁に押し付ける!
「ぐおっ!この小娘がぁぁぁ!」
「次は我だ![魔技]シャドウサイス!」
強化された斬撃が奴の影に突き刺さる!すると神父のガクンと体が揺れ、慌てだした!
「う、動けぬ!こ、こんなもので!?」
「我は小技を鍛えているからな!本命を当てる為には必要だ。そうだろうサリア!」
「そうよね。そしてこれが本命……!」
サリアの魔力によって、鎌はさらに大きくなる。これだけ魔力が溜まっていれば、多少の防御は関係無い!
「切り札の一振りよ![魔技]デスサイス!」
巨大化した鎌を神父に叩きつける。対する神父は慌てて霧を集め、自分の前に盾を作り出した。鎌が盾にぶつかり火花を出している。
「こ、ここまで来て……邪魔をされてたまるかぁぁぁ!」
「そう……でも私達だって、負けるわけにはいかないのよ!」
全力で鎌を振るサリア。そして、遂にその時が来た!
「そこよ!ぶっ飛べぇぇぇ!」
「ぎょぉぅ!?」
霧を払い、鎌の先が神父に命中する!その瞬間、神父は後ろに後退。傷口に手を当ててその場に座り込んだ。
「ガゥゥゥ!」
「げふぅ!」
そこにレルがブレードで一閃!体を横に斬られた神父は地面に倒れる。勝った!?これで終わったんだ!
「こ……こんな、ばがなぁ……。」
「致命傷は防いだみたいね。それでもしばらくは動けないはずよ。」
「さて、この男は捕まえて外に連れて行くか。マイラ、寝かされていた住人達はどうだ?」
「リッチが連れて行ってくれました。ラルフ達に伝えて、今は外で待機していると思いますよ。」
ギルはもう一度鎖で神父を縛り上げ、地面に引きずる。一方マイラさんは扉を指さして、僕達に状況を教えてくれた。あまり長く居るわけにもいかない、まずはここを出よう!
「これで良しだ。先程よりも魔力を込めた。奴に破る事は不可能だろう。では、早く行こう。貴様には皆を運ぶ大仕事があるのだからな。」
「もちろん。ギルよりもお役に立ちますよ?」
「言うではないか!ならば我と勝負するのはどうだ!」
「楽しみですね。」
二人で街の人を運ぶ競争!?あ、でも止めない方がいいかな。早い方がいいんだもん。
「ティム、お疲れ様!レルも頑張ったわね!」
「うん!ありがとうサリア!」
「わん!わん!」
サリアが隣から話しかけてくれた。ぱっと見た感じ、あんまり疲れてなさそうだ!
「私まだ余裕があるわよ!前よりもっと強くなった気がするわ!」
「僕は疲れたかな。外で魔物と戦ってたし。」
「わん!わん!」
「それを言ったら駄目でしょ!私さぼったみたいじゃない!」
「ご、ごめん!そういうつもりじゃなかったんだよ!」
「なんてね、冗談よ!今回はティムの分まで手柄を頂いちゃったわね。ありがたく貰っておくわ!」
「もう!次は負けないよ!」
話をしながら外へ向かう僕達。もうすぐ出口だ!
「たら……」
「えっ?サリア何か言った?」
「私?何も言ってないわよ?」
「ギル?それともマイラさんですか?」
「いえ。今は黙ってましたよ?」
「どうしたティム、何か心配事か?」
「そう?今たらって言ってない?」
何か聞こえた……僕はその時、後ろが気になったんだ。
「……えっ!?」
そこで見たのは……!
体中に黒い霧を纏って、ニヤニヤ笑っている神父だった。
「こうなったらぁぁぁ!私の魔力を使って、生命体を呼び起こしてやるぅぅ!」
「な、何言ってるのよ!?ギル!」
「分かっている!ハアッ!」
ギルが魔力を込めると、鎖が神父を強く縛り、体中に刃物が突き刺さる。それでも奴は体を動かし続ける……な、何!?
「これは……貴様一体何をした!?」
「アハハハハ!アハハハハハハ!!」
笑い声を上げる神父の体から、黒い霧が出て来て、外へ飛んでいく……本当に、自分の魔力を使っているの!?
「……皆さん、伏せて!何か来ます!」
「ま、マイラさん!」
「わふ!わん!」
れ、レル!?僕の上に乗ってどうしたの!?
「サリア、我の下に入れ!」
「ギル!?何すんのよいきなり!?」
ギルはサリアを抱きしめ、自分の体で覆い隠す。何が
「ゴギャァァアァァアァア!!!ゴギャァァァアァアァ!!!!?」
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