迎撃作戦、見習いテイマーの成長
今回はラルフ視点になります。よろしくお願いします。
「よーっし、魔導カメラはオッケー。いつでもかかってこい!」
俺はラルフ!今俺はある街に滞在中だ。ここの近くの山でとんでもない魔力があるらしくて、魔物がたくさんやってくるらしい。それを倒しまくって、ここを守るのが今回の仕事さ!
「さあ!張り切っていくぜ!全員俺達で倒してやる」
「かーめー!」
「元気があってよろしい。それではここはラルフに任せて、私達は座っていますね。」
「期待してるよ。お手並み拝見といこうかな。」
「……そこは心配だから手伝うって言う所だろ!?俺達だけじゃ心配だから、一緒に戦ってくれ!」
俺と一緒に居るのはマイラと、狩人のカズハ。……マイラが滅茶苦茶強いのは分かってる。
それとカズハの事も配信で見たんだが……うん、彼女も俺よりずっと強い。ティム先生と一緒に依頼をやってたんだよ、彼女は頼りになる!
「冗談ですよ。分かりました、手強い相手が出た時には手伝いましょう。」
「マイラは切り札か……分かった、私が手伝おう。手柄を独り占めされるのはつまらないからね。」
二人ともありがとうな!俺達四人、出来ない事は無いさ!
「……来ましたね。リッチ、向こうはどうですか?」
「ま、マイラ!?い、いやな、向こうは戦闘に入りそうじゃな。シャドウプランクの大群がたくさん来てるのう。」
「リッチー!俺達の事ちゃんと見ててくれよなー!」
「任せておけ!魔物がどこから来るか、ちゃんと見ててやるからの!」
よし!これで実質五人だ!
「早速で悪いが来ているぞ!森を抜けて……もうすぐ現れる!」
「さて、迎え撃ってやるさ!」
「先手必勝!ブラック……アロー!」
「うわっ、危な!?」
か、カズハが矢を撃った!?まだ敵が見えてないぞ!?
「グギャァァァ!!?」
……な、何か聞こえた。木々の間からだ……声の大きさ的にまだ距離がある。それを狙えるのか、やっぱり凄いなあ。
「前を見て!来ます!」
「あ、ああ!」
気合を入れろ!俺は剣を握って山の方を睨む。……来たな、あれはウインドバードだ!
「ギャァァァ!ギャァァァ!」
小型の鳥の魔物だが、奴らは羽根を飛ばして敵を攻撃するんだ。早速か!
「タルト、頼む!」
「かめー!」
飛んできた羽根をタルトが甲羅で弾く!カキンと音がなった後、弾いた羽根が木にぶっ刺さった。当たるとヤバいな!
「俺だって強くなってるんだ!見せてやるぜ!」
タルトは草むらに避難。俺は剣に魔力を込めて、突っ込んで来るウインドバードを目で追う。速いけど見える、見えるぞ!
突撃してきた敵をギリギリで避ける、それで横を通った奴を攻撃だ!
「ギャァァァ!??」
「捉えたっ!吹っ飛べー!」
剣に力を込めて振ると、奴は木にぶつかって気絶してしまった。やった……俺、強くなってるぞ!
「やるじゃないか。なら、私もだ!」
カズハが後ろから矢を放つ。それが敵に当たると体が弾け飛んだ!?なんて威力だ……。
「そのまま前を頼むぞ!私は後ろから攻撃する!」
「ああ!この調子で数を減らしていこう!」
それから戦っていると、別の方向からも魔物が来た、あれは……
「ギャッ、ギャッ!」
「ガゥゥゥ!」
おわっ、ウインドバード以外にも、ゴブリンにブレードウルフ……まだまだ敵が出てきたぞ。
「タルト、突進だ!合図したら俺の前に出てくれー!」
「かめー!」
タルトが体を回転させ、だんだんスピードを上げる。俺は敵を弾きながらその時間を稼ぐんだ、ここからはタルトが主役さ!
「かー!かー!」
「分かった!一度下がるぞ!」
タルト準備できたな。よし、俺は後ろに下がりカズハの側まで戻る。
「おい、持ち場を離れるな。ここまで来られると苦しいぞ!」
「悪い、でも作戦なんだ。少しだけ時間をくれ!」
「……なるほど。カズハ、貴方も下がって下さい。」
「マイラ?いや、しかし……。」
「もしもの時は私が入ります。お願いします。」
カズハは矢を撃ちながら、俺と一緒に後退する。
「これに何の意味があるんだ?敵が集まったら不利になるぞ!」
「集まるのが目的なのさ!下がって、下がって……今だタルトー!」
「かめー!」
奴らは俺達が逃げたと思って大群でやって来た!そこに俺は全力で駆け出す!
「お、おい!?ラルフ、何を考えているんだ!?」
「かーめー!」
「なっ!?」
草むらから出てきたのは、高速で回転するタルト!敵の横っ腹にぶち当たり、他の魔物も巻き込んでいく!
「ガゥゥゥ!?」
「ギャァァァァ!!?」
「今だ!ブレイブソード!」
俺も魔力を剣に纏わせて突進する。不意をついて混乱している今なら、俺でも倒せるさ!
「ハッ、てりゃあ!」
「かめ!かめー!」
「まだまだ!この調子で全員倒すぞ!」
「……私もやらないとな!ブラックアロー!」
「や、やったぜ!俺達大活躍だったな!」
「かめ!」
「ほう。お見事、よく頑張りましたね。」
「私も驚いたよ。まとめて倒すつもりだったなんてね。」
まともに勝負したら、実力的に勝てないからな。ちょっと工夫してみたんだよね……。
「奴ら皆速いからな。固まってる所を狙えば他の奴らにぶつかってパニックになる、上手く逃げられないだろ?」
「それで一度下がったのか。タルトが草むらに入ったのは不意打ちの仕込み、というわけだね。」
「そうだぜ!どうだった、俺達強いだろ!」
「ああ!ラルフ達は強いな!」
「な!タルト、今回も助かったぜ!」
「かめー。」
「……皆さん、少し静かに。また来ます!」
「「えっ?」」
ちょっ、俺達力を出し切っちゃったぞ!?これで終わりじゃ無いのか!?
「確かに……ラルフ、来てるぞ。」
「ど、どうする?俺もうヘトヘトだ……。」
「では……ここは私がやりましょう。耳を塞いでいて下さい。」
えっ?どういう事だ?
「では、始めますか。」
「カズハ、タルト、とりあえず耳をおさえとこうか。」
「あ、ああ。」
「かめ。」
両手で耳を塞ぎ、タルトは甲羅の中に隠れる。するとマイラは大きく息を吸った。あれはブレスでも出す気なのかな?
「グァァァァァァァァァ!!アォォォォォン!!!」
「な、何だこの声は!?ラルフ、大丈夫か!?」
「うおおおお!?手が離せない!?絶対に離すなよー!」
「かめ!?かー!?」
な、今の咆哮か!?体が揺さぶられる感じだ、まともに立てない!
「ギャァァァ!?」
「ギャッ!?ギャッ!?」
「アォォォン!キャン!キャン!」
ま、魔物達が一斉に逃げていく。凄いな、これがマイラ……ヘルキマイラの威嚇って事か!
「さて、終わりましたね。おや、どうしました?」
「み、耳が……。」
「何てパワーだ……体がフラフラするよ……。」
「かめ。かめー。」
「気合を入れ過ぎましたね。敵は逃げましたし、少し休みましょうか。」
だ、だな……地面にゴロンと横になって、ちょっと休む事にしよう……。
向こうはどうなってるか、心配だけどまあ大丈夫だよな!先生も居ることだし、いざとなればサリア達も居る!今は……ちょっと転がってよう。
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