迎撃完了?街から響く咆哮
「うけー!?うけー!」
「ビューーー!」
シャドウプランクに追われるシロメ。ってあれ、大きすぎない!?何であんなに大きくなったの!?
「うけー!?」
「も、もう一回だ!グラウンドブレイク!」
「うけー!」
もう一度地面にブレードを突き刺し、魔力を込めると地面から突起が現れた。
「シロメー!ジャンプできるー!?」
「うけ、うけー!」
シロメは突き出た岩に乗り、ぴょんぴょんと跳ねながらこちらにダッシュ!シャドウプランクは……やっぱり高い位置に移動してる。
「そのまま走って!アオハ君!」
「わ、分かってるよ!ブレイクアロー!」
「ビューーー!?」
アオハ君の指から放たれる魔力の矢。これが当たって、シャドウプランクはフラフラと下に落ちてきたぞ!
「今だ!レル、行ける?」
「わん!わん!」
このタイミングだ!僕とレルで同時に飛び出して……
「うりゃぁぁぁぁ!」
「ガゥゥゥ!」
「ビュー!?」
シャドウプランクを斬る!ブレードで真っ二つ、そこから更に二等分!バラバラになったシャドウプランクは、煙をあげながらくるくると回転していた。
「ど、どうだ!」
「わん!」
「ヒュー!?」
「「「「「ヒューーー!」」」」」
お、大きくなってたのは皆で合体してたからなんだ……一斉にこの場を飛んでいく、今度こそ終わったんだ!
「シロメー!怪我してない?怖くなかった?」
「うけー!うけー!」
「よしよし頑張ったねー!はい、ジャーキーあげる!」
「うけー!」
アオハ君とシロメはジャーキーを口に咥えてもぐもぐしてる。僕達も少し休憩しよう。
「レル、ありがとう!今回も助かったよ!」
「わん!」
「僕達もおやつにしよう。何食べたい?」
「わふ?わん!」
「え、ジャーキー?どうしよう持ってないや……。」
二人のおやつを見て、食べたそうに僕を見るレル。
「あ、アオハ君。もしよかったらそのジャーキー、ちょっと貰っていい?」
「ん?これ?あい!」
もぐもぐ口を動かしながらジャーキーをくれたアオハ君。僕達は隣に座って、一緒に口に咥えた。
「こっちは終わった……のかな?見張ってるけど、もう来ないみたい。」
「だね。ティムお疲れ様!あれだけの大群、結構疲れたでしょ?」
「うん。でも平気だよ!だってアオハ君達も居るし、何よりレルが一緒だからね!」
「ありがと!もう少しここを見て、来ないようならカズハの所へ行こうかな?」
「それは駄目だよ、一応ここに残ってなきゃ。大丈夫、ラルフさん達は強いから!」
何が起こるか分からない。もうちょっとここを見ておかないと、もしも来た時に対応出来ないからね。
「リッチー!聞こえるー?こっちはひとまず終わったよー!向こうはどうー?」
「おー!ありがとう、助かったぞー!向こうも順調じゃな、あの冒険者達も強いのうー!これなら街を守れそうじゃなー。」
「本当?なら安心だねー!」
「……おーいアオハー!ちょっと警戒してくれー!遠くから気配を感じるぞー!」
二人とも大声で話してる。屋根の上から見るリッチは、あちこちを振り向きながら口を動かしていた。……何か来てる?
「レル、この辺りに敵は居ない?」
「わん!わん!」
「えっ……また!?アオハ君、何か感じる!?」
「ええ!?……嘘、やっつけたばっかりなのに、また!?」
「とにかく構えよう!レル、もう一度お願い!」
「わ……わん。」
数で押されると不利になる。何か作戦を考えて……き、来た!見えたけど……今度は誰!?シャドウプランクだけじゃない、他の魔物もついて来てる!
「サリアを呼ぼう!レル、お願い!」
「わん!」
「ここはとおさ」
……な、何だろうこの感じ!?外じゃない、ラルフさんの方から?何が起きたの!?
「グァァァァァァァァァ!!アォォォォォン!!!」
「キャッ!?耳痛いよ!?」
「も、もう何!?次から次へと!?」
「アオハ君耳塞いでー!?」
と、突然聞こえた咆哮!?もうわけが分からないよ!?
「ヒャッ!?な、何じゃ今のは!?……ん?魔物が逃げて行ったぞ?まだ遠くに居るのに……今の声で驚いたのかの?」
「あ、頭痛い……皆平気?」
「わふ……。」
「うけー……。」
「ふ、二人とも大丈夫!?」
リッチも頭を抱えて……でも今のは、まさか……。
「も、もしそうなら!リッチー!向こうの様子はー?」
「ティム、ちょっと待っておくれ……おお!向こうの敵も居なくなったのう!ま、街から敵が遠ざかっておる!」
「やっぱり……。」
「ティム、どういう事ー?」
「アオハ君、今の咆哮はね……。」
向こうの事が気になるけど、今は動けないや……ちょっと休んで、それから考えよう……。
「ラルフさん達なら絶対に大丈夫……今は落ち着くんだ……!」




