教会での戦い、敵の目的は
「おーいマイラー!皆入り口に移動したぞー!」
「ご苦労さまです。私もこれで……ええ、できましたよ。この人達です。」
マイラとリッチ、二人は教会の中に居る人々を出入り口に移動させていた。リッチは魔力を使い人々を運び、マイラは床を切り抜き、そのまま移動……短時間で準備を整えた。
「ワシはラルフ達に伝えて、一緒に外まで連れて行こう。マイラは魔力を貯めておいてくれ。この人数じゃ、お主にも負荷がかかるじゃろう。」
「問題ありません。私は一度奥に入りますから、ここは任せますね。」
「お、おお?どういう事じゃ?」
マイラは教会の奥を見て、腕を組む。
「これだけの人が倒れているのです。きっと神父も厳しいはず。ここに居ないようなので奥を見て来ますよ。」
「奥はサリア達が行っておるぞ?」
「……ええ。とにかく行ってきます!」
「ええ!?……も、もう仕方ないのう!皆の者、ちょっと待っててな!すぐに来るからの!」
二手に分かれて、リッチとマイラはそれぞれ動き出すのだった。
◇◇◇
「クソッ!何なのよコイツ!斬っても斬っても再生してくるわよ!?」
「サリア危ない!」
僕はサリアの前に出て、ブレードを構える。そこにビームが飛んで来て……
「う、うりゃぁぁぁ!」
「ティム!」
弾いた拍子に僕達も吹き飛ばされる。立ち上がる僕達を、神父さんはうんざりとした表情で見つめていた。
「全く……余計な事をしてくれた。魔物達を使えば、より早く復活が出来たものを!」
「ふ、復活?何の事だ!?」
「お前達には関係無い!」
「ならば力ずくで聞かせて貰うぞ!」
「わん!わん!」
上空からギル、地上からはレルが同時に突撃する!二人同時に鎌とブレードを振り下ろした!
「効かぬ!」
「わふ!?」
ギルの攻撃は肩を掠ったけど、ブレードは黒い霧に止められた!レルは力を込めてるのに前に進めないよ!
「次は貴様だ!」
「我を舐めるなよ!」
ギルは空中に飛び、もう一度斬りつける!
「何度も同じ手が通じると思うな!馬鹿が!」
「馬鹿は貴様だ!何度も同じ手で来ると思うか!」
今度は鎌に炎を纏う!それを振ると火の斬撃が奴に襲いかかる!
「燃えろ!フレイムサイス!」
「し、しまった!?」
慌てて顔の前に黒い霧を被せる神父さん。それが斬撃を止める。炎が進まない……あの霧、魔力を込めた攻撃が効きにくいんだ!
「捉えた!」
「ぐあっ!?」
き、霧の中に腕を突っ込み、神父さんの首を握るギル……手に傷がついてるけど、ギルは気にしてない。
「貴様が黒幕と言うわけか……色々聞かせて貰おうか。」
「ぐ、苦しい……は、離せ!」
「フンッ!」
「ぎゃ!」
「バインドサイス!」
地面に転がる神父さん。そこにギルが拘束用の魔法を掛ける。体の周りに鎖をかけたんだ。繋がった鎖は鋭利な刃物になっている……動いた瞬間に攻撃出来るから、これで安心……かな?
「さて、貴様が黒幕なのは分かった。これはどういう事か、きっちりと話して貰う。死にたくなければ正直に答える事だ。」
「貴様ら……こんな事してタダで済むと思っているのか!?」
「残念だったわね、私達はそんなの知ったこっちゃないのよ。さっさと教えて貰うわよ。」
サリアとギルが鎌を突きつけ、神父さんに迫る。神父さんは無言のまま。さっき言っていた復活って……
「神父さん!復活って言ってたけど、あれは何の事なの!?」
「わん!わん!」
「誰が教えるものか!」
「……困ったわね。」
「ならば、奴の気にしていた物を調べてみるか。犬っころ、一緒に来い!」
「わん!」
ギル達はさっき神父さんが気にしていた、お祈りしていた場所を調べる事に。
「気にしていたのはこれか。二人とも、見つけたぞ!」
「わん!わん!」
「今行くよ!サリアも!」
「ええ!何を見てたのか確認してやるわ!」
二人は祈りを捧げる台を見つけ、僕達を呼ぶ。そこにあったのは……何だろう?変な生き物をかたどった象がある。
「ギル?これ、魔物かな?何か知ってる?」
「我には分からぬな。犬っころ、どうだ?」
「うー。わん?わん!」
二人とも分からないみたい。
「何か隠しているかもしれない。壊してみるか。」
「や、やめろ!そんな事をしたら今までの苦労が!」
「なら早く話せ!貴様も死にたくは無いだろう!」
「待って、これ光ってない?」
ギルが神父さんに掴みかかると、象が黒い光を出して輝き出した!
「こ、これはいったい何なんだろう?不安になってくるよ……。」
「…………フハハハ。」
「……何笑ってるのよ!」
「選ばれた!私は選ばれたのだ!」
「え、選ばれた?」
「遂に、遂にこの時が来たのだ!フハハハハ!!」
狂ったように笑い出す神父さん。体を揺らしながら喜んでいる……刃物が体に食い込んでるのに、痛くないの!?
「お前達!さっき聞いていたな、復活とは何かと。いいだろう!冥土の土産に教えてやろう!」
「冥土の土産?我らはこんな所で死ぬつもりは無いぞ。」
「アハハハハハハ!」
「……ギル、どうする?」
「今はこの神父が情報源だ。……早く話せ。」
ギルは情報を引き出す事を優先したんだね。僕達で警戒を続けながら、奴が次に口を開けるのを待っていた。
そして奴は……ポツリと一言、口にした。
「復活させたいのは……最強の生命体だ!」
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