少年テイマー、異形への対抗策を探る
ニヤリと笑ったかのような表情を見せる魔物。体がモゾモゾと動くと、今ヘルキマイラに斬られたばかりの腕、そして足が再び生えてきた。
「ピィィィ!???。」
「やはり……効きませんか。」
再びヘルキマイラと魔物は睨み合う。そして魔物が飛び掛かり、戦闘が再開した。
「び!?びー!」
「お、落ち着いて!」
混乱してぐるぐる飛び回るポイズンビー。僕達は扉の側に居るけど、奥ではヘルキマイラが戦ってる!何とかする方法を考えないと!
「こんな時レルがいれば……!」
「びー!」
今レルは上にいるから、ここには来られない。でも、僕の攻撃は効き目が無かった。何か、何か方法は!
「び、びー!」
「あっ、待ってよ!今行っちゃ駄目だよ!」
ポイズンビーは魔物へと向かって行く。そして戦闘中の魔物へ近づき、毒針を撃ち込んだ。
「ピィィィ!?。??」
「びー!?」
振り払われたポイズンビーを僕は手でキャッチする。駄目だ……やっぱり僕達の攻撃が効いてない!
「こちらも舐めてもらっては困ります!」
「ピギャァァァ!」
ヘルキマイラが魔物に噛みつき、地面に叩きつける。そこで足を振り上げ、体を踏み潰した。ベキッという鈍い音と共に、魔物は沈黙する。
「や、やった?勝った!?」
「……駄目です!すぐに……再生してきます!」
僕達がホッとしたのもつかの間、再び体を再生させた魔物が足を払い除け、逆にヘルキマイラを投げ飛ばした。
「っ!」
ヘルキマイラは僕達の傍の地面に着陸した。でも、足の傷が痛んでるんだ!態勢を崩して座り込むような姿勢になってしまった。ニヤリと笑いながら、僕達の下へ迫ってくる魔物。僕はブレードを持って前へと立ち塞がった。
「ピギャァァァァァァ!ピギャ……ピギャ?」
「あっ、……動きが、止まった?」
魔物は一瞬、苦痛に顔を歪めた。僕は体を観察するけど、傷はほとんど治ってる。すると何故か魔物は体を爪で引っ掻き始めた。
「……そうか!毒だ!」
「びー?」
「どういう事です?」
「あの魔物は傷は再生できるけど、中に入った毒は分解出来ないんです!傷口から毒を出そうにも、再生しちゃってるから出す事は出来ないんだ!」
「……今の奴は体を傷つけている。毒の存在に気づいたのでしょうか?」
「多分そうだと思います。でも、斬っても潰してもすぐに再生するから、毒を出せずに体に残ったままになっちゃうんだ!……これなら勝てるかもしれない!」
僕は横にいるポイズンビーに向かって、声をかけた。
「君、ちょっとお願いがあるんだけど……いいかな?」
「びー?」
「今だけでいいから、君の力を貸してくれないかな?」
「……び?」
「……貴方は何を言ってるんですか?」
ポイズンビーとヘルキマイラは不思議そうな顔をして僕を見る。そうだよね、いきなり力を貸してなんて……。
「僕はテイマーなんだ!魔物の力を引き出したり、借りて戦うことが出来るんだ。」
「そ、それとそのポイズンビーに何の関係が?」
「あの魔物に効くのはおそらく毒での攻撃。だから僕がポイズンビーの力を使って、奴に毒を打ち込みます。」
「び!?」
「……そうか。毒は分解出来ない、貴方の考察ですね。もしそうなら、貴方も毒で攻撃すれば……!」
ヘルキマイラは目を細めて僕の話を聞いている。そしてポイズンビーは、羽をパタパタ動かして自分の存在をアピールしていた。
「びー!びー!」
「うん!じゃあ……お願いします!力を貸して!」
「びー!」
もう生き残るにはこれしか無い!僕はポイズンビーの背中をそっと撫でる。すると体から現れたのは……紫色の短剣!僕はそれを握って、魔物へと相対する。
「なるほど、これがテイマーの力……。」
「すみません!貴方にも協力をお願いしたいです!」
「わ、私にもですか?」
「はい、僕達が毒で攻撃した後、効き目が出てからのトドメをお願いします!さっきの戦い、再生されてたけど、貴方の攻撃なら通じてました。だから毒で力を奪えれば!」
「……分かりました。では貴方も、私に少し時間を下さい。力を溜めさせて欲しいのです。」
僕達が作戦を話し終わった直後、魔物は立ち上がった。さっきまでの笑いは消えている。ダメージを受け、余裕が無くなったからだろうか。
「ピ……ピギャァァァァァァァァァ!?!?。。。?」
「来るよ!皆、力を貸して!」
「びー!」
「ええ!」
僕とポイズンビーは敵を倒す為、真っ先に敵へ向かって行く。大丈夫、勝算はあるんだ!必ず倒して上に帰ってみせるぞ!
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